表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/32

12 ボクはキミでキミはあの子…そしてあの子はボク

戦闘シーンとかほとんどないから次回書こうかな。


少しの間、沈黙が続いた。


「まずは自己紹介からだな…。アタシの名前はハイカだ。見ての通り獣人族だ」

「盾役をしているザビーだ」

「魔法少女マナノだよ〜」


こちらも自己紹介をしよう。


「ボクの名前は、シグマ・レン…見ての通り新人だよ?」

「あはは、お姉ちゃんは新人だけど能力はあボク以上でしょ?あ…ボクはタウだよ〜。シグマ・タウ。自称ベテラン冒険者をやってるよ〜」

「みなさんご存知かもしれませんが一応…。わたしの名前はファルシールと申します。シスターをしております」

「あれ?どうしてシスターさんがこちらに?」

「わたしは異世徒様の案内役ですから」

「へぇ〜…って異世徒様って誰なの?」

「レン様のことですよ?」

「一応…ボクも異世徒なんだけどな〜」

「お母様は別ですよ?…って今はこの話しをしている暇では無いのでは?」

「後から聞かせてくれるか?」

「はい」


さてと、自己紹介もすんだことだし、例の話に移ろう。


「それで、誰が話してくれるの?」

「あたしが話す…」

「大丈夫か?」

「ああ…少し楽になった…」


ハイカはすぅっと息を吐いて話し始めた。


「アレは二日前のことだ、アタシら[鎖ヲ絶ツモノ]が[始まりの世界樹]のダンジョン探索に行った時の話だ。カヅハがドラゴンを倒して数分後の出来事だった…。アイツが現れたのは…」

「アイツ?」

「蜘蛛型の四足歩行の古代兵器と、その上に座る不気味な少女だ…。カヅハはアレを見た瞬間、アタシらに逃げるように言ってきたんだ…」

「それで逃げて来たと…」

「何もできないなら…邪魔になるぐらいなら逃げるしかできなかった…」

「そうなんだ」


それにしても、不気味な少女と四足歩行の兵器か…。

おそらく兵器の方は、ボクが見たことあるアレの同型機だろう。

少女の方はどうなのだろうか?


「その少女の顔を見た?」

「ああ…アレは…あれ?よく見たらアンタにそっくりだったような…?」

「となると…アレがいるのか…」


だいたい敵が見えてきた。

ただ、敵の目的が分からない。


「早くしないとやばいことになるかも!」

「どういうことだ?」

「アレは[アルファタイプクローン]ボクとは別につくられて、大量生産された最悪の兵器…。違法生産せれて悪用されるのがほとんどなんだよね。それとっしょに四足歩行のやつでしょ?あの兵器は、おそらくだけど…ボクやタウとかまたまた似たような存在とか…そこら辺の存在を、捕まえるか殺すかするために作られた最新のやつだと思う」

「古代兵器なのに最新なのか?」

「ああ…おそらく、また別の世界線からおくられたものだろうからね?」

「ちょっとまって…カヅハちゃんは、あなた達と関係があるの?」


ああ、その話をしていなかったな。


「彼女はボクがつくったボクのクローンだよ。つまり、ボクの子供なんだよ〜。クローンと言っても、一部性格と遺伝子だけだけどね〜。それが転生した時に、記憶と一緒に引き継がれるようになってるんだよ〜?だけど記憶は…」

「えぇっ…まって…頭が追いつかない…」


冒険者たちは、こんらんしている。


「お姉ちゃんってさ、すごい保険るよね〜。ボク、ファルシールにはそこまでしてないかな〜」

「それでも…失うものがあるから怖いよ…」


どんなに強くても、どんなに抗おうとも、そこに存在があるのならば、いつかは消えて無くなるものだ。


どの世界にも永遠はない。


だって、永遠になるには実体も、自我も、他者も無くして一つにならないといけないから…。


「あの子たちの記憶に出てきた…アレに関係があるのかな?」

「あの記憶にあった人物…アレが別のボクならば、世界を超えることぐらい可能だしね〜。人を送り込んだ可能性があるねこれは…」


タウが、何かを思いついたようだ。


「…そうだ!ファルシール、この世界全体にある探索用の小型ドローンのデータ集めて」

「はい!わかりましたお母様〜」


ファルシールは返事をして透明なフォログラムの端末を出した。


端末といっても機械的なものではなく、魔法的なものだ。


「ちょっと…いいか」


ハイカが小さな声で、話しかけてきた。


「もう整理できた?」

「ああ…だってアイツ…カヅハとは付き合いが長いからな…。だんだん変わっていったアイツのことも、まじかで見てるし…」

「ずっと一緒にいてくれたんだね、ありがと」

「なんか…恥ずかしいな…。カヅハ言われてるみたいで…。アタシはアイツのこと何も分かっちゃいなかったんだな…」

「誰だってそうでしょ?聞かないと言わないことだってあるし、聞かれたくないことだってある…。それを聞いたところで、その人のことを百パーセント知ることはできないしね〜。いくら他の人が考えてることがわかるボクでさえ、九十九パーセントしか分からないもの」

「おまえ…」


ボクは、ハイカの頭を撫でる。

猫耳も一緒に。


「オメ…どさくに紛れて…どこ…触ってんだよ?!…」


そう口で言う割には、抵抗してこないな。


このまま、モフり倒すのも悪くないか…。


「あ…やめ…」


モフりながら頭を抱き、ボクの胸に押し付ける。


すはーすはー…という息遣いがだんだん早くなって、しまいには、スリスリしてきた。


本能には逆らえないか。


ぱっと辞めると、トロンと溶けたような顔をしながら、物足りなそうにこちらを見てきた。


「あとは、あの子が帰って来た時にやってもらってね?キミはあの子のご主人様なんでしょ?」

「…うぅ…わかった…」


少し燃焼不足ではあるが、アレを超えるとさすがにまずいだろう。


「さっきのは…やばかったな…」

「なにかが…高ぶってきそうでした…」


ザビーとマナノは、顔を手で押さえながら、指の隙間からこちらを見ていた。


「刺激が強かった?」

「いえ…もっとやっちゃっても…」

「そう?じゃあキミ達にもしてあげよっか?」

「それは…その…」

「冗談だよ〜。これ以上やるとさすがに、他の子達がまたうるさくなっちゃうから…」

「他の子達…。ああ…お姉ちゃんモテモテだもんね〜…」

「他の子には、タウも入ってるんだけどね〜…」


そう言ってボクは、タウとファルシールを抱き上げた。


「わわ‼びっくりした〜」

「ええ!なんですか?!」

「なんか、物欲しそうだったから」


何か足りない…。

そう思いギュッと抱きしめる。


「落ち着かないの?」

「たぶん…」

「わたしが癒してあげますから、大丈夫ですよ〜」


こころがざわつく…。


「やばい…な…」


頭が重たい。


ドス黒い感情がなだれ込んでくる…。


この感情は…あの時に似ているな…。

アプル…いや…フレアを殺した時に似ている…。

カヅハ…いや…κが、アイツらに消されそうだと思ったから?

いや…違う…。

このざわつきは、自分のものじゃない…?

いや…自分のもの?

わからない…。


落ち着かないと…。

平常心を保たないと…。

いつか、アイツらに殺される。

急がないと。

報復がくる。

すべてはあの子達のために、すべてはあの子達のために。

例え戦争が起きようとも、世界が一つに滅ぼうとも、あの子達のためならボクハ…。


自分ヲ壊ス…。

自分ヲ殺ス…。


ああ…うるさいな…‼

認めない…壊させない…殺させない…。


お前の思い通りにはさせない…。


これ以上ボクの中に入ってきたら、本体の中の全てを喰ってやろうか?


ねぇ…闇落ちしたレンちゃん?


これ以上ボクの子に手を出したら、分かってるよね?

分からないはずないよね?


別次元とはいえ、ボクなんだから…。


「お姉ちゃん…今のって…」

「タウの方にも手を出てきた?」

「少しだけだけど…」

「はぁ…これはお仕置きを、追加しないとだね」

「あの…何かあったのですか?」


ファルシールには影響は無いのか…良かった。


「ハッキングというか…洗脳というか…だいたいそんな感じのをくらったんだよ」

「タチが悪いのが…闇落ちした別次元のボク達なんだよね…」

「…敵なのですか?」

「今の状態だと敵だろうね〜」

「それで、これからどうするの?」

「そうだね〜、いったん戻ってあっちの状況も見ないと」

「目的の準備はいいの?」

「うん、同じ場所だから」

「[始まりの世界樹]だったけ?もしかしてそこが…」

「この世界での[始まりの場所]…。つまりボクたちの家だよ〜」


やはり、意識がなくても彼女は役目を果たしているのか。


「アンタら…帰るのか?」

「ちょっと状況確認してくるだけだよ。すぐ戻ってくる。ファルシール、ボクがいない間頼んだよ?」

「任せてください!お母様」

「またね」


ボクのたちは、手を振って別れた。


ギルドの扉を開けると、辺りは夕暮れ時になっていた。


「お姉ちゃん…あまり楽しめなかったね?」

「…そう見える?」

「いや…今の言葉は忘れて欲しいな…」

「ふふ…」


タウに手を引かれ、周りを見渡しながら歩くのは、なんだか新鮮な気分だった。


この気持ちがなくならないうちに、ログアウトボタンをそっと押した。



感想やご意見お待ちしております。


Twitter

→@yadokarimaguro

質問箱→https://peing.net/ja/yadokarimaguro

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ