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科学魔法の自警団  作者: asutarisuku
猫と少女と自警団
11/53

9 突入

 

 相も変わらず、僕らは白い通路を歩いていた。


 後もう少しであの、魔法の試験場につく予定だ。

 そして、僕らが警備ロボットを見かけたことは今の所ない。つまり、待ち伏せの可能性がほぼ確実といえるほどになっているということだ。


 もし待ち伏せされていたら、その時どうするかは決めてある。

 まあ、それもまた、作戦と言えるほどの物ではないのだけれど。



 ――たとえ僕らが不利であったとしても、時間は進み、ついにその時はやってくる。


 目の前には、扉があった。

 その上には魔法試験場と書いてある。

 その扉は入り口のように、頑丈に出来ているようだった。


 ・・・進むには、扉を壊すしかないようだ。


「・・・どうする?」


 僕はそう問い掛ける。

 姶良さんの話では、魔法試験場は防音もバッチリで、中の様子を知る手段は一つもない。

 待ち伏せは確実といえる今、あまり突っ込むのはいいことではないが、それ以外の方法があるわけじゃない。

 だから、これは確認だった。


 姶良さんは、口を開く。


「・・・扉を壊す。それで突っ込む」


 予想通りの言葉に僕は頷いた。


「準備は?」


 確認すると、


「・・・万端」


 即座に答えられる。


 僕は深呼吸して、扉をみつめた。


 入り口の時は、二回必要だった。

 だから今回は、一撃で壊すために威力を上げる。


 周囲には、水色の粒子が舞っていた。

 音が無かった空間に風の音が響く。


「くらえっ!」


 直後に、重い音と確かな手応え。今度は一撃で壊すことが出来たようだ。


 続いて、僕たちは試験場に駆け込む。

 まだ魔法の使用を止めるつもりはない。水色の粒子は依然舞っている。


 作戦は、やっぱり強行突破。

 現在の状況では、それしか無かった。ただ、僕の役割は姶良さんを守ることではない。

 僕の役割は、姶良さんが待ち伏せを突破できるようにする事だ。

 この先に鍵がかけられる扉はない。

 それに、メインコンピューターのある場所まですぐそこだ。

 だから、僕は試験場でロボットを食い止める予定だ。


 ・・・これは賭けだった。

 もしかしたら、この先にもロボットはいるかもしれない。実際、その可能性は高いだろう。そうなると、姶良さんだけで突破できる可能性は低い。

 けど、これしか方法はないのだ。

 だから、僕はここにすべての警備ロボットが集まっていることを願いながら、足止めに全力をかけるだけ。ただそれだけだ。


 試験場の中を見回す。

 そこには、予想通り多くの警備ロボットがいた。

 だから、僕は魔法を打とうとする。水色の粒子が僕に答えるかのように輝き出す。


「待って!」


 けど、それは姶良さんの鋭い声に止められた。


「よく見て。なにかおかしい」


 姶良さんがそう言うから、僕は警戒を解かないままでロボットをよく見る。


 そして、気づいた。

 ロボットがすべて、動いていないことに。


 姶良さんは、ゆっくりとロボットに近づいていく。

 僕は混乱して、その様子を見ていることしかできなかった。


 姶良さんは、警備ロボットに触る。どうやら、調べているようだ。


 やがて、姶良さんは調べるのを止めた。

 そして、姶良さんは僕の方を見る。

 僕の方を見た姶良さんの顔は、困惑の表情だった。


「・・・全部、壊されてる。・・・それも、少しだけ露出してるコードをきれいに切られて」


 その事実は、何を意味するのか。

 僕には、少しも分からなかった。ただ、なにかが起こっている。それだけは分かった。


 姶良さんがなにかつぶやきながら先に続く扉に歩いていく。なんで、どうして、そんな言葉が聞こえてきて、早歩きで歩いていくその様子には、不安が見て取れた。

 なにが起こっているのか分からないが、それでも今は、進むしかない。

 僕は、姶良さんにおいていかれないように小走りになる。そして、その背中を追いかけようとした。



 ――それに気づいたとき、僕は全力で走っていた。


「危ない!」


 僕は少しでもそれを足止めするためにそれに風をぶつける。

 察したのか、それは後ろに飛び退き、僕は姶良さんとそれの間に自分を滑り込ませる。


「あーあ、失敗しちゃったか」


 そんな声が聞こえた。


 僕はそれを見据える。

 それは男だった。背は高く、体は細い。動きやすそうな黒っぽい服を身に付け、その両手にはナイフが握られていた。


「でも、次は確実に殺す」


 そう言って、男はナイフの切っ先をこちら側に向け、凶悪な顔をして嗤った。


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