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プロローグ1

ある人物と過ごしていた狐が突然その人物が居なくなり探すことを決め動き出した。

居なくなったその人物が次に居た場所で一人の神がその人物に恋をするが、その人物は異世界へと行ってしまう。

同一人物を愛する一匹と一神は初めて出会う。

暗闇の世界。

実際には人や動物が居り、世界は四季折々の風景をおりなしていくが一匹の狐にとっては暗闇と同じだった。自分にとって大切だった唯一の存在が消えてしまったからである。唯一主が残したものは主に与えられた大切な『妲己』という一つの名前のみ。


「この先に居るのですか?・・・・・・・愛しの主様」


狐は永遠の時間とも言える間主を探し続けた・・・・

狐の姿は時間が進むにつれ変わっていった。尾の数が二本、三本と増えていき終には九本の尾が生えてしまった。狐の体はその毛並みもとても美しく、人の体になった時はたたずまいもまた妖艶な美を醸し出していった。その間、探せる場所は思いつく場所は全て回った。時には皇帝の妃として、貴族の妾としてその国を滅ぼしてでも探し続けた。


「まだ足りない・・・・・これだけではまだ足りない」


狐は歩く。光≪主≫に向かって。歩き続ける。


時間を重ね力を蓄え進む。

ただそれだけの事だけで、数百年を超え、千年をもの莫大な時間が過ぎていった。

そしていつしか狐の尾に変化が起き始めた。

遂に十本目の尾が生えたのである。


そして今まで九本の時には気づくことができなかった事が、感じ見ることができなかった物に気づいたのである。


「これは・・・・」


妲己が感じ取った物それは異世界の存在だった。そして、その世界から今自分が居る世界になかった主の微かな気配を感じ取ることができたのである。


「あぁ・・・主様。そこに、そこに居るのですね。やっと感じる事が出来た、わっちの大切な主様。必ず、必ず会いに行きます。だからお待ちください。この妲己が会いに行きますゆえ」


それからありとあらゆる手段を模索し、探し続けた。

そしてついに異世界への移動手段を見つけた。

それは門を通ることだ。しかし、門がある場所に問題があった。

そこは、妲己にとって天敵とも言える者たちの居城の中に在り、その居城も今までの自分には到達することができない場所であった。


その場所とは『天界』。釈迦族が住む聖なる土地。そして、自分の愛しい主を取っていった難い者共が住む場所。


しかし、今の自分なら・・・・今の力なら、その場所に到達することができる。主の元に進むことができる。

ならば進もう。自分の愛す者の元に行くために。







天界もしくは桃源郷。人が崇め、夢見る土地。


そこに住む者は常に「正しく在れ」「穢れを持つこと無かれ」と言われただそれだけを守り続ける。

しかし、その様な土地で唯一穢れ≪愛≫を持つ人物が一人いた。


その名は『哪吒』。在る一人の人物を愛してしまった故に、体と心が女になっていった元男神だ。


愛した人物とは男の体の時から何度も闘い争った。闘いが数百を超えた頃、その人物の事を常に考える様になり、まず自分の声が変わってきたことに気づいた。疑問に思いながらも日々をその人物の事だけを考えながら過ごした。次に起きたのは体の変化だ。筋肉で織り固めた体が次第に丸みを帯びていき、胸も少しではあるが膨らみ、腰辺りの肉が落ち細くなった。

だが、哪吒はそれでも僅かな疑問ぐらいにしか思わずただ、自分の鍛錬不足としか思わなかった。


しかし、周りはそうでは無かった。哪吒の変化に危機感を感じたのであった。

哪吒は天界にとっては武を司る神の一人。しかも上位に位置する人物。

その哪吒の変化に危機感を感じないのが間違いなのである。

そして、天界の主だった者たちの話し合いの末、原因となる者の追放と言う結果が出たのだった。

しかも単なる下界への追放では無く異世界への追放と今までに類を見ない物だった。


その人物は天界ではかなりの権力者でもあった。しかし、その生い立ちは元は天界の敵で一度は天界を破壊尽くす程の猛者でもあった。その経緯を鑑みての結果であった。


それからは早かった。哪吒に何の知らせること無く決行されたのである。

周りが寝静まっている時に、その人物を呼び出し言われも無い罪状を申付け扉の中へ放り込んだのだ。


次の日

哪吒はその人物との決闘の約束をしていたのでいつもの闘っている場所へと赴いたが、いくら待っても待ち人が来る気配が無かった。


「どうしたんだ彼は?普段の生活は時間についてずさんだが、こと闘いだけは時間を守る・・・いや速すぎると言っていいほどなのに」


その日哪吒は日が暮れるまで待ち続けた。彼が来てくれると信じ、探しに行こうかと思いながらも行き違いになって待たせるのも悪いと思い、食事にすら行かずに。


だが、彼は来なかった。


流石の哪吒もこれに怒り、彼の住む家に押し掛けたが、そこには誰も居なかった。


「何処かに行っているのか?僕に連絡出来ない程の急用でもできたのか?」


家には散乱とした衣服や、夕食だろう食べ物が乗った皿がそのまま放置され急いで何処かに行ったように見えたからだろう哪吒はそう呟いて、このまま汚い部屋に帰ってくるのもあれだろうと家の掃除をして自分の家に帰っていった。


そして、次の日また哪吒は決闘の場所に赴き夜になると彼の家に行き帰りを待った。それをずっと続けていった。彼が帰ってきたらすぐに文句の一言を言っていつも通り決闘をするために。


しかし、いくら待っても、季節が何回も繰り返されても待ち人は戻ってこなかった。

そして、ついに哪吒の心に変化が表れた。


彼が戻ってこないのが悲しくて、切なくて、苦しいのだ。

常に傍にいた人物が、常に考えていた人物が傍にいない事が不安で心が、胸が締め付けられるそう感じ始めた。

そして、この感情が『愛』だと知った時、哪吒は心も体も女へと変わったのである。


それから、哪吒は彼女は居住を彼の家に移し彼がいつ帰ってきてもいいように待ち続けた。

それの時間はあの狐『妲己』と同じほど待ち続けた。





妲己は進む。

門に向かって。主の元に続くと信じて。

敵は神の名を関する者達。しかし、我が主はその神達と一人で戦い生き残ることができた猛者。

その主の従僕である自分が主の名を汚すことは出来ないと無我夢中で敵陣の中へと進んでいく。

妖術を使い、力を蓄えている間にため込んだ法具を用いて、時には果敢に攻め、時には脱兎のごとく逃げ身を隠し天界中を探して回る。


そして、ある一つの場所にたどり着いた。


「ここは?何処か懐かしい匂いが・・・」


その場所は言わずと知れた妲己の主の元家

現哪吒の家


妲己はその懐かしい匂いに連れられその建物に入って行った。

その中はしっかりと物が片付けられ、家主がいつでも帰ってこられるようにしてあった。


「あぁ・・・ここはもしや主様の・・・・でも、それ以外の雌の匂いが」


妲己は鼻をひくひくとさせ微かな懐かしい匂いに心をはせながら、家中を見て回った。

しかしと言うよりやはりと言っていいか、自分が求める主の手がかりは何一つ見つけることができなかった。


そのとき


「ねえ、誰かいるの?もしかして帰ってきたの!?」


入口から一人の人物が声を発し、駆けて中に入ってきたのであった。


「ねえ、返事をして!わかった、僕との約束を破った事で怒っていると思って隠れているんだ!僕は君のことを全然怒ってないよ。それよりも、あの頃よりずっと君に対しての思いが変わったんだよ。だから、出てきてよ」


哪吒はそう言いながら家中を探して回った。瓶の中、戸の中、天井裏に床下探せる場所はくまなく探していった。


そして、最後に残ったのは元家の持ち主が使っていた寝室。哪吒が唯一手を触れることの無かった部屋だけになった。そして、妲己が求めた匂いが一番強い部屋だった。


ギ―――と重い扉が開いた時、哪吒は家の本当の主が居ると心を躍らせて開いた先に見たのは一人の女性。

自分と違い容姿端麗で自分にはない美しさを持つ人物。

哪吒はさっきまで心に在った期待と不安そして喜びの気持ちが一気に覚めてただ負の感情だけが沸々とわき始めた。


「お前はいったい誰だ?此処でいったい何をしている・・・・事によってはお前を殺す」


「わっち?わっちはただの狐よ。少し主様を探しているだけのね」


「主様?誰の事だ?それより此処で何をしているか答えろ!此処はお前のような奴が居る場所じゃない。僕の大切な人の場所だ」


「主の大切な人?そう・・・なら、勘違いでしたか」


「勘違い?」


「ええ。私の主様がこの様な場所に住むはずがないですし、貴女の様な貧相な方を求めるはずがないでしょうから」


「なっ!!貴様言うに事欠いてこの僕を侮辱するか!この天界で知れ渡るこの哪吒を!!」


哪吒は腰に下げている得物の一つ斬妖刀を引き抜き妲己に向けた。


「おぉ、恐い恐い。流石天界の御仁。気に入らない事があるとすぐに武器をお取りになる」


手で口元隠しながら怯ええる風なそぶりをしながら相手を馬鹿にした言葉を投げかけ煽り出し相手の動向を窺う姿勢で対処を計る妲己であった。


「貴様・・・・そう言えばこの頃この天界を荒らしまわっていると言う妖が居ると聞いたな。若しかしなくてもお前の事だな。観念して此処で僕に殺されろ」


哪吒はそう言って武器を振り上げ妲己に攻撃を仕掛けはじめた。


「はぁ・・・これだから天界の者は嫌いなんですよ」


そう言って妲己は片手を上げ妖力で出来た壁を作った。


「僕のこの武器はお前の様な妖怪を殺すための武器だ。つまり、妖力で作られた物はすべて断ち切っ何!!」


哪吒は言葉通り妖力の壁と目の前の人物ごと断ち切るつ折りでいたがそうはならなかった。その上、剣は妲己に届くどころは跳ね返されてしまったのである。


「ふふ、わっちを舐めてもらっては困るわね。こう見えてもただの妖狐のつもりじゃないのよ。これ、見えるかしら?」


妲己は隠していた自分の尾を広げてみせた。


「何を言っている。お前の様な妖狐はいくらでも見てきた。さしずめ九尾の妖狐でただ力が強いだけだろ」


「クスクス、本当にそうお思いですか?それだけであなたの自慢の武器を跳ね返せると?」


「ちっ・・・・痛いとこをつくな。じゃあ、何が言いたい」


「よく見てください。わっちの尾の数を。何本に見えますか?」


「何本だと?どう見てもきゅ・・う・・・!馬鹿な!十尾だと!?聞いたことが無いその様な妖狐など」


「フフ、そうでしょうね。わっちも初めてなった時は驚きましたもの。でも、このおかげで此処にそしてこの先に進むことができるのです」


「この先だと?この僕がお前を取り逃がすだと?」


「ええ。必ず。貴女はこの場所を大切に思っている。そして、出来るだけこの場所を荒らしたくない。だから、力を加減している。そうでしょ?」


「くっ」


「フフフ、本当に隠し事が下手なお方。それじゃあまたお会いしましょう」


そう言って妲己は手から強烈な光を出して姿をくらませた。


こうして同じ人物を愛する二人の初の会合は終わった。しかし、二人はこれから何度も顔を合わせる事になる。それは異世界であってもである。










初の小説。上手くできない事も多々ありますが。少しづつ時間を見つけて書いて行きたいと思います。読んでくれた読者様たちの期待に応えていきたいと思います。

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