過去からの依頼人(その6)
「現場百回だな」
ミツオとエリーは第一の殺害現場にやってきた。人里はなれた場所にある建物はまだ解体されずにその場所にあった。
「スカイビーグルの方が便利ですよね」
エリーはミツオの愛車がタイヤで走る車を愛用していることを揶揄して皮肉を言う。
「まあまあ、いいじゃない。あなたは濡れないでしょう」
晴れることのない、霧雨が立ちこめる地上。ブルが入ってこれる所までは来たが、徒歩でここまでやって来た。
ミツオはすでに全身しっとりと濡れている。エリーは反重力を利用したシステムで体に付着する水分はまったくない。
当時の記憶を頼りにミツオは足をすすめる。
「ミツオさんは捜査に参加していたのですね」
「そうだ。ここで犯人の残した遺留品は何も無かったと記憶している」
「じゃあ、私が調べます。ミツオさんが現役のころには存在しなかった技術です」
ミツオは貯水タンクのはしごを登り始めている。
「どうぞお願いします」
タンク上部に到達したミツオはハッチを開ける。内部はステンレスの輝きが残っていて、年式のわりには綺麗な状態を保っていた。
ミツオは地上にいるエリーを見下ろす。
「ちなみに、どんなテクノロジーでしょう」
エリーは頭を上下左右、忙しく振っている。




