第十八話 たき火の煙って自分の方に来るよね
月明かりの中音を立てずに森の中を歩く。
「こ、怖いです。」
「怖いなら待ってろって言ったじゃないか。」
無理やり着いてきたセシルに言ってやるが、勇者様が行くのですからといって着いて来た
目の前には五メートル以上有りそうな巨大なカタマリ。そう、キラーホーネットの巣だ。昼間移動した先で集団が止まったのでマップ上にマークをしてある。
昼間キラーホーネットに襲われたのに、馬が静かに寝ているのを見て気が付いた。
馬が食べていた草は「お休み草」
これは食べると眠くなるらしいが、燻すと、もっと強力な効果が有るらしい。
キラーホーネットにリベンジだ。
「これ持ってて。」
以前に採取していた物と今日採取した「お休み草」がパンパンに入っている袋だ。
集中してキラーホーネットの巣を土魔法で被っていく。もちろん天井も。音を立てずにそっと、静かに。
空気抜きの小さな穴だけ開けてある。
興奮して燻す穴を開け忘れてた。
乾燥している「お休み草」に生活魔法で火を点ける。火が付いたところでしけっている草と一緒に箱の中に放り込む。
風魔法は使えないので大きな葉っぱで扇ぐ。風魔法を使える人を連れてくれば良かったと反省。
けむりがぼくたちへ来ないように空気穴を調整する。あ~、セシルが風下に行って煙を吸い込んだみたいだ。ぐっすり眠ってしまった。
かなりの時間頑張って一人で待つと、キラーホーネットを示す点が全て白くなった。
土魔法で壁を崩し、
「ふふふ。」
キラーホーネットの巣を壊していく。
壊すと眠っているキラーホーネットが落ちていくが、動かないから首横の急所を狙って短剣を刺すだけで倒せるので、どんどん討伐できる。
ゆっくりキラーホーネットを観察するとスズメバチよりズングリした体型で、ミツバチにも似ていた。まぁ、異世界だしそういう種類なんだろうな。
討伐は簡単だけど、数が多いのはしんどかった。百匹から数えるのが面倒だった。討伐部位の毒針も少しだけ採取した後は、土魔法で穴を掘った後全て埋めてしまった。
一匹だけ大きな個体がいて、鑑定したらキラーホーネットクイーンと表示された。さすがにクイーンだからなのか完全には眠らずに動いていて、ちょっと怖かった。急所を刺して仕留めた後はこのまま持っていくことにした。珍しそうだし。
そして、手に入れたハチミツ。普通のスズメバチ、ホーネットからはハチミツが取れないけど。この世界のスズメバチは雑食で花の蜜も採取するので少ないけれどハチミツが取れるって書いてあった。
おまけだけどキラーホーネットの蜂の子も採取した。山の中に住んでいる時に蜂の子も食べて、それほど好きではなかったけど。重要なたんぱく源だ。
蜂の子の大きさがペットボトルほど有るのには閉口した。ハチミツは、うすい黄色でわりとサラサラしていた。
集められたのは、中くらいのツボ一つと、小さいつぼ一つ。小さいつぼのハチミツは空間収納に入れた。蜂の子と討伐部位を入れた袋が二つ。サンタクロースみたいな格好になった。
荷物をまとめている途中でヒック、ビッケも合流してくれたので。運搬が楽になった。ヒックはは眠っているざんねん神官セシルまで担いでいる。
ぼくはキラーホーネットクイーンとハチミツつぼ
戻る途中大きな花がたくさん咲いた木々が有った、花の良い香りがする。
ハチミツはこの木のものだろうな<アーカシアの木>アカシアに近い木なのかな。
夜が明け始めた森を歩きながらぼくは思った。
さぁこのハチミツで何を作ろうか。
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