10 これから何をしようかな?
ガチャガチャに触手があったので回してみたけど、
どんな絡ませ方すればいいのか分からないのであった…。
そんなことより、誤字脱字の報告とか、感想が欲しいです。
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「はぁ…はぁ……」
わたしは、どれくらい気を失ってただろうか?
ご主人様達は、大丈夫なのだろうか…。
辺りに漂う鉄の匂いで、頭がボーッとする。
まともな考えができてないな…。
これは違う。
頭がボーッとするのは…血が足りないせいだ…。
腕や足を切られ、あまりにも血を流しすぎた…。
そのせいで痛みの感覚がないが、気持ち悪くて吐き気ばかりが続いている…。
どうして、わたしがこんな目に合わないといけないのだろうか…。
わたしはただ…鎖をちぎって、自由になりたかっただけなのに…。
そういえば、『わたし』は…だれだっけ…?
数年前のことを思い出す。
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わたしが、初めて目を覚ましたときには、もう奴隷だった。
そして、首に枷をはめられ鎖で繋がれ、牢の中にいた。
なぜわたしは、こうなっているのだろう?
同じ牢にいる、猫の獣人の女性に聞いてみた。
「なんで、わたしはここにいるの?」
それを聞いた女性は、不思議そうな顔をした。
「アンタ…頭でもイカれたか?…オマエもアタシも、獣人だからに決まっているだろ!」
獣人だから…か…。
わたしは頭の上を触ってみた。
たしかに、フサフサの猫耳がついていた。
「ぷッ…オマエ自分の種族も分からなくなってたのか?」
「うん…なんか…記憶が…曖昧で…」
自分の種族に落ち着きを感じる。
だけど、本当の自分かが分からない。
「昨日の調教のせいで、おかしくなっちまったか…。発狂して襲ってくるヤツよりはマシか…」
調教…それは、奴隷が言うことを聞くように、逆らえないようにするために行なわれる行為だ。
「どんなことされてたの?」
「オマエは…そのキレイな顔が分からなくなるぐらいボコボコにされてたぜ?あとは腹が青紫になってたな…」
想像したくないな…。
「…そのわりには…オマエ…なんともないじゃねーか?それどころか、前よりキレイになってないか?」
「そう?」
「毛並みもフサフサだしな…。これなら上位奴隷になれるんじゃねえか?」
「上位奴隷?」
「売り場に出される奴隷だ。こんな豚箱にいるようなアタシらとは扱いも違う…」
奴隷にも階級があるのか…。
でも…売られるのはやだな…。
どうせなら…ここを壊して…。
でも…あれ?わたし…そんなことする力…あったけ?
「壊して…奪って…そんなことできるなんて、なんで思ってるんだろう?」
「どうした…いきなり?」
「何でもない…」
「そうか…。そういえば、そろそろ飯の時間のはずだが…、全然来ねえな?」
何かあったのだろうか?
その日は丸一日、誰も牢を見にこなかった。
そして、次の日になった。
揺さぶられて目を覚ますとそこは、昨日居た牢屋とは違う大きな牢屋だった。
辺りにはほかの奴隷もいた。
「起きたか」
「ここは?」
「アタシが推測するに、ここは[処理場]だよ」
「使えないものは、捨てるか…」
「そうゆうことだな…。クソ…」
のんきにしている場合ではないな…。
そうだ…、こんな場所で終わるわけにはいかない…!
わたしには、やることがあるんだ!
そう頭の中をよぎるが、それがなんなのかは分からない。
「これはこれは…随分とゴミがたまりましたね?」
随分とぶくぶくに太った豚が、牢の外で騒いでる。
あっ…よく見たらアレ人間じゃん。
あれがここの奴隷商なのだろう。
あんな体型でよく動けるな…。
「うぇ…」
わたしと同じ牢にいた女性が気持ち悪そうにした。
「大丈夫?わたしのことモフる?」
「モフっ…え…いいのか?」
「どーんと来て!」
「こうか?…おちつく…」
女性は、わたしを押し倒すように抱きしめて、モフり始めた。
「そういえば…名前言ってなかったな…。アタシは、本当の名前は[ハイカ]って言うんだ。アンタは?って…覚えて無さそうだな…」
わたしの名前…わたしの名前は…[κ]…カッパだ…。
シグマ・κ…。
それがわたしの名前だ。
だが…それは、今のわたしの名前なのだろうか?
「名前…アタシが決めていいか?」
ハイカがそう聞いてきた。
うん…ハイカに決めてもらおう。
「いいよ」
「あんたの名前は、[カヅハ]だ」
「カヅハ…カヅハ…」
そう名前をつけてもらうと、わたしの首の枷が光り出し、身体を包み込んだ。
「契約を確認…。一部肉体を再構築します…」
自分の口から機械的な音声が流れ、それと同時に右手に激痛がはしる。
「ぐっ…」
「どうした!?カヅハ!」
「大丈夫です…『ご主人様』…」
「ご主人様って!?まさか…アタシが…?」
ああ…新しい名前をもらったことがトリガーになって、わたしはハイカの奴隷になったみたいだ。
「ご主人様の物になっちゃったみたいです」
「アタシが名前をつけたせいで…、アンタはアタシの奴隷になっちまったってことか…。それはそうと…その…『ご主人様』ってやめてくれないか?」
「いやです」
「そうか…」
ハイカは、さらに強くわたしのことを抱きしめた。
「そこ‼貴様ら何をしている‼」
奴隷商の声が辺りにひびいた。
そして、牢の中に入ってきて、こちらに近づいてきた。
「大丈夫…カヅハはアタシが守るから」
そう言うハイカの手は、震えていた。
「いえ…大丈夫です。ご主人様はわたしが守ります」
わたしは痛みのあった右手をみる。
そこには、ハサミの形をした大きな銃剣が握られていた。
不思議と懐かしさもあり、わたしの頭は、これが自分の体の一部だとも思っているみたいだ。
[銃剣κシーザス]
頭の中に武器の名前が浮かんできた。
「奴隷が奴隷契約をしただと?!使えないゴミの分際で…!」
はぁ…イライラする…。
「その汚い口を閉じてくれませんか?」
わたしはそう言って、奴隷商の唇を右手の武器で切り落とした。
「グギャー…はぁ…はぁ…」
懐かしい血の香り…、辺りに響く悲鳴…。
こいつには、わたしたちを苦しめた以上に苦しんでもらわないと…。
「すぐには、死なないようにしておきますね?」
「キサマ…こんなことをして…タダで済むと思っているのか‼」
「知るかそんなこと‼」
奴隷商の手足に枷をはめ、鎖で牢屋の鉄格子に縛り付けた。
これでよし…。
「カヅハ…?」
ハイカが恐る恐る近ずいてきた。
「大丈夫ですご主人様。それより、こんな場所はやく出ましょう」
「ああ…そうだな…」
わたしは、ハイカおぶって牢屋の扉を蹴破り、建物の外まで全力で走り、ついに外に出た。
ほかの奴隷たちも次々と建物の中から出てきた。
わたしは、空を見上げた。
宇宙には、この世界の雰囲気に合わない、人工衛星が飛んでいるのが見えた。
「これが…この世界?」
知っているようで、また別物の世界…。
懐かしさと同時に消失感と困感を感じた。
「これからどうしましょう?ご主人様?」
「アタシら奴隷でも稼げる仕事は、たぶん冒険者ぐらいしかないな…」
「奴隷でも冒険者できるんですか?」
「何か重罪を起こしてなければ、大丈夫なはずだ」
なら、それを目指すしかないな…。
冒険者になれば、この世界のことわかってくるだろう。
「それなら…、ご主人様…冒険者になりましょう!」
こうしてわたし…いや、わたしたちは冒険者になった。
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あれから、三年ぐらいの月日が流れた。
ほかの冒険者とパーティーも組み、だいぶ稼ぎも安定してきた。
「やりました、ご主人様〜」
「カヅハ〜!やっぱりオマエは、最高だな!」
「えへへ〜」
今は、新しく見つかったダンジョンを探索に来ている。
そこで、わたしはドラゴンを一人で倒したのだ。
「ほらほら〜、みんなも褒めてやってよ〜」
ハイカは、自分のことのように嬉しがり、ほか二人のパーティーメンバーに言った。
「たく…親バカというか…なんというか…。なあ[マナノ ]」
「パーティーに入った頃では考えられないよね〜。ねえ[ザビー]」
「そうだな…カヅハはともかく、ハイカのやつはものすごく威嚇してきたからな…」
中性的でガタイがよく、盾役をしているのがザビー。
褐色肌で美人で、魔法使いと弓使いをしているのがマナノ。
二人は、双子である。
「それにしても、カヅハはすごいよね」
「ドラゴンスレイヤーの誕生だね!」
「二人ともありがとう〜」
だが、このような時間もここで終わりだった。
ガシャン…ギュイーン…ガシャン…。
何かが動いている機械音が近づいてきた。
「なんだあれ…古代兵器か?」
古代兵器とは、今の文明…世界ができる前の、滅んだ世界にあった兵器のことである。
近づいてきた兵器は四足歩行のロボットで、わたしたち兄弟を殺す目的でつくられた、兵器のひとつだ。
あれを見ていると自分の中の何かが抑えられなくなりそうだ。
そういえば…わたしには…兄弟なんていたっけ?
「なんかヤバそう…」
「カヅハ…大丈夫か?」
わたしは、頭を押さえてうずくまる。
頭の中が焼けるようだ。
アレを壊さないと…アレヲ壊さないと…アレヲ破壊しないと…ハカイシナイト!
「それは、させないよ…って…、アハ…アハハハ…ヤットミツケタ…ハカイタイショウ…」
兵器の上に足を組みながら座る少女。
アレは、わたしにどこか似ている。
わたしは、アレを知っている。
アレは、あの人のクローンだ。
「みんな…下がって‼」
「カヅハ‼」
「アイツはわたしを狙っている‼だから…わたしをおいて…逃げて‼」
みんなが近くにいては、本気を出せない。
「行くぞハイカ…」
「だけど…」
「ほらほら…早く逃げないと…カヅハも困っちゃうでしょ?」
ザビーとマナノがハイカを連れて逃げるのを見届ける。
「またせたね?」
そう言って、クローンの方に向くと、あちらも取り込み中みたいだった。
「ハカイタイショウヲジャナイ?ホゴシロ?…ヤダ…アレハ、ハカイスル…」
話は終わったみたいだ。
あちらにも何かしらの目的があるみたいだが、ここで潰してしまった方がいいだろう。
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そして、今にいたるのだ。
「あのクローンの方はそこまで強くはなかったけど…四足歩行の兵器がおかしかったな…」
逃げることしか出来ないとは…本当に情けないな…。
それにしても、ずいぶんと奥地に入ってきてしまったな…。
床を這いつくばりながら、前へ前へと進んでいくと、見覚えのある扉があった。
[研究室]…
ああ…わたしの生まれた場所にそっくりだな…。
壁を使って這い上がりながら、扉の電子ロックに触れる。
ギュイーンと扉が開くと、目の前に入ってきたのは、大きな円柱形の培養槽だった。
同じものでも、違うもの、この世界はパラレルワールドの一つであることがわかった。
培養槽の横にある電子端末を見る。
[アルファタイプクローン・#-0.0-/シグマ・レン/]
ああ…やっぱり…。
彼女はまだ生きている。
世界が一度崩壊したことも知らずに…。
ずっと眠り続けていたんだ。
「わたし…いや…ボクはもうこの身体じゃ限界だから…」
電子端末を操作して、培養槽の中の液体を抜く。
「ボクの全てを君にあげるよ…レン…」
正直な話、自分の身体が耐えきれないことぐらいわかっていた。
勝手に身体を使うことを、許してくれるだろうか?
いや…ボク自身がいいならそれでいい…。
ボクの出した答えは、キミの出した答えでもあるのだから。
「さよなら…いや…ボクを探してか…」
培養槽から身体を取り出し、自身との融合を開始する。
彼女なら本当の自分を見つけてくれるだろう。
意識は絶たれて、暗い海へと落ちていった。
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ちなみに触手のガチャガチャは400円でした。
(最近のガチャガチャ高く感じるのだが…)