第三話 荷物が無いのでアイテムチートできない
チートって意外と大変
その後おじさん神官は戻らず、外が暗くなる頃にベットと窓だけの個室に案内された。
途中スキルの石板というのを持った人が三人ほどやって来て、表示を確認した後で難しい顔をして帰って行った。
こういうのって、スキルをみて「おー!」とか言うと思ってたけど違った。名前の色は黄色になったり白くなったりしていた。
称号は、ざんねん神官が言っていたとおり勇者だったけど。
晩御飯は薄味で野菜だけのスープと普通のパンだった。こんなもの食えるかっていう硬いパンでは無かった。健康的だ。
時間が有るのでベットに寝ころんで自分のスキルを改めて表示してみる。「スキル表示」とか言う方式は何か恥ずかしいので、言わなくても表示出来て良かった。右端にある「く」みたいなマークを押してからスキルの絵「盾の前に剣と杖がクロスしてる」があるボタンを押すと自分のスキルが目の前に浮かんだ。
スキルの石板は手を当てて、「スキルオープン」て言わされたのが恥ずかしかった。
名前:くどう かずき
年齢:16
称号:勇者
職業:戦士(レベル10)
HP:(値ナシ)
MP:(値ナシ)
スキル(特技)
補助:回復魔法(体力少、魔力少、傷少)、
補助魔法(加速、防御、探索2、鑑定3)、
土魔法(障壁)
空間魔法(中)
技能:裁縫(見習い)、
鍛冶(見習い)
生活魔法(中)
スキル(特技)
使用できない
戦闘:剣術3、格闘3、槍術1
攻撃魔法(水、炎、風、土)
勇者っぽくない。職業は戦士でレベルが10なので多少戦えるかもしれないが攻撃スキルが使用できない項目に入っていて戦力的には悩みそうだ。
石板には表示もされなかった。
たしかに攻撃魔法が使えないと表示されている
使えないのにレベルが有るのが謎だな。MPやHPは表示もされてない。この塔でチラ見したらMPもHPも50~100くらい人が多い感じだった。ざんねん神官のMPはバグって表示していたので、かなり多いんだと思う。良くあるよねそういうの。
ほかの人のステータスも、空間に有る名前に触れると表示される。はたから見ると怪しい。見えるのは鑑定スキルがレベル3あるからだろうか?
見えすぎて困るので、通常は名前、職業、称号までしか表示しないようにして並びも変えた。
<名前><職業><称号><HP/MAX><MP/MAX>
戦闘になったときとかは
<名前><職業><称号>
<HP/MAX><MP/MAX>
の方が良い気がするけど、何か有ったら変更しよう。ステータス全部に説明文まで表示されて、目の前文字だらけってどんな虐めですか。
昼間と同じように探索を使うとマップの様なイメージが浮かんで、色の点が浮かんだ。動き回っている点や止まっている点が見えたが召還の神殿が塔なのでごちゃごちゃしている。
画面隅の数字を押すと階ごとに表示された。昼間は今いる階と下の階を、精神集中で無理やり見る感じだったから、階ごとに区別できるのはありがたい。
慣れてすべての階を見られる方が便利なんだろうけど。と、思って設定を見ていったら必要な場所以外はうっすら表示にする機能が有った。ひょっとするとこのマップは高性能なのでは?!
一階にいるのは、警備の人や料理のひとだろうか。
警備の人は黄色だった。
二階は大勢集まっていて動かない。ほとんど白いが何人か赤い色と、二人のみどりいろの点が有る。
ぼくがいる三階は二つの黄色い点と黒い丸、黒い丸は自分で、黄色いのは見張られてるって事か。
最上階の儀式の階は誰もいなかった。
二階では、まだ何か会議してるんだろうか。
集中して確認してたら、少し眠くなってきた。
自分の安全とか確保しないといけないのに。
お父さんやお母さんどうしてるかな。
荷物も置いてきたし完全な失踪だよね。
心配してるかな。
でも成人するまでには何が有っても一人で生きていけるくらいには育ててやるぞって言ってたから。それほど心配してないかも。う~ん。今考えて悩んでもしょうがないし、今できることを頑張ろう。
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