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5-10. 巨大化レーザー発振器

 噴火も収まり、静まり返った神殿でドロシーは呆然(ぼうぜん)としていた。

 自らの命をなげうってヌチ・ギと共に火口に身を投げ、そして灼熱のマグマの真っ赤な噴火の中に消えていった五人の美しき乙女たち。その最後の光景が目に焼き付いて離れないのだ。

 なぜこんな事になってしまったのだろう……。

 もっとうまくやる方法はなかっただろうか?

 ドロシーは目を閉じ、考えてみるが、他にいい方法は思い浮かばなかった。


 テーブルに突っ伏し、

「あなたぁ……。早く帰ってきて……」

 と、つぶやいた。


 その時だった。


 ズーン! ズーン!

 激しい衝撃音が神殿を揺らした。


「え!? 何!?」

 身体を勢いよく起こし、青ざめるドロシー。


 ガーン!

 神殿の一角が崩壊し、男が現れた……、ヌチ・ギだった。

 服は焼け焦げ、顔は(すす)だらけ、髪の毛はチリチリになりながら、ドロシーを憎悪のこもった鋭い目でにらんだ。

「娘……。やってくれたな……」


 最悪の事態となってしまった。噴火でもしとめられなかったのだ。


「い、いや! 来ないで……」

 思わず後ずさりするドロシー。


 ヌチ・ギはよたよたと足を引きずりながらドロシーに近づいていく。

「私の最高傑作の戦乙女(ヴァルキュリ)たちを陥れるとは、敵ながら天晴(あっぱ)れ……。その功績をたたえ、お前も戦乙女(ヴァルキュリ)にしてやろう……」

 引きつりながらもいやらしく笑うヌチ・ギ。


「ひ、ひぃ……」

 瞳に恐怖の色を浮かべながら引きつるドロシー。


「時に、レヴィアはどうした? あのロリババア何を企んでる?」

「し、知りません。私は『ボタンを押せ』と言われてただけです」

「そのポッドは何だ?」

 ヌチ・ギはポッドへ近づいていく。

「何でもありません! 神殿を勝手に荒らさないでください!」

 ドロシーはポッドをかばおうと動いたが……。

「ほう、ここにいるのか……。出てこいレヴィア!」

 ヌチ・ギは右手にエネルギーを込めるとポッドに放った。


 ドガン!

 エネルギー弾を受けてゴロゴロと転がる二台のポッド。

「止めてぇ!」

 泣き叫び、ヌチ・ギにしがみつくドロシー。

「よし、じゃ、お前がやれ。今すぐに戦乙女(ヴァルキュリ)にしてやる」

 そう言ってヌチ・ギは奇妙なスティックを出した。

「な、なんですかそれ?」

 大きな万年筆みたいな棒をひけらかしながらヌチ・ギは嬉しそうに言った。

「これが巨大化レーザー発振器だよ。これで対象を指示するとどこまでも大きくなるのだよ」

 そう言いながらヌチ・ギは椅子を指し、レーザーを出した。グングンと大きくなっていく椅子はあっという間に神殿の天井にまで達し、大理石の天井をバキバキと割った。

「キャ――――!」

 ドロシーは悲鳴を上げながらパラパラと落ちてくる破片から逃げる。

「はっはっは、見たかね、巨大化レーザーのすばらしさを!」

 うれしそうに笑うヌチ・ギ。


「この巨大化レーザーの特徴はね、大きくなっても自重でつぶれたりしないことだよ。例えばアリを象くらいに大きくするとするだろ、アリは立ち上がる事も出来ず、自重でつぶれ死んでしまう。でも、この装置なら強度もアップするから、大きくなっても自在に動けるのだよ。まさに夢のような装置だよ。クックック……。さぁ、君にも体験してもらおう」

 そう言って、レーザー発振器をドロシーに向けるヌチ・ギ。

「や、やめてぇ!」

 走って逃げるドロシー。


「どこへ行こうというのかね?」

 ヌチ・ギは空間をワープしてドロシーの前に現れ、ニヤッと笑った。

「いやぁぁぁぁ!」

 神殿には悲痛な叫びが響いた。


お楽しみいただき、ありがとうございます(*´ω`*)

書籍化を目指して日々、頑張っています(´▽`*)


ポイントがたまりますと夢に近づきますのでぜひ、ブックマーク、評価をお願いいたします。


読者様のご厚意が執筆のエネルギーとなります(/・ω・)/

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