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わたしは私1  作者: ショウロウ
第1章 女の子から男の子へ
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第4話 私の成長

私は変な匂いがして、そのまま目を閉ざした。



「う、うぅ…。」


私は目が覚めた。

視界がハッキリしてから、周りを見ると放置された廃墟された家のようだった。

どうやら充満していたのは睡眠ガスらしい。

床も壁もボロボロで、窓は半分以上割れていた。


私は起き上がろうとした。


「え!?」


動けなかった。

どうやら後ろで手を縛られ、足もピンポイントの3箇所で縛られていた。


電気は着いているのに周りに誰もがいない状態がしばらく続いた。


「トン、トン、トン。」


と誰かの足音が響く。

すると


「ギィーィ。」


という奇妙な音を立ててドアを開き、1人の男が入ってきた。


その男は帽子を被りマスクをはめ、いかにも怪しい服装だった。


「お嬢ちゃん、こんにちは。」

「だれ?」

「叔父ちゃんはね、仲代(なかだい) 優人(まさと)って言うんだ。お嬢ちゃんの名前は?」

「え、えっと…言えません。」

「え、言えないことないでしょ?」

「ごめんなさい、言えません。」


すると叔父さんはナイフを取り出した。


「さ、お名前は?」


私はずっと黙っていた。ママに知らない人に名前を聞かれたら答えちゃダメと言われてたかだ。


「名前はって聞いてるんだよ!!」


と叔父さんはナイフを私に向けた。

叔父さんは私の体に当たるか当たらないかくらいにナイフを近ずけ、下半身の方へナイフを動かす。

肌にくすぐるかのようにナイフは移動し服を切ってゆく。

叔父さんは笑っていた。

私は今にも泣きだしそうになった、

涙は流しながらも声は抑えた。


するとそこへ、


「私の娘から離れてください!」


とお母さんがきた。


「お金なやここにあります。早く娘を解放してください。」

「おう、ちゃんと要求額あるだろうな?」

「ええ。」


叔父さんは私の脇の下を持ってママの所に連れていった。

叔父さんは金が入ったケースをもつとすぐさま出ていった。

それを見てママは私が縛られていたものを解いてくれた。


「ママ、ママ〜!怖かったよ〜!」

「よしよし、よく頑張ったわね。」


私はまたママに甘えつつ泣いた。

最近酷いことばっかりで、泣いてばかりな気がする。



そのままママの一緒に家に帰った。

家に着いて、部屋に入りママに聞いた。


「ママ、どうして私がいる場所が分かったの?」

「実はこれが外にあって…。」

「か…み?」


そうそれは1枚の紙だった。

これにはこう書かれていた。


(小娘は預かった、返して欲しくば地図に指定された場所へ100万揃えてもってこい。)


私はなんて書いてあるか読めなかった。


「お母さん、なんて書いてあるの?」

「簡単に言えば、美蘭を返して欲しければ、ここに100万円持ってこいってことだよ。」


とママは地図を見せてくれた。

私の外への恐怖と人間不信は悪化していくばかり。

これからずっと家にいられればな…。



その翌日の朝9時頃。

インターホンがなる。

私は玄関に出るのも怖くてママに頼んだ。


「美蘭ちゃーん!」


と聞き覚えのある声が聞こえた。

隆二くんだ。


「美蘭、遊ぼ!」


私の前に来て隆二くんはそう言った。


「うん、2階行こ!」


私は明るく振る舞いこう返した。

2階に上がって自分の部屋に着いたとき、昨日のことが頭に過ぎって体が止まった。


「美蘭ちゃん?大丈夫?」

「う…うん。」


私は後ろめたい気待ちを押し殺し、部屋に入った。

変な匂いはしなかった。

私は安心して、深く息を吐いた。

すると隆二くんが、


「美蘭ちゃん、昨日何かあったでしょ。」

「え、だから何も無いよ…。」

「いや、うそだよ。何かあったって顔に書いてあるもん。」

「そんな、そんなこと…。」

「昨日来ても誰もいなかったし、今日来て見れば前引きこもった時の顔になってる美蘭ちゃんがいるし。ね?本当に何があったの?」


私は黙ってしまった。昨日のことを隆二くんにはまだ話したくなかったからだ。昨日の事のせいでまた、信じる気持ちが薄れてしまったのかもしれない。


「美蘭!」


と言って隆二くんは私を押し倒した。


「美蘭、いい加減にしろよ!1人で抱えて、1人で解決しようとして何になるんだよ!友達がそんな顔してたら助けたくなるだろ普通!こっちの気持ちも察しろよ!なあ…。」

「隆二くん…痛い。」

「あ、ごめん。」


と言って隆二くんは退いてくれた。


「ごめん。頭に血が上っちゃって。だって美蘭ちゃんが心配で。」

「ううん、私こそごめん。昨日あったことちゃんと話すから。でも誰にも言わないでね?」

「美蘭ちゃんがそんなふうになったことでしょ?言わないよ。」


私は昨日あったことを洗いざらい話した。

誘拐されたこと、ナイフで脅されたこと。そしてママが助けてくれたこと。

話し終わると隆二くんは無言で私を抱きしめた。


「りゅ、隆二くん?」


私がそう言うと、抱きしめてた力が強くなった。


「ごめん、ごめんね。もう少し僕が早く来ていれば良かった。」


隆二くんは泣き声だった。

本当に私を心配してくれてたんだ。


「ううん、大丈夫。もう終わったことだから。これからはちゃんと言うね。」

「僕の方こそ熱くなっちゃってごめんね。」


私も隆二くんも気まずい空気になってしまい、互いに話さない時間が数分立ったあと、隆二くんが口を開いた。


「美蘭ちゃん、今日は何して遊ぶ?」

「うーん、そうだな〜。」


とそこからはいつもどおり遊び始めた。

そう前まで遊んでいたように。





冬がすぎ、春が再びやってきた。

普通なら小学2年生になっている頃。

私はまだ家から出れずにいる。

一年前から何が変わったかといえば…。


「美蘭ちゃん!来たよ!」


現在時刻7時30分。

隆二くんが私の部屋に来た。


「何描いてたの?」

「えっとね、猫さん描いてた。」


この1年絵もやってたから少しは上手くなった。

この日は隆二くんが来るまで、アニメによく描かれている猫を描いていた。


「へぇ、上手いね。僕はこんなに上手く描けないよ。」

「えへへっ。」


そんな会話をしていると、隆二くんは学校に向かう時間になってしまった。


「美蘭ちゃん、じゃ僕学校行くね。また夕方も来るよ〜。」

「うん!待ってる!」


長期休暇以外は、隆二くんは学校にいって勉強してくる。

私は家でママに教えてもらっている。


そんな風に生活してもう1年くらい経つのか…。

なんて思ってるのもつかの間。

同じような生活をしていると、時間が過ぎるのは早い。


本当なら2年生って時の年は、家から1歩も出られずに終わる。




3年生の年は…。


「美蘭ちゃん、お庭だけでも出てみない?」


と2階で遊んでいる時、隆二くんに突然言われた。

私は少し怖くて首を振る。


「僕も一緒に出るから。ね?」

「う…うん。」


と言って私たちは下に降りた。

初めは外に出て人と遭遇したらどうしようとか、思ってしまっていた。


「美蘭ちゃん行くよ?」

『せーの!』


と息を揃えて2人で庭にジャンプした。

出てみるとなんてことはなかった。

やはり私は女の子にしか見えないのか、近くの人が私を見ても何も無かったように歩きさって行った。


「ね?大丈夫でしょ?」

「う、うん。そうだね。」


そう、この年は、何とか庭まで出られるようになった。でもただそれだけ、それ以降は外で遊びもできなかった。


そして4年生では…

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