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5-13. 海王星へ埋葬

 神殿でドロシーはヌチ・ギに追い詰められていた。

「やめてぇ! こないでぇ!」

 必死に叫ぶドロシー。

「いいね、その表情……そそるな……」

 ヌチ・ギはレーザー発振器を胸ポケットに入れると、ドロシーの手をつかみ、両手首を左手でもって持ち上げた。

「なにするのよぉ!」

 ドロシーは身をよじるがヌチ・ギの力は強くビクともしない。

「そう言えば、お前をまだ味わってなかったな……」

 ヌチ・ギはドロシーのワンピースを右手でビリビリと破いた。

「いやぁぁぁ!」

 あらわになる白い肌。

「実に……、いい肌だ……」

 そう言いながらヌチ・ギは肌をいやらしく揉んだ。

「ダメ――――! やめてぇ!」

 ドロシーは顔を歪ませながら悲痛な叫びを上げる。

 ヌチ・ギはいやらしい笑みを浮かべ、

「うん、その表情……、実に美しい……」

 そう言うとドロシーをテーブルまで引きずり、テーブルの上に転がした。

「いたぁい!」

「さて、ちょっと大人しくしてもらおうか」

 ヌチ・ギはドロシーの眉間をトンと叩いた。

「うっ!」

 ドロシーはうめくと、手足をだらんとさせた。

「さて、どんな声で鳴くのかな……」

 ヌチ・ギはズボンのチャックを下ろし、準備をする。


「やめてぇ……、あなたぁ……」

 ドロシーは転がったポッドを見つめ、か細い声でつぶやきながら涙をこぼした。

 ヌチ・ギはドロシーの両足を持ち、広げる。


「クフフフ、気持ち良くさせてやるぞ、お前も楽し――――」

 話している途中でヌチ・ギがフッと消えた。


 カン、カン……

 巨大化レーザー発振器が落ち、チカチカと光りながら転がって行く。

 転がった先に動く影……、それは全く予想外のものだった。


 神殿に、また危機が訪れる。


       ◇


 同時刻、海王星――――。


「ヨシ! ヌチ・ギの反応が消えたぞ!」

 満面の笑みでレヴィアが言う。

「やったぁ! これで万事解決ですね!」

「うむ! ご苦労じゃった!」

 俺たちは両手を高く掲げハイタッチをし、思わずハグをした。

 レヴィアの身体は思ったよりスレンダーで柔らかかった。胸に柔らかく豊満な温かさが当たるのを感じ、俺はしまったと思った。

 ふんわりと立ち上る、華やかで本能に訴えてくる匂いを振り切るように俺は離れた。


「なんじゃ? 我に欲情しおったか? キャハッ!」

 レヴィアはうれしそうに笑う。

「ちょっと、うかつでした、すみません」

 俺は右手で顔を覆い、真っ赤になりながら横を向く。

「ふふっ、そう言えば、『何でも言う事を聞く』というお主との約束……まだ残っていたのう……」

 レヴィアは俺の胸にそっと手をはわせ、獲物を見るような眼で俺を見る。

「あー、それは全て終わってからまたゆっくり相談しましょう」

 俺は身をよじり、なけなしの理性を総動員して言う。

「ふぅん、素直じゃないのう……」

「昨日、チャペルで誓ったので」

 レヴィアは俺の目をジッとのぞき込み……、

「まぁええわ、帰るとするか」

 と、つまらなそうに言った。


 危なかった……。でも、この大人のレヴィアとはさよならだと思うと、ちょっともったいなくも感じ……。イカンイカンと首を振った。


 とりあえず早くドロシーの所へ戻らないと。俺は大きく息をつき、

「どうやって帰るんですか?」

 と、聞いた。

「意識を自分の本来の身体に集中すれば、自然とこの体に向いてる制御が切り替わるのじゃ」

 レヴィアは難しい事を言う。

「え? 何ですかそれ!?」

「まぁいい、とりあえずシャトルへ戻るぞ。こんな所に死体を置いておけないからのう」

「死体?」

「この身体、もう返却不能じゃからなぁ……」

 言われてみたらその通りだった。この身体はスカイポートで借りたもの。スカイポートに戻れない以上捨てるしかないが、そうなったらこの身体は死んでしまうだろう。

「何とかなりませんかね?」

「海王星の奥深くに埋葬する以外なかろう。証拠隠滅じゃ」


 自分の身体を埋葬する……。それは今まで想像したこともなかった概念だった。









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