第九話 殺されそうだった
本人が気が付かない事って良くありますよね。
警備を首になったふたりが話していた。
「なぁ、俺たちどうするよ。」
「だよな、俺たちの依頼ってせいぜい怪我させてビビらせろとか、到着を遅らせろだったもんな。」
「ああ。部屋を調べたら、ベッドから致死毒の匂いもした。毒の付いた剣が刺さらなくて刺しまくったんだろうな。」
「本気で殺しに来てるよな。子供殺すまでは俺ら出来ねーよな。せいぜい、ぶん殴るくれーだ。」
「見習いの神官のねーちゃんだって、美人は美人だけど俺らのタイプじゃねえけ。でも殺したりはしねーよな。」
「神官様には見習いだって手ー出したりしねーよ。俺たちだって信者だもんな。」
「しかし俺たちに遊びに行けって金をくれたり、その夜に殺しに来るのは何処のやつなんだろうな。」
「さぁ分かんねえな。あんまり詮索するとこっちもどうなるか分からんからな。」
「そうだな、じゃあ召還の神殿まで報告に帰るとするか二人で。」
「そうだな、一人だとやばいかもしんないからな。二人で行くかのんびりと。」
「二人だ。今までもこれからも、俺の背中を任せられるのはお前だけだ。」
「ぁー…。行くか。」
「おい、何か反応してくれよぉ。」
去っていく二人を見つめる人影があった。その人影もどこかへ消えていった。
冒険者ギルド
護衛の依頼するにはどうするのかギルドカード担当のお姉さんに聞くと、依頼窓口を紹介された。窓口は二つ先。誰もいない。
そこまで歩くと、ギルドカード担当のお姉さんがやってきて椅子に座ってニッコリした。
「本日のご用件は何でしょうか。」
「……。」
「本日のご用件…。」
仕方が無いので、さっきと同じ内容、王都までの護衛を頼みたいと話した。依頼用紙が出てきたので、セシルに書いてもらった。依頼者はぼくで。
話していたら、登録したばかりの冒険者からの依頼は、受け手がいないというので。依頼者をセシルに変更した。
変更したらセシルも登録年数が短かったので、御者のじいちゃんが依頼主になった。ランクCだった。
「長く生きていればこのくらいのランクになる事も有りますわい。ははは。」
と笑っていたが、ステータスもそこそこ高いし。警護なんかいらないくらいに強いと思う。
依頼主はじいちゃんになったが依頼料を預けたのはセシルだ。冒険者が表れたら、顔合わせしてお互い納得したら契約完了だ。
ギルドの中に増えてきた冒険者が、早速張り出された依頼書を…あまり見てないか。討伐と違って素材の買取も無いし、移動のついででもないとなかなか受けないよなぁ。
商業ギルド
王都行きの話をして、同行してくれそうな商人を聞いてみたが、王都まで行く商人はいるがほとんどは同じメンバー冒険者なのだそうだ。
緊急で雇う事は有っても、盗賊の一味が旅人や冒険者のフリをして紛れ込むことが有るので、身元の確認に時間が掛かったり、よほど確かな人の推薦が無いと無理かもしれないという事だった。
見込みは薄いかもしれない。
商業ギルドの近くでブランチにした。これから一旦宿に戻る。それほど大きな町ではないので、今の宿以外だと、お貴族様が宿泊の超豪華宿か、食堂も無い屋根が有れば良いだろっていう宿。
さすがに部屋は変えてもらおう。
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