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第4話 後日談

数日後。登校しながら、俺達は音楽室であった出来事について話していた。と言っても、霊界堂先生の事がメインなのだが。

霊界堂先生は一度京都に帰ると言って数日間お休みすると新見先生が言っていた。そして、確か今日は霊界堂先生が戻ってくる日だ。

「ちゃんと話し合ったのかな、霊界堂先生」

真梨恵がそう呟く。

「……大丈夫だろ。だってあの霊界堂先生だぜ? 多分あの人はやると言ったらやる人だ」

「そうだと良いのだが」

紀和子も不安なのか、俺の言葉にそう返した。

その数秒後、後ろから声が聞こえてきた。

「あらあら御三方、おはようさん」

聞き覚えのある京ことば。

その言葉に俺達3人は振り返った。――そして。

「……霊界堂先生!?」

――髪をバッサリ切っていた霊界堂先生の姿に、驚きを隠せなかった。

「あらあら、相変わらずお元気そうやなぁ」

「霊界堂先生、髪切っちゃったのー!?」

「せや。『イメージチェンジ』言うやつやでー。……と言うのは建前やなあ」

そう言いながら、霊界堂先生はクスクス笑った。

「建前? ……本当の理由は?」

紀和子がそう聞くと、霊界堂先生はいつもの笑顔で、けど真面目に答えた。

「……ほんまは、うちの中での『けじめ』のつもりで、今まで伸ばしよった髪をバーッサリ切ってもろたんや。これまでの過去の自分を、切り捨てる勢いでなあ」

「過去の自分を、切り捨てる……」

俺がそう呟くと、霊界堂先生はクスクス笑って、「まあ、これはこれで似合うとるやろ?」と言った。



「霊界堂先生って、案外可愛い人なんだねー」

その日の昼休み。いつものように支援クラスで昼食をとっていると、急に真梨恵がそう言った。

「可愛い? 霊界堂先生が?」

「うん。だって可愛くない? 美人だしー、お淑やかだしー。ああいう人を『大和撫子』って言うんだろうなあー」

「まあ、京都出身だしな。京都の人が皆『大和撫子』な訳ではないと思うが、少なくとも霊界堂先生は『大和撫子』だろうな」

紀和子がそう言うと、真梨恵は「だよねー!」と返した。

「あ、でもでもー。うちの学校にはもう一人『大和撫子』がいるよー」

真梨恵はそう言った後、「ねー!」と支援クラスの教師用机の方を見て言った。

そこにいたのは支援クラス担当の神谷九二華先生。神谷先生は「え!?」と驚いた表情を見せた。

「ええ!? 私、霊界堂先生みたいに『大和撫子』じゃありませんよ!?」

「えー? 私は十分そうだと思うけどなー?」

「かっ、からかわないでください……!」

「からかってないよー」

真梨恵と神谷先生の会話を、俺も紀和子も笑いながら聞いていた。


――後から聞いた話だが、霊界堂先生はちゃんと両親と話せたらしい。

除霊の方針を変えてもらい、両親も霊能者としての仕事を続けているとの事。悪い噂は流れなくなった事も聞いた。

とりあえずは安心した。だが、今後何が起きるか分からない。

その日の放課後、真梨恵を迎えに支援クラスに向かう途中、ホールで霊界堂先生と『坂杜様』と新見先生の3人がなにやら話しているのが見えた。何か良くない事でも起こるのだろうか。

そんな事を考えながら、俺はそのまま支援クラスの方に向かった。




――この時、俺達はまだ知らなかった。

既に、この杜坂東中学校が、危機にさらされている事を。



【第5話(最終話)へ続く】

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