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洞窟で快眠するコツはやわらかいものです

1日1回投稿 17時予定

「ところで今日泊まる場所とかは大丈夫?」

 幸太郎さんが心配そうな目で私を見てきます。

「それは大丈夫です。アリューさんが泊めてくれるそうなので」

 実は先程、村に戻る道でそんな話をしました。ほとんど事情を知ってるアリューさんなら私も助かります。幸太郎さんの質問は予想できていましたし、間違っても敵の本拠地で寝泊まりさせてもらうわけにはいきません。なのでしっかり先手を打たせていただきました。

「あの気難しいアリューとすっかり仲良くなったようで、相当気に入られてるね」

「気難しい感じはしなかったのですが」

「サラは特別よ。こやつといるとたのしいことが起きそうな気がする」

 幸太郎さん、気に入られているというよりは新しいおもちゃを見つけた感覚に近いのではないかと。進言することはあきらめアリューさんの洞窟へと今日は帰りました。


  洞窟の中は広くこれならば龍も寝ることができると納得できるものでした。

  私は夕飯を食べ終わり洞窟の外に夜風に当たりに行くと言って今一人で出てきています。

「ようやく一人になれました。さて」

 もしかしたらアリューさんにばれているかもしれませんがクロムさんと話すときはこうやって一人の空間でします。

「クロムさんおきてますかー」

 自分の服に向かって話しかけるという他人から見たら奇妙な光景ですね。

「もちろんです。24時間体制でサラ様を外敵からお守りいたしております」

「ありがとうございます。とりあえず今日のことを踏まえ明日以降の計画を立てましょうか」

「了解いたしました」


「さて、まず強硬策というか力でねじ伏せる計画は無理そうです」

「それは我では力不足ということでしょうか」

「いえ、そういうわけではないのですが」

 というかクロムさんのステータス見ようとしても女神様の細工で見られないようになっています。あの女神様は誰かががんばる姿を楽しんでおられるようで神様としてある意味正しいです。本当に憎たらしいほど神様してます。

「私が知っている限りのクロムさんの力では厳しいですね。村人全員強いです。あとアリューさんとかアニスさんとかエリーさんに至っては特殊な加護、スキルを保有しているようなのでさらに厳しいです」

「外来種のほうはどうだったのですか」

「ああ、幸太郎さんですか。ああ見えて戦闘技能もしっかりありますね。スキルの組み合わせで何してくるかわからないところが最高に怖いです」


 私はスキルを見られますがそれを使って何をしてくるかまではわからないのです。地球の人間はぶっ飛んだ発想でスキルのありえない使い方をしてくることもあります。それが一番怖いんですよほんと。しかも私がステータスを見られるのは当人が目の前にいる時のみという変な制約まであります。

「今回はサラ様にすべてお任せします。この間は先走ってしまい結果的にサラ様に助けていただきました」

 これ以上迷惑をかけたくないことと謝罪の言葉をいただいたのですが。ここでちょっと思い出してほしい。彼はプロフェッショナルで私は素人のはず。見ているだけでいいみたいな話から始まり気づけば今では作戦指揮まで任されております。この話はやめましょう。天界でニマニマしている上司の面が目に浮かぶので。

「わかりました。今日得た情報で一応作戦は考えました。少し長期戦になるかもしれないのでクロムさんも覚悟してくださいね」

「お任せください」

 とりあえずまだ作戦内容がふわふわなので今日は話を切り上げアリューさんのところへ戻りました。

 

 今日は地べたじゃなくシングルベッドが用意されていたことに若干の嬉しさを感じました。昔、アリューさん用に幸太郎さんが用意してくれたものらしいです。でも、アリューさんは龍の姿で寝ることが多いのであまり使っていないそうです。

 ん?おかしいですね。ならなぜ今アリューさんが人間の姿になっているのでしょうか。

「わらわも一緒に寝てもよいか?」

 少し控えめな声で私にそんな質問をしてきました。人間の姿になっている理由が分かりました。

「もちろんですよ。というかアリューさんのベッドを借りるのは私なのですが」

「細かいことはよい。わらわは一緒に寝たい」

「は、はい。よろしくお願いします」

「そんなに緊張せずともよい。わらわの気まぐれよ」

 私が布団に入るやいなや私に抱き着いてきました。 

「あ、アリューさん!?」

「んー、この布は邪魔じゃのう。脱いでくれぬか」

 私の着ていたシスター服もといクロムさんを脱げと言われます。強力な力を持つ龍にもちろん抵抗などできるはずもなく言われた通り服を……服を……服を恥じらいながら脱ぎました。

「うむ、よい」

 アリューさん私もう下着しかないのですが。まって、来ないでください。まだ心の準備が。

「浄化」

 アリューさんのスキルが発動しました。

「あ……ああ、そういうことですか。ありがとうございます」

  [浄化]は体を隅々まできれいにしてくれるスキルです。私をきれいにするために服を脱がせたんですね。

「では、寝るか」

 再びアリューさんが抱き着いてきます。というかベッドに押し倒されます。私まだ下着のままなんですが!?

「アリューさん!?」

「一目見たときから思っておった。おぬしを抱きながら寝たい」

 睡眠に質を求めるタイプなんですねーってそうじゃないです!アリューさんの私にない部分の柔らかさを背中越しに感じます。

「思った通り抱き心地がとても良い」

 めちゃくちゃうれしそうですねこのドラゴンさん。

「サラよ。こっちを向いてくれぬか」

 言われるままに背中を向けていた体をアリューさんの方へ。

「うむ、こっちのほうが良いな。それにおぬしもまんざらではないという顔をしておるぞ」

「あふー」

 はい、正直に言います。私はアリューさんの胸に顔をうずめる形になっているのですがとてもやわらかく幸せな気持ちになっています。しかもなにかいい匂いまでします。ああ、このままずっとこうしてたい。

「ふふ、ゆっくり休むがよい。お休み、サラ」

 その言葉と頭に添えられた手に妙な安心感を覚え、私はいつの間にか眠っていました。床に放置したクロムさんも忘れて。


 翌朝、いつになく快眠だった私です。いや無理ですあれに逆らうことなんてできません。睡眠の質って大事です!まだ、ベッドで寝ているアリューさんの腕を頑張って引きはがし私はクロムさんを拾い上げました。

「誠に申し訳ありませんでした」

「お気になさらず」

 私にしか聞こえないくらいの音量でクロムさんが返事をくれます。やさしい怨念でよかったです。

 そのあと、朝食をとりつつ私はアリューさんから幸太郎さんについての情報を聞いてみました。成果はまあまあといったところ。朝食後、アリューさんと村へ向かいました。


村に着くなり本人がお出迎えしてくれたので昨日考えた計画の方を進めていきましょうか。

「おはようございます幸太郎さん、さっそくで悪いんですが相談に乗ってもらえますか」

「お安い御用さ。立ち話もなんだからうちに来てくれ」

 向こうも察しているのか話が早いですね。幸太郎さんの家へと案内されました。


 昨日お邪魔したリビングに再び通してもらいました。今回はアリューさんも一緒です。

「いらっしゃいサラちゃんとアリューさん」

「おお小娘、しっかりとわらわの名を覚えていたか。感動したぞ」

 昨日の件まだ引きずっていたのですね。

 皆さんが椅子に座り、落ち着いたタイミングで切り出します。

「幸太郎さん、わたしはやっぱりこの村に教会を建てたいと思っています」

 私の考えが正しいのなら彼はこの計画に確実に乗ってきます。

「一応、理由を聞いていいかな」

「村の皆さんと触れ合ってこの村なら教会を建てるのにふさわしいと考えたからです」

「それはうれしいね。村のみんなも教会を建てることには反対していなかったよ」

 こんなにも早く確認を取っているあたりやはり彼は……


「ですが、建てるにあたって問題がありますよね。場所とお金、あと職人も必要です」

「そうだね。場所はけっこう空いているから気にしなくていいけど、腕利きの職人を雇ったり材料費は馬鹿にならない」

「幸太郎さんのこの家はどうやって建てられたのですか?できれば参考にしたいなと思いまして」

「村のみんなと協力して建てたって感じかな」

 なにかしらのスキルの組み合わせでぱぱっと建てたと踏んだのに計算外です。

「いろんな人にお願いして少しずつ自分の頭の中にあった家を建てたんだ」

 コミュ力チートの類でしたか。これは無理ですね。私はやりたくな

「だからさ。サラさんも皆にお願いしてみようよ」

 目を輝かせて何をぬかすんですかこの外来種さん。おっとクロムさんの影響が出てしまいました。

「大丈夫、村は助け合いの精神で今までもやって来たんだ。サラさんにも協力してくれるはずだよ」

「いえ……わたしは……あの……」

 なにか発しなければならないのにスキルか加護でも発動しているかの如く私の思考をかき乱す感じにぐいぐい来るのですが!

 助け合い。それはやられたらやり返すと同じレベルの呪詛なんですよ。一つ仮を作れば必ず返さねばならないのです。

「は……はい」


 最終的に完全敗北です。これから私は村の人たちに協力を取り付けて教会を作ることになります。

「あらら、幸太郎のやる気に火がついちゃったわね。こうなっちゃうとサラちゃんの教会が完成するまでぐいぐい来ると思うわ」

 同情するエリーさんの声は

「でも、幸太郎の何かやりたいことを見つけたときのあの感じやっぱり好きだなあ」

 少しうれしそうに聞こえました。


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