過去からの依頼人(その8)
「真実とはどういうことだろうな」
ミツオはいつの間にかくわえたタバコに火を点けながら独り言のように言った。エリーは自分なりの推理を加えて返答する。
「この殺人は犯人を捕らえることのできない警察のふがいなさを問いただす行為では無いという意味でしょうか。最初の事件で送られてきた8mmのビデオテープには何が映っていたのですか」
ミツオは記憶をたどりながら答える。
「被害者の口元まで水位が徐々に上がり、水は止まらない。死に至るまでの映像だった。被害者は自分の犯罪を認める供述と、犯罪証拠を連呼していたが、水が止まることは無かった」
「犯人はどういう気持ちなのでしょう」
「分からんね。ただ一つ言えることは、二番目の殺害現場にも同じようなメッセージが残されているかもしれないということだ」
「同僚の安藤さんはどんな方でしたか」
ミツオはエリーに依頼の経緯を説明した。過去のいきさつもある程度話した。
「同期だ。相棒としては気は合う方だったかな。ゼロ課の人間は特殊能力を口外していない。だからどんな力を持っているのかは知らない。でもいいやつだった」
ミツオはエリーを促して二番目の現場に向かうことにした。




