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ルナちゃんが好きなキラキラは、ママとパパも好きでした

作者: 来留美

楽しくお読みいただけましたら、幸いです。

「ママ、ルナちゃんとキラキラを探しに行こうよ」


 ある日ルナちゃんは、元気のないママに言いました。

 ママはいいよとニコニコ笑いながら言います。



 ルナちゃんは、帽子をかぶり、手袋とネックウォーマーをつけます。

 ママが心配をして、手袋と耳当てもルナちゃんにつけます。

 ルナちゃんとママは準備ができたので出発です。



 ルナちゃんとママは手を繋いで道を歩きます。

 車がたくさん通る道なので、ママとしっかりと手を繋ぎます。



 横断歩道があり、信号が赤色なので止まります。

 青になってから、右見て、左見て、もう一度右を見てから手を上げて渡ります。


 止まっている車の中にいるお姉さんが、ニコニコと笑ってルナちゃんを見ています。


 ルナちゃんは渡り終えると止まっている車に向かって頭を下げます。

 それを見ていた車の中にいるお姉さんがルナちゃんと同じように頭を下げます。


 そしてお姉さんが手を振るので、ルナちゃんも手を振ってバイバイと言います。

 隣にいるママは嬉しそうに笑います。


「ルナちゃんは、イイコだね。ママ、嬉しいよ」


 さっきまで元気の無かったママが今は嬉しそうに笑うので、ルナちゃんは嬉しくなって、スキップをしてしまいます。



「ワンっ」


 犬の鳴き声にママは驚くのに、ルナちゃんは驚くこともなく、犬に近寄ります。

 ママはルナちゃんが犬に噛まれないか心配をしています。


「ゴロウ、お座り」


 ルナちゃんが犬のゴロウに指示をすると、ゴロウはお座りをしました。

 ルナちゃんはゴロウと仲良しのようです。


 ルナちゃんはしばらくゴロウを撫でたり、ゴロウと遊んだりしていました。

 ママはそんなルナちゃんを見守っています。


「じゃあね、ゴロウ」

「ワンっ」


 ルナちゃんはゴロウとお別れをして、また歩き出します。

 しかし、ルナちゃんは、どこへ行くつもりなのでしょうか?



「ルナちゃん。疲れてない?」


 ママが心配をしてルナちゃんに聞きます。

 ルナちゃんはママを見て、言います。


「全然、疲れてないよ。ママは疲れてない?」

「ママも全然疲れてないよ」


 ルナちゃんとママは、疲れることもなく、まだまだ元気に歩きます。



 すると、どこからか焼きたてのパンの香りがしてきました。

 ルナちゃんはショーウィンドウの前で止まります。

 そしてショーウィンドウの前で目をキラキラさせています。


「パンを買おうか?」


 ママがルナちゃんに言います。

 ルナちゃんは、ニッコリと笑い頷きます。

 パン屋さんに入り、ルナちゃんはお目当てのパンを買います。


「ママにはこれをあげるね」


 ルナちゃんは買ったばかりのパンをママに渡します。


「こんな可愛いパンをママが食べてもいいの?」

「うん。美味しいパンをママにあげたいの」

「ありがとう。ルナちゃん」


 ママはルナちゃんから、猫の形をしたパンを貰いました。

 可愛い猫の顔のパンはルナちゃんのお気に入りみたいです。



 それからルナちゃんは、また歩きます。

 ママは何処に行くのか分からず、ルナちゃんと手を繋いだままルナちゃんについていきます。


「あっ、ゴミが落ちてる」


 ルナちゃんは道に落ちていたゴミを拾い、ポケットに入れていた袋に入れます。

 ルナちゃんが慣れた手付きでするので、ママは驚いています。


「ママ、もうすぐだからね」


 ルナちゃんはゴミ袋をポケットにしまってから、ママに笑顔で言います。



 すると、ママの目の前にルナちゃんの目的地が現れました。


「ルナちゃん海?」

「そうだよ。海にはキラキラがたくさんあるんだよ」


 ルナちゃんはそう言うと、砂浜に入っていきます。

 ママも一緒に砂浜に入っていきます。


「ママ、あれを見て」


 ルナちゃんは海の水面を指差します。

 ママはすぐにルナちゃんが何を言いたいのか気付きます。


「水面の白波が太陽に照らされてキラキラ光っているのね」

「白波?」

「そうだよ。ルナちゃんには、泡がキラキラ光っているって言う方が分かるかな?」

「泡がキラキラ?」

「そうだよ。綺麗だね」

「うん。ルナちゃんはキラキラ大好きだよ」


 ママとルナちゃんは砂浜に座ってキラキラを眺めます。



「お~い」


 二人の後ろから聞き慣れた声が聞こえます。

 二人はすぐに振り向きます。

 そこには、パパが立っていました。


「パパだ」


 ルナちゃんはパパに手を振ります。

 パパはゆっくりと二人の所へ歩いてきます。


「パパ、いつもの道を通って、ママとここまで来たよ」

「ルナちゃんは偉いね」


 パパはルナちゃんの頭を撫でます。

 ルナちゃんとママが通った道は、いつもはルナちゃんとパパが通る道なのです。



 ママは入院をしていて、今日やっと退院できたのです。

 そんなママにキラキラを見せたくて、ルナちゃんはパパと何度もこの道を通って覚えました。


「ルナちゃんは良いお姉さんになるね」

「うん。ねっ、赤ちゃん」


 ルナちゃんは、パパが抱いている赤ちゃんの頬をツンツンとつつきながら、照れています。



 ママは赤ちゃんを産むために、入院をしていて、今日は退院の日だったのに、赤ちゃんとは一緒に退院できなかったのです。


 そんな落ち込んでいるママを見て、ルナちゃんはキラキラを見せるために、この海に来ました。


 パパは赤ちゃんの様子を見に行っていて、退院の許可が出て、赤ちゃんを連れて帰ってきたようです。


「ママ、本当はオレンジ色になったキラキラの方がルナちゃんは好きなんだけど、今日は見れないね」


 ルナちゃんは落ち込んでいます。


「ルナちゃん。あそこにカフェがあるから、あそこで待っていたらキラキラがオレンジ色になるかもよ」

「本当? 待ってていいの?」


 ルナちゃんの目は嬉しさのあまり、キラキラとしています。

 ルナちゃんとママとパパと赤ちゃんは、カフェで泡がオレンジ色になるのを待ちました。



「あっ、ルナちゃん。オレンジ色になってきたよ」


 ママは、ルナちゃんに言いますが、ルナちゃんはウトウトしています。

 歩き疲れたのでしょう。


 ルナちゃんはママに抱かれながら、砂浜に行きます。

 ルナちゃんの好きなオレンジ色の泡がキラキラ光っています。


「ルナちゃん、綺麗だね」

「うん。やっぱりママの心臓の音がゆっくりになるね」


 ルナちゃんは目を擦りながら、言います。


「えっ、ルナちゃん?」

「ママのお腹の中にいる時だったからキラキラは見えなかったけど、ママのお腹の中が温かくなって、ルナちゃんもポカポカだから大好きなの」

「ルナちゃんは、お腹の中にいた時のことを覚えているの?」

「ちょっとだけなら覚えているよ。隣にはパパがいたのも覚えているよ。パパの声が聞こえてたもん」

「ルナちゃん。大好き」


 ママがルナちゃんをギュッと抱き締めます。

 ルナちゃんはそんなママの温かさにまぶたが重くなり、眠ってしまいました。


「ルナちゃん。生まれてきてくれてありがとう」


 ルナちゃんにママの言葉が聞こえていたのかは分からないけれど、ルナちゃんの幸せそうな寝顔を見たママには分かっているはずです。




「ママ、産んでくれてありがとう」


 ルナちゃんは必ず、いつかママに言うでしょう。

 オレンジ色のキラキラを一緒に見ながら。



 

 ルナちゃんが好きなキラキラは、ママもパパも好きなキラキラでした。

お読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しくお読みいただけましたら執筆の励みになります。

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