三つ子・カイドウについて
駄文ではありますが、なんとか出力。
アカお兄ちゃん、名前だけサルビア兄さん、ルビィくんをお借り。
エミリーというオリキャラが出てきます。
★出会い
私の名はカイドウ。三つ子の一番下。
女に甘いサルビアと、狂犬のアカを見ているため、私はちゃんとしなければ…と密かに思っている。
常識人ぶって仕事をこなし、笑顔を振りまいているが 実は私は………。
「ねえ、そこの」
金髪を一つ結びにした女中を呼び止める。
「…?わたくしですか」
「きみ以外に他にいないでしょう。…お願いがあるんです」
そう、実は私は…。
「私のことを痛めつけてはくれませんか」
声をかけたかわいらしい女中は、エミリーと名乗った。私の突飛な提案にもちろんキョトン、としていたが…。
「……」
私が真剣な顔をしていたのだろうか、エミリーも神妙な面持ちに変わった。
「…第三王子の貴方は常識人に見えて、変わった趣味をお持ちなのですね」
「褒めている?」
「いえ…意外だった、と言いましょうか。…先程の提案なのですが、わたくしにはお受け致しかねますわ。わたくしは女中。頼まれ事だとしても、王子の顔に傷でも付けたら、わたくしは……」
「……」
絶対に許されない関係だからこそ、私のことを痛めつけてほしいのに。
…ということは流石に口にできなかった。
「それよりカイドウ様、お庭で取れたいちごでジャムを作りましたのよ。ヨーグルトやパンと一緒にいかがでしょう」
「…ああ、いただきます」
さっきの提案はまるでなかったかのような笑みで私は応えた。
★ある日
「……カイドウ様」
エミリーの声だ。後ろを振り返ろうとする。
「…な」
パァン。
空気を割くような音。痛む頬。
一瞬状況が掴めなかった。
「…」
頬をはたかれたのだ。
「…エミリー?」
「あなたの後ろ姿を見て前に仰っていたことを思い出して。…申し訳ありません!身分を弁えず…」
エミリーが何か言いかけるのを遮るように、近くにあった部屋に彼女を連れ込みドアを閉めた。
書斎だ。王宮なのでそれなりの数の本が収蔵されている。知識は力になる。私はそう思っている。
「カイドウ様、何を…」
「嬉しいよエミリー。その調子で私のことをもっと…」
本をまとめる際に使うロープが視界に飛び込んできた。
私はそれを手に取り、エミリーにこう言い放った。
「これで私を縛ってくれないか」
エミリーは目を丸くした。嘘でしょう!とでも言いたげだが、私は少し不思議に思った。
「私をはたいたのは他の誰でもなくきみだろう。大人しそうなきみが、私の後ろ姿を見て自発的に行ったことだ。…きみは自分でもわからない心の奥底に、加虐心を抱いているのでは?」
「カ、カイドウ様…?」
ロープを左手に持ち、私は彼女に迫る。
「エミリー、私はね。きみのような大人しそうな人に好きにされたい、そうゆう心を奥底に飼っているんですよ」
窓際に彼女を追い詰める。暖かい陽の光が、このシチュエーションとはまるで真逆のもののようで少し可笑しくなる。
「カイドウ様…!やめ…」
「コラァ!!!!!!カイドウ!!!!!」
バァン!とけたたましい音を立ててドアが開け放たれた。私とエミリーが驚いてその方向に目をやると、アカが仁王立ちをしていた。
「アカ!?」
組んでいた腕を解き、彼はズカズカと近づいてきた。
「なにやらニヤついた顔で使用人を書斎に連れ込むのが見えたから、よからぬことでもするのかと思って、後をつけてきたんだよ。そしたら…お前 何をさせるつもりだったんだ?怯えてんじゃねえか、可哀想に」
「……」
エミリーは目を伏せ、俯いている。
「…はぁ。興醒めです」
私はエミリーから距離を置き、手にしていたロープを放り投げた。
「不快な思いをさせてすみませんでした、エミリー。…うっかり私の心の内をさらけ出してしまいましたね」
「お前本当に何させようとしたんだよ…」
エミリーを一瞥する。目が合った。
私は人差し指を唇に当てた。
「秘密ですよ」
ぱんぱん、と手を叩き、重たい空気を晴らそうとする。
「エミリー、この前くれたいちごのジャムはまだあります?あれ とても美味しかったから、アカにも是非食べてほしくて」
「え?あ、ええ…まだたくさんありますわ」
私は優等生ぶった笑みを浮かべる。
「じゃあ、サルビアとルビィも呼んでおやつにしよう。人数は多い方が楽しいでしょうから」
そうしようそうしよう、とエミリーを促しながら歩き出すカイドウを見ながらアカは
(常識人ぶってるけど、本当はお前も結構ヤバい奴?)
と思わずにはいられなかった。




