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物語の欠片  作者: どこかの誰か
3/5

大切な人は眼鏡をかけているわ

「ねぇ貴方…」


 私は今、どんな顔をしているのだろう。

 しかしこれは取るに足らない事だった。


 彼は疲れて寝ていたソファから上半身を起こし、寝惚け眼をこすっている。猫のようだと思うが、それはあえて口にしなかった。


「ん…どうしたんだい?」


「…何でもないの。ただ、呼んだだけよ」


 笑顔でそう答えればよかったのかしら。でも、今はなんだっていいのよ。

 だって視力が悪い彼は今、眼鏡をしていないのだから。

 私がどんな表情(かお)をしていようと、きっと彼には判らないのだから。


「…ねぇ。なんで君は、泣いているの」


 あれ、なんで分かるかしら。


「今度はとても驚いた顔をして。本当にどうしたんだい」


「なんで…」


 声が震える。


「どうして見えるの」


 彼は笑った。ただ、優しく微笑んだ。


「当たり前だよ。だって僕は、君に惚れているんです」


 彼はガラスを触るように頬に触れた。指先で陶器のような肌を撫で、温もりを伝えてくる。


「愛しているんです」

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