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エピローグ


 それから、少しだけ未来の話しをしよう。

 解散した聖女クラスのメンバーは自国に帰った。


「まぁまぁ、楽しかったわ。見たことない薬草もあったし、国にいるより羽を伸ばせたかしら」

「クロンも楽しめたようですし、悪い時間ではありませんでしたね」


 クロンとジャンヌは、自分の国で、自分の立場をはっきりさせ、性別に関わらない影響力を見せている。

 クロンは家の手伝いに力を入れている。

 宰相業務は優秀な兄がいるため、そちらに丸投げしているらしい。

 植物や薬の研究は相変わらずで、シェリも旅の途中で寄ってほしいと何度も言われている。

 どうやら、乾燥や育てて欲しい植物があるらしい。

 行った瞬間にこき使われることが見えているので、彼女の国を訪れるのはだいぶ後のことになるだろう。

 

「シェリの力を貸してほしいことがたくさんあるから、共和国に来るときは絶対顔を見せてね!」


 ジャンヌの剣の腕はさらに冴え、軍で指導に当たりながら、クロンの護衛騎士を務めているらしい。

 クロン自身がそこらの人間より強いため、勝手に山や深山幽谷に行ってしまう。

 彼女についていけるのはジャンヌだけであり、家からは自分の力を存分に発揮しろと言われているとのこと。

 武闘会で「どうなっても大丈夫」と言っただけのことはある。

 あれから無敗記録は、また積み上がり始めた。


「私が負けたのはクロンだけですよ」

「あんなのは、勝負に入らないでしょうに……まったく、しょうがないわね」


 そうジャンヌが度々口にするので、クロン最強説が流れているらしい。

 そのことについて、クロンは怒っているらしいのだが、ジャンヌは暖簾に腕押し状態で気にしていない。

 2人のやり取りが目に見えるようだった。


「さて、漁夫之利の時間やで」

「はい。セボさまのしたいように動ける準備はできております」


 セボはさらに派手だった。

 なんと、崩れかかっていたティーアを吸収し、自国の領土にしてしまった。

 そのまま領主になり、辺境伯という名を頂いている。


「やっぱり、こういう旨味がないとなぁ」


 辺境伯なんて言えば耳障りはいいが、もともとは国として成り立っていた地域だ。

 その権力は王様に匹敵するものになる。

 この国を手に入れるために、セボは王位継承権を放棄した。

 

「取れるかわからん王冠より、確実に取れる実験に手を伸ばしたほうがええやろ? 名より実や」


 あっという間に手中に収めた彼女の言葉である。

 なれるかわからない王位より、確実に手に入る領土の方が魅力的だったらしい。

 王家の中でも神と交信する力は一番強かったため、名前を変えた王国として継続している。

 スムーズに乗っ取りが行われ、市井の民に影響が出なかったのも大きいだろう。


「我が主のために、成すべきことをするだけです」


 セボがその状態のため、サーヴァの仕事も自然と変化していた。

 領主として頂点に立つイオのため、影から情報を集め政務を回している。

 自分ひとりではセボを支えるのに足りないと、この頃は人材の発掘と育成に力を入れているらしい。

 サーヴァが誰かを育てるところは想像できなかったが、セボのためであれば無難にこなしてみせるだろう。

 

「手紙、なんて書いてありました?」

「まぁ、近況報告ね。相変わらず、好き勝手やっているみたいだわ」


 シェリは手紙から顔を上げた。

 クロンとセボからである。他の二人のことも一緒に書いてあるのが、とても彼女たちらしい。

 気づかぬ内にすぐ側まで来ていたイオに微笑み、手紙を差し出す。


「私のことに気づいていたくらいの皆さんですから、どこでも好きに生きているでしょうね」


 イオは選定の儀のことを思い出したのか、苦笑いを浮かべた。手紙を読む気はないらしい。

 シェリも彼女たちが簡単にどうにかなるとは思っていない。

 家に帰っても好き勝手するのは目に見えていることだった。


「クロンから熱烈な勧誘が来てるわね。人のことを植物便利人間とでも思っているのかしら」


 手紙を綺麗に折りたたみ、便箋に入れる。それから机にしまい込む。

 ティーアがセボの国に吸収されたが、シェリの家は続くことができた。

 今はセボから与えられたイオの家に一緒に住んでいる。

 二人での生活は寮の延長のようで、また違う新鮮さがあった。


「シェリさまの能力は、クロンさまと相性が良いですからね」


 イオの口調は、前と変わらない。

 どうやらシェリの前では神としてより、こっちの姿で過ごしたいらしい。

 ニコニコしている彼女が、雷を落としまくっていたのは、今思い出しても背筋が冷たくなる。


「そうだけど……むしろ、イオの方ができることは多いのではなくて?」


 ちらりと彼女を伺う。

 イオはシェリの視線に苦笑いするだけだった。


「わたしですか? わたしの場合、小さな力加減ができないので、シェリさまみたいなことはできませんよ」

「そういうもの?」

「そういうものです。屋敷ごと焼けていいなら、挑戦してみますけど」


 どうすればそうなるのだろう。

 シェリはひくりと頬を引きつらせた。


「……それは遠慮したいわね」

「ですよね。わたしもクロンさまの家にいってまで、そんなことしたくありません」


 イオが大きく何度も頷く。

 思っていたより、神というものは力加減ができないらしい。

 だからこそ、サポート能力が高いシェリが共にこうどうすることになったのだが。


「次はどこにいくのかしら?」

「次はどこに行きたいですか?」


 シェリの質問に、イオはすぐさま問いかえす。

 にこにことした顔。温かい赤い瞳がシェリを見つめている。


「そうね。セボの実家の方はどうかしら?」

「あっちにも、多くの伝承がありますし、楽しそうですね」

「ええ、私も一度行ってみたかっらの」

「じゃあ、そうしましょう」


 気ままに、気軽に、イオとの旅は続いていく。

 今は穏やかに流れる時間に身を任せたい。

 二人の楽しそうな会話はいつまでも続いていた。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

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お返事なかなかできていませんが、感想もすぐに嬉しく読ませてもらってます。

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