11 ボクはキミでキミはあの子…そしてあの子はボク
なんでもいいので、感想がとか意見とか何かしらの反応がほしいです。
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周りが白一色で、白い立方体がたくさん浮かんでいる。
よく管理者や神様がいる場所に似てるな…。
「バイタル正常…システムオールグリーン…ネットワークへの接続開始…接続完了…ようこそVR空間へ」
ゲームの機械音声が頭の中に響く。
ここがVR空間か…。
ほっぺたをつねってみる。
痛い…。
感覚はちゃんとあるみたいだ。
「キャラクタークリエイトを開始します…」
キャラクタークリエイトが勝手に行われる。
自分の好きなように、いじれないのだろうか?
「普通だったら少しいじれるけど、お姉ちゃんは特別だからね〜」
タウの声がどこからか聞こえる。
「全部設定したの?」
「うんそうだよ〜。そのままだと、あっちの世界にすごく干渉してしまって狂ってしまうから…」
「あっちの世界?何か知ってるみたいだね?」
「だって、ボクもゲーム制作に関わってるからね〜」
話しながら次々と設定の項目を飛ばしていく。
「これでいいかな?」
「ボクは、ゲーム内の最初の街の大きな噴水の前で待ってるからね〜」
「了解」
全てを終わらせて決定ボタンを押す。
「ようこそ、[ 滅びたもう一つの世界、セカンドワールド]へ…」
白い光とともに、目の前が真っ暗になった。
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目の前がだんだんと、明るくなってきた。
鳥のさえずりが聞こえる。
ずいぶんとのどかな場所だ…。
ボクは、そう思いながら身体を起こした…。
すると目の前には、どこかの大陸が一つ入りそうな大きな大木があった。
ボクはこの木を知っている。
「世界樹か…」
ボクが元いた世界では、特殊な装甲と外壁に覆われて、ずいぶんと姿が変わっていたな…。
それにしても少し小さいな?
まぁ…それはおいておこう。
今は、タウと合流しないと。
「新たな異世徒様ですね!」
そう言って、白色の服を着たシスターがこちらに走ってきた。
顔が、ボクに似ている…いや…どちらかと言うと…タウにいているのか。
見た感じだと身長はボクより小さい。
「うっ…うわぁ〜‼」
何もないところでつまずき、ダイブする様に、ボクのところに飛んできた。
そんなシスターを、ボクは思いっきり抱きしめて受け止めた。
「痛い!イタイイタイ…‼痛いです〜‼」
あ…力加減ミスった。
「ああ…ごめん…この身体にまだ慣れてなくてね?」
「いえ…こちらこそすみません…いきなりつまずいて、抱きついたりなんかしてしまって…。うう…やっぱりは私はドジだー…」
彼女はそう言ってボクから離れた。
「大丈夫?折れてない?」
「はい!大丈夫です」
それにしても、彼女がここに来た理由は、なんなのだろうか?
「何かボクに用があるんじゃない?」
「…!そうでした!わたし達[神聖樹教]は、この世界にお越しいただいた異世徒様に、最初にこの世界についての話しているのです。ですので、お話を聞いていただきたくまいりました!」
最初のチュートリアルみたいなものか…。
タウを待たしているから、彼女には残念だけど話を聞いている暇はないな。
「残念だけど…連れが待っててね。キミの話を聞いている暇は無いんだ」
「そうですか…わかりました!それでは、入口までご案内しますね〜」
「うん」
彼女はボクの手を引いて、世界樹がある教会の入口まで連れていった。
「ここがここの入口?」
「そうですよ〜。最近は新しい異世徒様が来られなかったので、閉まっていますが…」
新しい異世徒が来なかった…か…。
何か決まりがあるのだろうか?
「そういえば、まだお名前を言っていませんでしたね?わたしの名前は[ファルシール]と申します」
「ボクの名前はシグマ・レンだよ〜」
ファルシールは、ボクの名前を聞くと不思議そうな顔をした。
「シグマ・レン…?!わたしのお母様と同じ名前です!むむ…?よく見るとお母様にそっくり…」
「やっぱり…そうか」
「どういうことですか?」
「ああ…たぶん…これからボクが会うヤツは、キミのお母さんなんじゃないかなって?」
「え…?!お母様がこちらに来てるんですか?」
ファルシールの驚く顔から察するに、あまり会ってないのだろう。
「一緒にくる?」
「でも…教会のお仕事が…」
「ボクの案内ということでいいんじゃない?」
「そう…ですね!」
「それじゃ行こうか?」
「はい‼」
ボクはファルシールと手をつなぎ、タウとの待ち合わせ場所まで向かった。
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「こっちだよ〜こっち!こっち!」
タウが、噴水前で手を振っているのが見えた。
ファンタジーとはかけ離れた、SF感満載の装備をしており、ボクと同じ首には赤いマフラーが巻かれていた。
これでタウがこの世界で何をしているのかは、だいたい察しがついていた。
「またせたね〜」
「ううん?そんなに待ってないよ?って…、なんでファルシールも一緒にいるの?!」
「それは、最初にあったからね〜」
「今日お仕事だったんだ〜。これは偶然だね〜彼女のことを紹介する手間が省けて良かったよ〜」
「お久しぶりです、お母様」
「少し身長伸びた?それに、髪も真っ白になったね〜」
「えへへ〜」
天使だな…この笑顔は…。
「それじゃあまずは冒険者ギルドに行こうか〜」
「わたしも案内役としてついて行きますからね〜」
ボクたちは歩きながら、話をすることにした。
そうだ、彼女がなになのかタウに聞いてみよう。
「タウ?彼女はキミの子供ってわかるけど、具体的になになの?」
興味本位で聞いてみた。
「彼女…ファルシールはね、ボクの髪の毛から作った試作段階のクローンだよ〜。と言っても、少しいじってあるから同じものでは無いんだけどね〜」
「ああ…ボクのあの子たちみたいな感じか〜」
「まぁ…この子だけしかつくらなかったけどね…」
「何か問題があったの?」
「ボクの世界だと、魔法が失われてて使える人が限られてくるから、技術が無くてつくれないんだよ…」
「ああ…そういえば、残った二つの世界には魔法が存在しなかったね」
「だから今は、ボクの残ったもの研究して化学として使ってるんだよ〜」
魔力細胞…ボクの身体にもあるものだ。
その名の通り、魔力でできた細胞だ。
自由自在で、なんでもつくれて、なんでもこわす、スライムの一種でもある。
タウの魔力細胞にはまだ混ざりっけがなく、研究にも適しているのだろう。
ボクの魔力細胞を、タウの世界で研究するとしたら、どれだけの犠牲者が出るのだろう…。
ああ…タウとファルシールにはこのままでいてもらいたいな…。
その方が、世界のためになるから…。
「そういえば、このゲームの話聞いてないんでしょ?」
「だいたい察しがつくよ?」
「お姉ちゃんには、隠し事が通用しないから、サプライズもできないよね〜」
「別の世界線をゲームと偽ってることしか分からないけどね〜」
「うそだ〜」
半分正解、半分不正解だな〜。
今のボクは、そこまで能力を使ってないからね。
「それでさ、影響力は大丈夫なの?」
「安心して、プレイヤーは限られた人だけだから、一般人はプレイできないし、限られたプレイヤーしかこの[檻]からは出られないようになってるから、大丈夫だよ?」
「そのプレイヤーたちはなんなの?」
「わたしが説明いたしますね。プレイヤー…つまり異性徒様たちは…、お母様が通われておられる軍学校の生徒や職員の方々なのですよ」
軍学校…か。
タウが通ってるって、タウも生徒側なのか…。
「生徒っていってもボクは先生より権力があるからね」
「英雄さんだから?」
「その話…どこで?」
「ランが肌身離さず持ってた絵本に書いてあったよ?」
「アプルがあの本出したって…本当だったんだ…。うぅ…なんか恥ずかしい…」
タウの顔が真っ赤に染る。
『英雄』と呼ばれるのが、よほど恥ずかしいのだろう。
「それで、この世界で今日は何するの?」
「この世界の[ボク]を起こしに行く準備をしようかなって思ってさ〜」
「そうなんだ。つまり、この世界のボクは眠り姫状態なんだね〜。だから世界が一度崩壊した世界線なのか…」
「だから、この世界のボクに、この世界を管理してもらわないといけないからね〜」
タウと話で盛り上がってる中、ファルシールが足を止めた。
「どうしたの?」
「ここがこの街のギルドですよ!」
「あ…そうだった…。まずは冒険者ギルドで、お姉ちゃんの登録をしないとだったね」
「さぁ…入りますよ〜」
ギルド扉を開けて中に入る。
よくあるファンタジーものの、食堂から宿まである冒険者ギルドだ。
規模としては、中くらいな方だろうか?
「そこまで人いないんだね〜」
「この時間は、みんな依頼を受けて外に出てる時間だしね〜」
そういうものなのかな?
「アレは…あそこにいるパーティーは[鎖ヲ絶ツモノ]です」
「有名なの?」
「ギルドランクアップがすごく早いパーティーで有名ですね。あと、外に行く前は必ずわたしが働いてる教会に、お祈りしに来るんですよ」
「話しかけてみる?」
「ええ…?!…でも…今は皆さん元気が無さそうですし…」
パーティーの一人の女性がボクたちに気づいた。
「カヅハ…?カヅハ…なのか?」
ボクの方に言っているのだろうか?
「待て、ハイカ…違う…その人は別人だ」
「そうだよ…ハイカ…その人は違うよ?」
「でも…アイツと同じ匂いがする…。なあ…ガヅハなんだろ」
カヅハという人物…おそらく少女だろう。
それにボクと同じ匂いか…。
すごく気になる…。
ハイカとよばれてる女性から、我が子の匂いがする。
ああ…彼女はここに転生したのだろう。
「残念だけど、ボクはカヅハじゃないよ?だけど、おねえさんたちのが悩んでること解決できるかもしれないよ?」
「ホントに?」
「だけどその前に、お姉ちゃんはまず、ギルド登録しないと〜」
「そうだね、それではおねえさん方、すこし待っててくださいね?」
「ああ…わかった…」
「わたしもここで待ってますね〜」
ファルシールもここで待ってるみたいだ。
ボクはタウに背中を押されながら、受付のカウンターの前にきた。
「ご要件をどうぞ…ってレン様?!イメチェンでもしましたか?」
「だって、タウ」
「ばぁ‼ってびっくりした?[フェネスティー]ちゃん!」
「タウ?あれ…?レン様が二人?」
フェネスティーは混乱しているみたいだが、すぐに切り替えたようだ。
さすがプロだね。
「それで、ご要件はなんですか?」
「お姉ちゃんの登録に来たんだ〜」
「レン様の、お姉様の登録ですか…」
「あとボクの名前タウに変えといてよ」
「名前を…って…え?!」
「お姉ちゃんの名前とかぶっちゃうから、ボクの名前を変えといてよ〜」
「同じ名前なんですか?」
ボクは首を縦に振った。
「だってボクたちは別世界線の自分だからね〜」
「ちなにみ、ボクの方が若いからお姉ちゃんって呼んでいるんだよ〜」
「そう…なんですか、不思議ですね?」
フェネスティーはそう言いながらも、手続きを進めていく。
「これで完了です、お待たせしました」
「ありがとね〜またくるよ〜」
「そうだ、後でこの世界のボクを連れてくるかもしれないから、その時もよろしくね」
「ええぇ…はい。分かりました」
ボク達は、さっきの冒険者のところに向かった。
「さて…またせたね〜、それじゃぁ…お話を聞かせてもらうよ〜」
次回につづく‼
(書くの疲れた)