ビューティフルライフ?
2018年4月18日に更新した内容らしいです。
学校のチャイムが鳴り本日の授業は全て終了、 俺は他の生徒が帰る中ヘッドホンを弄り校内3階に存在する教室5つ分程の大きな図書室へと向かっていた。
俺の日課として、 放課後の完全下校が決められている6時まではここで本を読むのだ。
案外静かで居心地が良い。
数週間前、 俺は頭の悪そうなヤンキー達に襲われたが坂上と言う幼馴染みによって助けられた。
──でもその時、 おかしな事が起きたのだ。
坂上から好きだと言われた、 つまりは告白されたんだ……でも俺もアイツも男、 そんなのと付き合う気は毛頭無い。
いやアイツ結婚してくれって言ってきたけどな。
「ん……この小説面白くないな」
俺は持って来た小説を棚に戻すと、 再び席に戻り倒れこむ様に寝てしまった。
日頃の疲れが出たのかも知れないが、 俺は疲れてる事すら気づいていなかった。
────目を覚ますと外は完全な闇に変わっていた。
7時を過ぎていたのだ。 図書室の電気も消されていたが、 誰か起こすとか何かしてくれないものだろうか。 本当に気の利かない人間ばかり居る。
「うむ……どうするか……」
鍵が閉まっていて図書室から出られない、 俺は仕方無く再び寝る事にしたがメールが来た。
……おいちょっと待て、 俺坂上のメアド持ってなかった筈なのに坂上から来てるぞ何だ怖。
「あ? どこに居るか……って、 図書室だが」
物凄い驚かれた。
そりゃそうだ、 7時を越えて図書室に居るなんて普通の人間じゃ思いもよらない。
今ここで隠れんぼをしたら勝利できる気がする。
まあこんな時間にやろうとする奴等も居はしないけどな、 いたら受賞もんのバカとも言える。
急に途絶えたメールを見ながら、 俺は少し寂しくなって何となく電気を点けた。
暗いと何も見えないからな。
「……ん? 何か聞こえる」
俺が何か声の様なものが聞こえて来た正門の方を窓から覗くと、 人影が叫びながら校舎へと入って行った──何だありゃ。
この時間に狂気の様にか叫びながら走る姿を見て俺は不審者または障害を抱えた人間かと思った。
だとしてもアレはうるさい、 でも何を言ってるのか分からなかった。
ここに来たら嫌だな……とりあえず身を隠そう。
と、棚の裏に寝そべった。
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「幸! 大丈夫!? 」
──お前かよ。
入って来てた不審者らしき者は、 あの奇声をあげていた者は坂上だった。
俺は棚の裏から出て坂上の方へと向かい、 後部から手刀を食らわした──夜中にうるせーんだよ。
しかも勝手に入っちゃダメだろーが。
坂上は頭を押さえながら笑顔で俺を見てくる、 俺はその笑顔に心が安らぎさっきまで多少は有った寂しさが消えて無くなった。
不思議なものだ。
「んじゃ、 帰ろうか」
「ん……そうだな」
俺達は学校を後にした。
家に着くまで残り数分という所の池の上に架かる橋を通る俺たち。
──俺の歩みはそこの中心で止まった。
「……放せよ」
俺の右腕は坂上に掴まれている。
坂上の表情は暗くてよく見えないが、 真剣な雰囲気なのが強く伝わってくる。
俺が手を振り解こうとしても一切緩める事なく掴み続ける坂上はやっと口を開いた。
「まだ、 前の返事もらってないんだけど。 俺が幸を好きな事に対しての、 返事」
……あ? マジか……。
今ここで返事をしろと? 確かに人は見当たらねーけど、 男同士なんだ結果は見えてるだろ。
一瞬、 車のライトで照らされた坂上の顔は──本気だった。
迷いなんか無い、 後悔もしてないような……そんな勇ましい表情。
答えない訳にはいかない。
「……前、 助けてくれたのは感謝してる。 だが俺にそんな趣味は無い、 本当に悪い」
「ううん、 正直に言ってくれてありがと。 幸、 これからも一緒に居ようね」
話聞いてたかお前──と言いたくなったが仕方無く言わずに頷いた。
この時の俺は笑顔になって、 それにときめいた坂上が抱きついてきた──ので池に蹴り落とした。
お前が俺を好きなのは十分伝わった。
けど俺がお前を好きなのはまだまだありえねー話だ。
まだまだ……な───。
俺は坂上を助ける事もせずに家へと向かった。
その歩みは挙動不審と言うか、 自然なものでは無かった……動揺してる、 自分でそれを認めようとは一切しなかった。
幼馴染みに、 しかも男に動揺するなんてあり得ない。
恋するなんてあり得ない……それは昔の事だ。
────お前も俺が好きだったのかよ。