タイムカプセル
いつだってひとは
思うほどにはやさしくなれなくて
それはなにも君だけではなくて
僕だってやはり同じ
たとえば夢にまで見た
虹のかけらの輝きも
ひだまりに眠るぬくもりも
手にしたとたんにうろたえて
ぶっきらぼうに投げ捨ててしまったりしてね
嘲笑ってもいいよ
ひとりでいられるほど強くもなれない
中途半端なこの僕の
ちっぽけな手のなかにあるものといえば
大切にしたいものほど
深く傷つけてしまったりする
やりきれないほどの不器用さだけだから
臆病なのかもしれないね
のめりこみそうなものからわざと遠ざかって
声をかけることもせずに
目をそらしたままでいる
それでもときおり風に乗ってやってくる
かすかな匂いをひっそりと感じては
胸がつぶれそうになる一瞬を
ちいさなタイムカプセルに
そっと閉じ込めているんだ