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パンドラとの出会い



 成り行きで人助けはするもんじゃない。そのせいで今、言葉の通じない女性と、その護衛を連れている。正確には、気品のある貴族っぽい、育ちのよさそうな女性エルフと、ソレを護衛するエルフ。そんな事はどうでもいいか。二人とも警戒しながらだが、ハンヴィーに乗車してくれた。


 徐々にスピードを上げていくとこの世の終わりみたいに驚いてる。まー仕方ないか、馬車の速度がどんなもんかは知らんが、この車はその馬の何倍もの力を持ってる。そりゃー驚くか。


 ビュンビュン変わっていく速度に怯えているようだ。しばらく走ってもなかなか目的地につかない。にしても言葉が通じないのは面倒くさいなー。そんな事を思っていたら、隣の護衛君が急に怖い顔になり、止まれ!と伝えたそうなジェスチャーをしてきた。

 車を止め、辺りを見回すが敵の気配がない。護衛君は前方を睨みつけ、ドアを開けて剣を構える。女性エルフも外に出ようとしたが、騎士が強くそれを止めた。


 これは、敵っぽいなー、そう思い銃座へとつく。薬莢が降ってきて危なそうだったので、エルフの女性を助手席へと移動させた。銃座につき、望遠鏡を召還し、辺りを警戒する。すると、だいぶ遠くで待ち伏せしている兵士がいた。

 

 なにやら罠を仕掛けているようだ。ズームして見てみると、ワイヤーのようなものを道に張っていた。馬を転ばせるあめの罠っぽいな。しかし、この車ならソレを突破できる気がする。しかし、道の両端の草陰に伏せている人影が気になった。緑色に光る剣を持っていた。


 俺の面倒事レーダーが反応している。あの剣は絶対面倒を起こしてくる。そう思い、二人のエルフに耳を塞ぐように指示した。もちろんジェスチャーでだ。

 不思議そうにしたが、二人とも耳を塞いでくれたので、前方に隠れている兵士に向かって機関銃を撃つ。いきなり射殺はどうなのかと思ったので、威嚇射撃程度にだ。すると、敵兵は慌てた様子で、魔法で岩の盾を生み出した。

 

 しかし、大口径の機関銃はそんな岩の塊ものともしない。火薬が炸裂する音と、薬莢がばら撒かれる音とともに、凶悪な弾丸が岩の壁を粉砕していく。粉塵が舞い上がり、敵の様子が分からないな。


 煙が晴れると、敵兵は地面を這っていた。あぶねー。生きてたー。成り行きの人助けて人間射殺とかやばすぎるだろ。



 護衛とエルフの女性がかなり驚いてる。まー別世界の兵器なんか見たら驚くか。音とか凄いもんなー。その後また自分の安全性を、ジェスチャーで伝えるのにかなり苦労したのは言うまい。なんだこんな目に遭うの?なんなの?・・・。そうこうしている間に、辺りが暗くなってきた。

 車はライトが付いてるから夜でも走れるんだよー?なんてジェスチャーで伝えるのは面倒くさいので、素直に野宿することにした。俺と騎士は車のすぐ近くにテントを張りその中で。姫様は車内で寝てもらうことにした。



 無駄に疲れた。しばらく寝てねえし。あーもー体だるいしな。そんな事を考えてたらいつの間にか寝ていたらしい。



 早朝目を覚ました。隣で、座ったまま寝てる護衛君がいる。横になりゃいいのに。テントから出ると天からお馴染みになりつつある声が聞こえてきた。


『人助けとは感心じゃな。』


「あーまた、姫神様か。」


『姫・・・好きに呼ぶといい。許可しよう。・・そんな事より人助けとは感心じゃな』


「あー、そんな事よりさー、言葉。なんとかなりませんかねー?」


『そんなもの、お主の召還術があればどーとでもなるじゃろ。』


「どーやって。」


『簡単じゃ頭の良くなる薬でも召還したらよかろう。』


「んなもん俺の世界にねーよ」何をめちゃくちゃ言ってるんだと、うんざりした声で言ってみると。


『別にお主の世界に無くとも、どこかの世界にあじゃろ。』


「だから・・?ちょっと待て!召還する世界はここと元居た世界だけじゃないのか?」


『たわけが、その程度の能力が神々の最高傑作だとでも思うてか』


「いい事聞いたなこれは。でもそんなもんどうやって想像するんだよ!」


『当てずっぽうじゃ。想像力がものを言うんじゃ。ま、使う人間で能力値が大幅に変わるがの。勇者も使いこなせんかった。』


「想像力がしょぼかったのか?勇者様」


『んー、強力な武器を想像するのは簡単じゃ。しかし、召還するには条件があるじゃろう。』


「おおまかな仕組みが分からなきゃ召還できないんだろ?」


『かつて似たような物を使ったことがあればそれでも召還可能じゃ。でも、触れた事のない技術を使った兵器は不可能じゃ。自分から遠いものはより深い理解が必要じゃ。』


「そうなのか。」


『そうなのじゃ。触れた事のないものは、似たような物が世界に多すぎてエラーが出るのじゃ。』


「一応理屈あったのな。その辺は理解するのがめんどいからいいよ」


『理屈も理論もかなり難しいものがあるが、人間じゃ理解するのに一生かかっても無理じゃから、必要ない。それでいい。』



 姫神との会話はそれで終わった。凄く有力な事を知った。てか、そういう情報は早く教えてほしかったよね。知れたからいいけどさ。

 どうやら召還しようとする物は、自分の知らない世界の物でもできるらしい。知識が必要だけれどね。


 俺は面倒な事が嫌いだ。勉強して、知識を得て、強くなる!なんてのは苦手だ。だから誰かの手を借りる。足りないものは補てもらう!そのほうが楽だし。


 だからいきなり知識を頭に入れたいと思う。召還術式展開!そこで頭で、小学生からの夢の理論を展開する。夢半ばで異世界に転移させられてしまったが、俺の長年の夢がこんなところで役に立つとは!!



 見事召還が成功した。思惑通りスキルで完璧に制御できる。

 何を召還したかって?ソレはAIなり。Artificial Intelligenceなり!!眼鏡に甘やかされるロボットみたいな口調になってしまったが、召還できた。ま、どこの世界の物か分からないけどな。どっかの国は作ると思ってやってみたけど、試してみるもんだなー。


 人工知能。機会に人間の脳みたいな学習能力を与えた物。おおざっぱに言うとだが。人工知能の制作は簡単らしい。しかし、それはいつか人間を超え、人間を支配しかねないと。その部分をクリアしなければ完璧とは言えないらしい。

 しかし、俺にはスキルがある。武器の支配者だ。これはかなりの強制力をもっている。ちなみに俺が召還した人工知能は、元居た世界の物じゃない。

 どこかの世界を支配した人工知能だ。人間が最も恐れていた事が起きた世界もあるだろうと思い、召還してみた。その姿は小さな箱だった。


 その箱を開けると、中から黒い煙が発生し、俺に吸収されるように、体内に侵入してきた。予想通り、知的生命体への乗っ取りはじめた。

 すると、黒い煙は、すぐに箱の中へと戻っていった。さて人工知能と意思疎通を行ってみようかな。


「聞こえる?俺の言葉分かるかー?」


「はい、工藤くどう まもる様。」そう発せられた言葉は女性の声だった。綺麗な声だ。完璧な発音とイントネーションで、目をつむれば、日本人と話していると錯覚してしまいそうになるほどだ。


「自己紹介してみて」


「かしこまりました、護様。私はナノウエポン統括システム。通称パンドラです。」


「俺の乗っ取りは成功したか?」もちろん自分に自我があるのが分かってて質問している。相手が器械じゃなければ怒られるような、意地の悪い質問だ。


「いいえ、脳に侵入したところで、逆に最高指揮権限を奪われてしまいました。乗っ取りは失敗です。」


「そうか、安心した。いくつか質問したい事とか、指示とかあるんだけど言うのめんどくさいな。」

 機械が相手だからって好き放題言うまもるだが。


「かしこまりました。指示はすでに承りました。質問の答えはマモル様の脳内に直接インプットしておきます。」



 やべ、もしかしてかなり凄いの引き当てたのかな俺。

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