地球は綺麗
H2Aロケットが飛んだ。
もっともっと、死ぬまで飛べ!
僕の願いは届き、H2Aは無事に上空一億キロ、宇宙の彼方へと飛んでいった。
僕も昔は、宇宙飛行士になろうかならまいかと、将来について真剣に悩んだ時期があった。
宇宙飛行士になりたかった理由は単純で、地球が見たかったのだ。
地球が丸いから、とか青いから、とか。
およそ,その辺りが根っこだったように思う。
と言うのも、無意味なフレーズを挟むことで哲学らしく響かせることが、僕ら仲間内では主流であったのだ。
無論、その様に適当な心構えで取り組んだ事というものは、得てして実り無いことが大半であり、そうした行為は非生産的とさえも言える無意味な儀式であった。
だかしかし、僕らにとってそれは確かに儀式であり、また同時にそうした行為から、非生産階級としての意地を親や教師へと示していたのである。
非生産階級の 非生産階級による 非生産階級のための、生産的行為であったのだ。
とにもかくにも、地球は多分丸いので、今回のロケット発射についても僕はいつもと同様、大変な関心を持って見守っていた。
飛べ 飛べロケット
何が目的で飛ぶかは知らぬが、それが非生産的な理由であることを祈って
もっと、 死ぬまで飛べ!




