過去からの依頼人(その7)
エリーが得意げに説明する。
「物体の物理的変化を、過去にさかのぼって見ることが出来ます」
どうやらエリーの頭の動きは、目の前のタンクを読み込んでいる動きらしい。
「そいつは素晴らしいね。ちなみに処理にはどれくらい時間がかかるんだい」
ミツオはタンクの観察を続けながら質問する。
「10日です」
「それは大変だね」
ミツオは地上に降り立ち、タンクの下部を見るために、自作の鏡を取り出した。伸び縮みする棒の先に鏡が装着されている。鏡自体が光り、暗部を照らす。そして鏡の角度を自由自在に変える事が出来る。
ミツオは身をかがめて、鏡をタンク下部に差し込む。ミツオの手が止まった。ちょっとした違和感を感じたからだ。タンクの凹凸から少しはみ出るように金属の板が飛び出しているように見える。10cm×10cmくらいの大きさだろうか。2~3mmくらいの薄い金属の板がずれているように見える。手を差し込んで板を触ってみる。磁力で張り付いているような手応えを感じる。ミツオが力を込めると板は動きはずれた。現場検証を行った当時、ミツオはこんな物には気づきはしなかった。年月が板を少しだけづらしたのかもしれないとミツオは思った。
「エリー見てくれ」
立ち上がりミツオは、エリーに手にした金属の薄い板を示す。
これ自体に磁力が備わっていると思われる。そこには文字が刻印されていた。
死にあたいする者には死を
真実に気付いた者にだけ、私の狂気が理解される
文章の最後に日付が刻印されている。刻印された日付は犯行のあった日だった。




