はじまりの物語
俺は柊勇人。いうなれば天才。いや天才だった。
俺は産まれて間もなく異能の力が開花した。
この世界では異能が珍しい訳では無い。ただ常人であれば思春期に開花することが当たり前だ。
当然異能を持っていない人もいるがごく少数だ。
異能にはランクがありそのランクは異能力者の身体から発生する粒子の濃さそして実戦での用途が優れているかどうかで決められている。
ランクは上から
S・A・B・C・D
の五段階評価である。
Sランクは全世界で13人しかいないらしい
当然俺は粒子の濃さだけで考えればSランクなのだが産まれてすぐには能力は判別できなかった。
そして高校2年の春。まだ俺の能力は分かっていない。
産まれて間もなくメディアに
【天才現る】【今世紀最大の天才】
などそんなふうに取り上げられた。
そのため小さい頃は人気者だった。
しかし今となっては異能も発生させられない常人以下の存在だ。
しかも外を歩けば「よぉ、元天才w」とからかわれる事は確定している。
そろそろあの時間だ。
~序章~
ピンポーン
頭に響く音が家の中に鳴り響く。
『ゆうくん一緒に学校いこー!』
毎日俺が学校に行くことを拒んだため隣に住んでいる幼馴染みの胡桃が毎朝起こしに来るのだ。だが俺は布団から出る気は無い。
『ゆうくーん!!』
聞き慣れた声が耳元で響く。
「うるせぇよ!しかも部屋にはテレポートするなって言っただろ!」
『だって、ゆうくんが...』
「あぁ、もういいから。着替えるから外でろ。」
胡桃も異能力者で能力名は空間転移いわゆるテレポートだ。一般的にはテレポーターと呼ばれている。
しかも胡桃はBランクとテレポーターの中では上位に位置している。
「おいっ!行くぞっ!!なんでお前が寝てんだよ!」
『あっ、もう着替えたの?今日のゆうくん早いね♪』
こいつが天然でなければ毎朝もっとめんどくさい事が起こっていただろう。
「はぁ、今日もつまんないな。」
今日もいつもと同じつまんない日常が進んで行くそう思っていた。