マッチ売りの少女売りの少女
「マッチはいりませんか?」
寒空の下、素足にボロを纏った少女が懸命にマッチを売っておりました。
「マッチは売れたのかい!?」
「ひっ! マ、マッチ売りの少女売りの少女様……!!」
葉巻を咥え、サングラスをかけた謎の少女。彼女はマッチ売りの少女を専門とする【マッチ売りの少女売りの少女】でした。
「売れないんならアンタを売り飛ばすわよ!?」
「ヒェーッ! 頑張ります!!」
マッチ売りの少女は死にかけた瞳に再び生気を無理矢理宿らせ、マッチ売りに励みました。
──プルルルルル……
「はい、もしもし」
「アタシだけど……」
「!? こ、これはマッチ売りの少女売りの少女売りの少女様……!!」
電話の主に驚き葉巻を落としてしまったマッチ売りの少女売りの少女。マッチ売りの少女を震え上がらせる彼女が恐れる人物は、マッチ売りの少女売りの少女を専門とする【マッチ売りの少女売りの少女売りの少女】でした。
「少女は売れてるのかい?」
「マ、マッチが売れてますので少女の方はどうか……!」
「ふぅぅぅん……ま、貴様も自分の命が惜しければせっせと少女を売ることね」
「肝に銘じます…………」
──ガチャ……
「チィッ!」
マッチ売りの少女売りの少女は大きく舌打ちをしました。
マッチ売りの少女のマッチが売れなければ、マッチ売りの少女をメイドや家政婦として売るようにと上司にキツく言われているのです。
しかし彼女はそれが嫌でした。人としてそれは何か違うと、頑なに少女を売ることをしませんでした。
しかしその時既に少女の買い手は決まっておりました。売られるのは【マッチ売りの少女売りの少女】です。このシステムに中間管理職は不要と判断された彼女は、この街に古くからある屋敷の主に引き取られる事になってしまいました。
三日後、それはついに彼女の耳へと伝わりました。
「…………い、今何と!?」
「貴様はオンナスキー伯爵の所に売られる事になった。私の営業成績の為に死んでくれ」
マッチ売りの少女売りの少女は顔に手を当て泣きました。オンナスキー伯爵は少女を買い漁り侍らせる変態で有名な人物。彼女もその一人に加わるのかと思うと、自然と涙が零れたのです。
「……どうか……どうかマッチ売りの少女達は売らないで頂きたい……!!」
「約束は出来ないが努力はしよう……」
こうして、マッチ売りの少女売りの少女は、オンナスキー伯爵の屋敷へと運ばれていきました。
オンナスキー伯爵の屋敷は酷く汚れて至る所に蜘蛛の巣が張ってあり、全く掃除がされていませんでした。
「他の少女達は……?」
「食べてしまったよ」
「!?」
マッチ売りの少女売りの少女は竦み上がりました。常軌を逸した変態振りに、明日は我が身かと背筋が凍り付きます。
「オンナスキー伯爵様、新しい少女を宜しくお願い致します」
「きっとまたすぐに次の少女を頼むだろう。次はもっと可哀相な少女を頼むよ……」
「畏まりました」
マッチ売りの少女売りの少女売りの少女がオンナスキー伯爵の屋敷から出て行きました。するとオンナスキー伯爵の顔付きがガラリと変わり、落ち着いた優しい表情へとなりました。
「驚かせてすまない。実は私は非営利団体である【マッチ売りの少女を救う会】の会長だ。もう安心だ。君はこれから私達の下で真面な教育と食事にありつける。他の少女達も一緒さ!」
マッチ売りの少女売りの少女は一瞬信じられずに身を引きましたが、その優しそうな顔付きはとても嘘を言っているように見えませんでした。
屋敷の地下から進み地上へと抜けると、そこには学校がありました。中では沢山のマッチ売りの少女達が勉強やスポーツに励んでおります。
「ああ……もうマッチ売りの少女売りの少女をしなくても良いのね?」
「そうだ。これからは好きな事をすると良い……」
マッチ売りの少女売りの少女は涙を浮かべ、ボール遊びに興じる少女達の群れへと走って行きました。
読んで頂きましてありがとうございました!!
最初はマッチ売りの少女売りの少女売りの少女売りの少女売りの少女売りの少女売りの少女売りの少女売りの少女売りの少女売りの少女売りの少女売りの少女売りの少女売りの少女とか出そうとしてましたが、訳が分からなくなるので止めました(笑)
(*´д`*)