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マッチ売りの少女を誰が殺した?

作者: 海土竜

 1848年アンデルセンにより書かれた物語により、誰でも知っている少女であるが、果たして彼女はかわいそうな子供であったのだろうか?


 マッチとは何かをいまさら説明する必要もないが、1830年ソーリアによって黄リンマッチが発明され、多くのマッチが生産されてきたが、マッチの生産過程は大きく二つに分ける事が出来る。

 薬品を軸木に付ける作業と出来上がったマッチの箱詰めである。

 リンとは農薬や猫いらずにも用いられていた毒薬であり、マッチの生産過程でも多くの健康被害が見受けられ、工場内で働く男性が、比較的高い給料で受け持っていたのである。

 しかし、箱詰めなどは、訓練なしに誰にでも出来た為、低賃金の女性労働や児童労働の温床になっていたのであった。


 マッチ売りの少女がどこでマッチを手に入れていたのか。

 父親が家でマッチを作っていたとするならば、それなりの設備と薬品が必要であり、小さな工場を経営していたとも考えられが、見よう見まねで粗悪なマッチを作っていた場合、父親の体はリンによりかなりむしばまれ自分でマッチを売りに行くことも出来なかったであろう。

 または、このころ大規模工場生産化が進んでいたために、工場で雇われていた父親か、箱詰め作業に低賃金で雇われていた少女が、少ない賃金を補うために、それらをくすねて売りに出るという可能性もある。


 そして、街角でマッチを売り歩く訳ではあるが、初期のマッチの値段はかなり高価な物であった。

 日本に初めて輸入されたころは、一箱米四升と言われたほどで、原産国でも途用を考えても初期のころはかなりの値段であったと思われる。

 明らかに一獲千金を狙った商売であり、流通ルートの不確かな物やリンの毒性の高い可能性のある粗悪なマッチを路上で見知らぬ少女から買う者など皆無であったのであろう。


 後に彼女はマッチを大量にする事で、リンによりアセチルコリンエステラーゼが阻害され、ニコチン作用および中枢神経の対する作用により死んでしまうのだが、これらを考慮すると、かなり粗悪なマッチであったと考えられる。

 「かわいそうだから買ってあげればよい」が、何の解決にもならないのは理解していただけたろうか?

 彼女の売っていたマッチが出回ると、多くの人が健康被害を被り、彼女は多くの罪を償わなくてはならなくなるであろう。


 ならばどうすればよいのか?

 誰が悪いのか?

 寒空の下マッチを売り歩く子供を見向きもしない街の人たちか?

 暖炉の前で豪華な食事をとる家族か?

 貧困者に手を差し伸べない国か?


 世の中でも社会情勢でもなく、

 たいていは、楽して稼ごうとする者が悪い。




 現在では、側薬に頭薬をこすりつけて発火させる安全マッチが使用されており、毒性があるが摩擦のみで発火する黄リンマッチの製造は禁止されております。

 靴の裏などで擦って火を付けれるのは、発火薬が塗られた硫化リンマッチですので、日本で普通に手に入るマッチでは真似をする事は出来ません。


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