17 ボクはキミでキミはあの子…そしてあの子はボク
θ視点です。
なので話数の順番変えますね。
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突撃用ポット内。
わたしは装備の確認をしながら、衝撃に備える。
ほかの二人…。
εもηも大丈夫だろう。
「戦闘が始まる…」
昔のことを思い出す。
いつの記憶かは…私にはよく分からない。
灼熱の炎の中、一人ぼっちだったわたしを救い出してくれた、あの人の顔は今でも忘れない。
吸い込まれるような瞳をしたオッドアイの少女…。
そう…レン…彼女のことだ。
彼女はわたしに身体を与えて、『もう一人の自分』にした。
最初は怖かった…、だが次第に怖くなくなっていった。
なぜなら、彼女の『もう一人の自分』の人格は、元の人格を大切にするように、包み込んだからだ。
深呼吸をして、気を引きしめる。
「まだ…大丈夫…!」
━━━ズドンッ━━━
と…大きな音を立てて地面に突き刺ささり、土煙が舞い上がる。
絶好のチャンスだ。
「攻撃…開始‼」
ポットのドアを蹴破り、いっせいに武器を構え飛び出す。
「アハ…アハハハハ‼」
わたしは火炎放射器の圧力を調節しながら、敵の群れに向けて、トリガーを引いた。
炎の熱…熱でショートする音…声にならない叫び…。
これが…いいのだ…。
だって…これが『真のわたし』でいられるから。
炎で埋め尽くされた中を、ゆっくりと歩いていく。
空を見上げると、ミサイルの雨が降り注いでいる。
「おお〜やってるやってる…。さて…こっちはこっちのことをしようかな〜」
━━━バシュン━━━
?
火炎放射器の燃料タンクの一つに被弾したみたいだ。
ほう…これに穴をあけるとは…。
すぐさま被弾したタンクを外し、敵の方に投げる。
投げられたタンクは大爆発を起こして、敵を吹き飛ばした。
「あーあ、わたしのタンクを撃つからそうなるんだよ〜」
火炎放射器に装備されている、ショットガンを構える。
「吹っ飛べ!」
放たれた散弾が敵にあたり、爆発を起こす。
「こうも一方的だと…可哀想だね〜」
通信が入ってきた。
「θ、そっちはどう?」
現在地を確認する。
「もう少しで、目標につくよ〜」
「そう、こっちは、アルファチームと合流した。これからそっちに向かうね」
「了解…。ηの方はどうなってるの」
「ηは目標で待ってるって」
「早く行かないとだね〜」
はぁ…敵が囲んできたか…。
足に力を入れて、敵の頭上に飛び上がり、残りの燃料タンクを下に落とす。
「オマケもあげるよ!」
小型のクラスターグレネードも一緒に撒き散らす。
そして、ショットガンのトリガーを引く。
━━━ドガーン━━━
爆風で身体をさらに飛ばした。
着地するとそこは目標の前だった。
計算どおり…。
「到着‼️」
「おお〜さすがだね〜」
ηが手を振って近づいてきた。
「近くにいたなら、手伝ってくれても良かったじゃん」
「一人でも大丈夫だったでしょ?」
「そうだけど…」
「少し身軽になった?」
「燃料タンク捨ててきたからね〜」
「そっか〜…なら…」
ηが、いきなりむぎゅっと抱きついてきた。
そして、顔を近づけて、わたしのガスマスクを外して、唇にキスをしてきた。
「…!…ぷはぁ…。いきなり…どうしたの?」
トロンと表情が溶けている…元に戻さないと。
「えへへ…少し元気無さそうだったからつい…」
…さすがに隠せないか…。
本調子じゃないことは…。
「もう一回しておく?今度は深いの!」
「うん…」
もう一度唇を合わせる。
次は舌が入ってきて、絡み合う。
「…あ…じゅる…ん…」
全身に魔力が流れるのがわかる。
今は繋がっているんだ。
…気持ちいい…。
わたしは、魔力を自分で作るのは苦手だった。
操るのもあまり得意ではない。
なのに、少くなると身体が思うように動かなくなるのだ。
そんな時、いつも救ってくれるのは、ηかレンだった。
ほかのみんなとは、あまり相性が良くないのだ。
ゆっくり引いて、見つめ合う。
「ん…いつも…ありがと…お姉ちゃん…」
「…これがボクの得意な事だから気にしないで」
「……」
「…あの〜…イチャイチャするのは後からしてもらえると…」
後ろにεたちがいた。
「やっときたんだ〜」
「むぅ…いい所だったのに!」
「ηは美味しかった?」
「…美味しかった…」
みんなが微笑ましい目で見てきた。
顔が熱くなる…。
「かわいいですね〜」
「まったく…敵がまだいるのに…何やってるんだか…」
目を逸らし、ηの方を見る。
誰かと通信しているみたいだ。
おそらく、∑だろう。
「…繋がらない…。アプルは繋がる?」
「こっちは繋がった。座標の場所見てきてくれる?こっちは、中に行くから」
「わかたよ〜」
ηはそう言って、黒い粒子になってその場から消えた。
「θこれ」
「これは?爆弾と…何?」
「近接用の兵装だよ。今の装備じゃ物足りないでしょ?」
ブレード…。
このブレードは、刀身が高熱になり有機物に近づけると発火するやつだ。
「どこから持ってきたの?」
「敵が持ってたから、奪った」
「大変だったでしょ?」
「指二本分の犠牲だったよ」
そう言って、左手を見せてきた。
人差し指と中指が、第二関節ぐらいから斬られていた。
「…やったやつは?」
「あっちでなんかあったみたいだったから、その隙に私が逃げた」
「はぁ…弱体化してる時に…なんで強敵がくるかな…」
「ほんとだね〜」
ブレードをもち素振りをしてみる。
妙に腕に馴染む。
気持ち悪いぐらいに馴染む。
一息ついて鞘にしまう。
あれ…身体が震えてる?
「どうしたの?」
「…なんでもない…。そろそろ行こっか」
「準備はいい?」
「いつでもいいよ、アプル…」
ドアに爆弾を設置して、起爆と同時に中に突入する。
「この…感覚…」
自分に似た反応が最深部の方にある。
確かめなければならない…。
『アレが』何なのかを…。
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