01 エラーコード
そういえば…LINEスタンプ作りました。
後書きにスタンプの名前書いときますので、良かったら買ってください〜。
この記憶は、正規軍に入っての初任務の記憶だ。
ボクがまだ、人間と呼べる頃だろう。
砂漠地域での任務だった。
出撃前、同期の仲間と話すことも無く、武装保管庫のロッカールームで装備の確認をしていた。
所属している部隊、[シグマ部隊]の隊長がロッカールームに入ってきた。
「他の奴は初任務だと浮かれてるのに…お前は真面目だな…」
「…浮かれていたら、すぐに殺られるのが戦場ですからね…」
「はは…その通りだな!」
隊長の笑い声がロッカールームに響いた。
ボクは赤いマフラーを首に巻いた。
「ここは雪山じゃないぞ?」
隊長が、からかう様に言った。
「これは首を攻撃から守るためと、自分が自分だとを主張するために巻いてるんですよ…。それに…血の色も誤魔化せますし…」
「首を守るためって…どんな強度だよ…」
「ライフル弾でも貫通しないらしいですよ〜」
「それは…俺も欲しいな」
「難しいと思います…これは身内がくれた物なので」
「それは残念だな」
隊長と目が合った。
「しかし、不思議だな…お前さんの目は…」
隊長は 、まじまじとボクの顔を覗いた。
右眼は夕焼けのように上の方が赤で 下の方が黄の色をしており、それに変わって左目は[彼ら]と同じエメラルドグリーンをしていた。
「この目には、あまりいい思い出がありません…」
「そうか…だが俺には、お前さんの目が宝石のように見えるのだがな」
「そうですか…」
「長話をしたな…もう少しで任務が始まる…いずれアンタが、この部隊の隊長になるだろうな…[シグマ・レン]…戦果を期待してるぞ!」
「買いかぶり過ぎですよ隊長…」
隊長はボクの言葉を聞くと、笑いながらロッカールームを出ていった。
これが最後の会話だった。
━━━━━━━━━━━━━━━
弾丸の雨が降り注ぐ中、ボクは敵を倒しながら駆け抜けた。
この時の敵は傭兵だった。
たしか、[スライダー]だったか…
[スライダー]は警備傭兵だ。資料で見たがが、他の警備傭兵とは違い、動きが早く高火力なのだ。
戦闘が始まって数秒で、戦況が変わった。
部隊の味方が次々と倒されて、部隊は分断させられ、隊長とはぐれた。
ボク一人になった。
「めんどくさい…」
ボクはスタングレネードを握りしめて敵に突っ込んだ。
「キーン」という鼓膜を破るような音と、目を焼くような白い光が同時に起こった。
それに合わせ、感覚を頼りに敵を一人、二人と撃ち続けて行く。
気づいた頃にはもう敵もいなくなっていた。
戦場で一人残された。
ボクとしてはどうでもいいことだった。ただ気がかりなのは、隊長とはぐれたことだ。
とにかく任務を確認する。
今回の任務は兵器工場の破壊だ。
ボクは死体を漁り終えると、敵の兵器工場に向かった。
━━━━━━━━━━━━━━━
兵器工場に着いた。
周りを見渡すと、他の部隊が既に集まっていた。
ボクが最後だった。
「お前…シグマ部隊か‼シグマ部隊がやっと来たぞ〜」
アルファ部隊の隊長がボクに気づいた。
「シグマ部隊シグマ・レン、ただ今到着しました」
「部隊名と苗字が一緒なんだな…これは‼運命か?!」
ボクは冷たい目を向けた。
「その運命とやらは残酷ですね…」
「そういえば…他の奴らはどうした?」
「隊長とは戦闘中にはぐれました…他の奴は…」
「……そうか…お前一人生き残ったのか…どこかに隠れてたのか?」
この人…めんどくさいな…
「敵は一人で倒しましたよ…」
「ほんとに…お前一人でか?」
アルファ部隊の隊長は、疑いの目を向けてきた。
「おおレンか‼さすがだな、生きて時間内に来るとは…」
作戦指揮官のフレアが、話しを断ち切る様にして話しかけてきた。
フレアはボクを正規軍に入れた人だ。
「命令を守っただけです…」
「『とにかく生き残れ』か…よくやった!
そうだ…ご褒美に、今からシグマ部隊の隊長に任名しよう‼」
「隊長…ですか…」
「そうすれば、こいつにとやかく言われることは無くなるだろう」
それは悪くない話だ。
「指揮官‼それではアイツが浮かばれません」
はぁ…本当にめんどくさい
「何を言っている、アイツは時間内に来なかったんだ。それならレンに任せた方が、任務がスムーズにいく」
「ですが…」
「別にお前が下に着くわけじゃないからいいだろ」
あのバカのせいでフレアの機嫌が悪くなりそうだ 。
「指揮官…隊長やりますよ」
「わかった。頼んだぞ…レン」
「了解しました」
ボクはフレアに向かって敬礼をした。
フレアは軽く手を振ってその場を去った。
時計を確認する。
もう少しで敵の兵器工場の破壊作戦が始まる…
ボクは装備を確認しながら、次の指示をまった。
━━━━━━━━━━━━━━━
なぜ…今、この記憶を思い出したのだろう…
そうだ…ここが似ている…いや…同じだからだ。しかし、なぜ自分のロッカーだけがここにあるのだろう…
それに、中に入っている装備はマフラー以外新品だ…
おかしい…
そんなことを思いながらも、自分の装備を装備する。
赤いマフラーを首に巻き、黒い帽子と[S.R] の文字が入った銀色の腕章がついている深緑のパーカジャケットを羽織り、生地が分厚い黒のショートパンツを履く。
やっぱり、このカッコは落ち着く…
「武器は…あった…」
サブマシンガンの[SMG45-SR]だ。
ボクが正規軍に入隊した時から使っていた武器だ。
分解して異常がないか確認する。
動作も問題ないようだ。
「これでよし…二人のところに戻るか…」
武器を元に戻し、手に持ち後ろを振り返ると、レーザートラップが張り巡らされていた。
「これ…行けるかな…」
レーザーを、一つずつ避けながらレーザートラップを壊していく。
「あ…」
機動してないレーザートラップが発動して、サブマシンガンを真っ二つに焼き切った。
「…」
即座にハンドガンに持ち変え、全てのレーザートラップを撃ち抜く 。
「はぁ…これで終わった…」
武装保管庫の前にいた二人が、慌てて駆け寄ってきた。
「おい!大丈夫か!?」
「…大丈夫」
「ふぅ…どうなるかと思ったぜ…」
アレぐらいのトラップなら対処できる…
感覚が鈍っているせいで新しい武器を失ったが…次は大丈夫だろう。
「この武器壊れちゃったから…続けてこのハンドガン使わせてもらうよ…」
「うん、いいよ〜」
ランが頭を撫でながら言った。
そういえば、この二人は異変に気づかないのだろうか…
「なんか変わったところとかない?」
「変わったところって……。あ……喋ってる‼」
「自然すぎて気がつかなかった…」
「二人ともひどいな…言われるまで気づかないなんて…」
「ごめんごめん…」
「いつ喋れるようになったの?」
「このマフラーを巻いてからだよ…」
「え…?!」
二人とも、時かが止まったようにビックリした。
「このマフラーのおかげで、壊れていた声帯が治ったんだよ」
「言ってる意味が分からないな…」
「そうですね〜…」
呆れた顔をされた。
気を取り直してボクは二人の方に向いた。
「そういえば…自己紹介してなかったね…」
一つ間を置いて、また口を開いた。
「ボクの名前はシグマ・レン、元正規軍シグマ部隊の隊長だったこともあるよ。君たちとは長い付き合いになるだろうから、これからもよろしくね…」
スタンプの名前は、
「シグマとΣのスタンプ.00」
です。
これからも、よろしくお願いします。