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魔獣との戦闘

 どうやら俺は異世界に来てしまったらしい。これはかなりマズい。危機的状況だ。てことはグダグダできる家も!フカフカのベッドも!無い!もっと下手したら魔王とかいう物騒な奴を倒せとか!そんなん言い渡される可能性がある。

 状況は逼迫している。マズは目の前?頭上?の神様をなんとかしないとな。こいつを上手い事おだてて元の世界に帰してもらわねばぁぁぁ!!



「おぉ、神よ!私はどうかしておりました!!異世界に来た時に頭を打ったみたいです。度重なる無礼、お詫び申し上げます!」


 紳士的に、知的に、全身全霊で神にひれ伏さねば!!



『なんじゃ?突然。ずいぶん雰囲気が変わったではないか。』


「正気にもどりました。あぁ、なぜこんなにも美しく穢れのない透き通った声の主に私は不躾な事を口走ってしまったのでしょうか。あぁ、一生の不覚!さぞかし美しいであろう御方に向かって」


『お、お前。』


 やべぇぇぇぇ、無理あったよなー、っべーな、下心バレたかなー、慣れない事するとこれだもんだー。完全にこれ演技バレたろこれ、詰んだろこれ。


『見どころあるではないか!!そーかそーか、後悔しているか無理もない。しかし、妾は慈悲深いでの、お主の非礼を許そうではないか!』


 あ、こいつチョロいわ。


「おぉ!何と慈悲深き御言葉。なんと美しい御心!・・・そんな超絶美しい神様にお願いがございます。」


『うむ、なんなりと申せ!』


「私めに、異世界を超える。世界の境界をも超える魔術を授けてください!」

 

 あれ、自分で自分が何言ってんのか分からなくなってきた。まーなんとかなるだろ。


『なんと!!汝は、そのような物を得て何を成そうというのだ!』


「・・・私が求めるは平和のみにござる」

 

 ん?ござるって敬語か?これ、妾口調に流されてちょーーっと古風な感じになってしまったが問題ないだろ。なんか話噛み合ってるし。



『よかろう。貴様に次元を超える超魔法を授ける!!その力に溺れぬ戦士となることじゃろう!』

『ひめさまー?下界なんて覗いて何して・・あぁ!!それ授けちゃダメですよ!!あぁ!!』



「なになに?声増えたよ!?ヤダ怖い!うるさい!お前らの声脳内に響くんだからやめて!」


 なんだか、俺の頭に声を飛ばしてくる奴は神様の姫様らしい。もう一つの声は、その世話役の神様か。男の声だ。姫神を甘やかしてそうなだなー。

 てか姫神なんかヤバイもの授けちゃってるしさ。アホだなー・・・俺に授けたやつの事かしら。あらやだ怖い。



『あーーあ、姫様やっちゃいましたね~。王に知れたら怒られますよ?』

『だ、だって!』

『だってじゃありません!あれは魔王に勝てなかった勇者に授けようとした魔法ですよ?天界の最高傑作の魔法ですよ?それを勇者以外に授けるなんて。』

『だって、妾あの勇者は嫌いじゃ、勇者と言えばイケメンでなくてはならんのじゃ!あんな村人顔なんか妾は勇者とみとめないもん!』

『それより、スキル授けた彼は何者ですか?』

『異世界から来たものじゃ。』

『まさか、召還を!?』

『妾じゃない!急に現れたんじゃ!』


 こいつらこの会話が俺に聞こえてる事知らないの?なにこれ、友達の家に電話かけたら、お婆ちゃんが出て、

「たけしぃー電話だよ!」

「誰から?」

「婆ちゃん耳が遠くて聞き取れなかったんだよ、でてみればわかるでしょ!」

「いないって言ってー!」みたいなのが聞こえてきた時のブール―になる感じ!天界で神様がやってるもんだから数倍タチ悪いんだけど。

 てか、勇者が不憫だよ。ここにいないのに村人とまで言われてるよ!


『この男なんて目が死んでるじゃないですか!』


「ちょ、きこえてるんですけどー!!!」

 盛大にディスられて思わず叫んでしまった。


『あのー、異世界人のお方。その魔法なんですが、返してください』



「返し方分かんないし、勝手に奪っていけよ」


『そうし・・・あ、もう体に浸透してしまいましたね。驚いた、人間に耐えられる代物じゃないんですけどね。』


「何を言って・・・」そう言って手を見ると、手の甲にタトゥーのようにも見える魔法陣みたいなのが刻まれていた。アレ?なにこれ!焦って学ランを脱ぎ捨て、上半身裸で全身をキョロキョロ見回すと、胸から肩、腕、手の甲へと繋がっている。この感じは背中にも・・・。



『仕方ありません。それはもう貴方の物です。自由にお使いなさい。自由に勇者と協力して自由に魔王を倒しなさい。』



「あの、神様?自由、スペース、意味で検索してみて、そして自分の発言と照らし合わせてください。」


『言っている意味は分かりませんが分かっていただけたみたいですね。』


「なんでそうなる!!そんな限定的で束縛的な自由あってたまるか!」


 なんで俺こんな怒鳴ってんの?なにこの神々、こいつら自由すぎるだろ。少し分けろよ!


「あの、姫神様?せめてこの魔法の使い方教えていただけます?ソレが分からなきゃ入れ墨彫られた俺の上半身が可哀想なんで。」


『よかろう!それは次元を超えて命無きものを召還せし神の御業!この世界以外の世界から好きなものを召還できる魔法みたいなものじゃ!』


「よく分からん」


『異世界人さん、使い方はあなたの記憶に送っておきますからご心配なく。・・・姫様!ちゃんとこの者が勇者を助けるよう誘導してくださいよ!あと、お告げは控えるように!天界に負担なので!』


 それ俺に聞こえてしまっていいの?誘導の難易度上がってるよね?とか思っていると空から一筋の光が降り注ぎ意識が途絶えた。


・・・・


 目が覚めたら学校でした!!なんて事は起きるはずもないか。仕方ない、無駄にあがくのも面倒だから受け入れるか。

 それにしても雨降ってきたりしたら困るなー。そう思い空を見上げると、太陽がまぶしかった。強い太陽光が目の奥を焼く痛みを感じ、手で光をさえぎる。その手の甲をみれば刻まれた魔法陣。これ消えるのかなー?消えなかったら元の世界戻ってどーするのこれ。就職できないよ。バイトもできないよ。ニートまっしぐらじゃねーか!若気の至りじゃ済まねえぞこれ。

 そんな事を思いながら、先ほどの姫神と保護者のやり取りが夢でなかったのだと思い、気が重い。


 そういえば、せっかくの魔法だ、使ってみるか。そう思うと自然と魔法の使い方が分かった。使ってみると体から何かがごっそり持ってかれた。しかし、これは異世界補正か?全然底を感じない。限界が見えない。


「んー、なーに召喚しようかなー・・・ぐーたらできて、ベッドがあって、屋根がある家かな。」

 ん?でもそれってマズくね?突然人っ子一人いない大平原に家建ったら違和感あるよな。・・・木造のにしよう。燃やせるし!


 そう考え、一部屋しかない6畳程度の小屋を思い浮かべる。すると、全身の魔法陣が赤く光り、地面に大きな魔法陣が展開した。その直後家が現れた。


「・・・超便利だな。」

 これは凄い!まず起動から発動まで早い!イメージした瞬間に者がテレポートしてくる感じか。家の中までは想像してなかったが、何の支障もなく召還できた。次にベットとランプを召還し、昼寝をすることにした。












 これは、夢か、あれは俺の学校だ。学校の窓際、一番後ろの席で俺が寝てる。するとはるか上空から火の玉、いや隕石だな。ソレが俺の席めがけて降っていく。

 隕石が俺にあたると、時間が止まり、真っ赤な光が大量に俺の体に吸い込まれていく。残りの光は時間が止まった他の生徒にも吸い込まれていく。

 











 夢から覚めた。この家、窓を作るべきだったか。まったく、暗くて何も見えないな。外が見えないと時間が分からない。しかし、昼寝の天才である俺は、寝ながらにして体内時計が正確に機能する。ぼやける目を擦り、今はだいたい夜だろ。とおおざっぱすぎる体内時計を確認し、ドアを開け外を覗く。


 「なにこれヤバくね」

 眼前に広がるのはオオカミみたいな獣が家を取り囲んでいた。異世界にきていきなりピンチ。ピンチを確認するとドアを慌てて閉める。

 おいおい、嘘だろ!なんで木製にした!耐久度とか大丈夫だよな?この家思ったより頑丈そうだし、壊されないよね?いやいや、落ち着け俺!三匹の子豚を思い出せ!オオカミは木でできた次男豚の家をどうした?破壊してたよね!?

 やべーじゃん、なんだよレンガにしときゃよかった!


 そんな訳の分からない後悔に苛まれていると、ドアや壁の向こうから「グルルル」と威嚇しているのが聞こえる。すると何匹か家に体当たりしてきた。

 

 ヤバイなー、とりあえず追い払うか。そう思い、爆竹を召還する。それとライターを召還し、火をつけ、即座にドアを少し開け、投擲!そして急いで閉める。

 外で、爆竹が弾ける音が聞こえるが、オオカミを刺激してしまったらしく、激し目に体当たりを繰り返してきた。


 ヤバイなこれ、そのうち壊れるぞこの小屋!と、とりあえず武器!武器で応戦だ!くっそ面倒くせーーー!何だよこの状況勘弁してくれ!

 大声で不満を主張しながら武器を思い描く。剣、ダメ使えないし重いもの持ちたくない。爆弾、ダメ俺まで粉みじんになる。盾、武器かどうか怪しい。銃・・・銃は召還できんのかな?悩んでる暇は無いと判断し、銃を想像する。ハンドガン。使いやすいやつ!

 魔法陣が起動し、銃を召還するのに成功した。弾が入ってない!直接召還!マガジンに弾丸16発を直接召還し、装填。セーフティーを外し、ドアを開ける。


 するとオオカミがとびかかってきた。引き金を引くと手首に強い衝撃が伝わり、パァン!と大きな音そして高速で弾丸が打ち出され、弾丸がオオカミの頭を貫いた。

 当たり所が良かったのか即死だった。その後も無我夢中で打ち続ける。16発撃ち終わる前に、弾をマガジン内に直接償還、リロードなく打ち続けた。

 オオカミを何匹か仕留めると、恐れをなしたオオカミがキャンキャン言いながら森の方へ逃げていった。



 この魔法すげー。銃出せるのコレ、万能だな!しかも、どの向きで、どの辺に物を出すか、イメージ道りに召喚できる。その範囲は自分を中心とした3メートル、球体だ。この召還を利用すれば、地面に地雷をすぐに埋める事ができる。まさに万能!

 オオカミの体内に爆弾と考えたが、召還条件に命が関わっているため、無理くさいな。自分の胃袋の中に食事を召還しようとしたら失敗だったため、召還で生き物を殺すのは無理そうだ。


 それを差し引いても便利だ。16発しか弾薬の入らないマガジン内に弾丸を直接召還、装填することで30発くらい連射できた。銃は召還するとき同様魔力をこめると、光の霧のようになって消えた。これ出来るなら木造の家である必要ゼロだったじゃん。



 あのうさんくさい神様、一応礼は言っておくか。そんなことを考えると同時に、近日中に安全な街を目指そうと目的を決めた。

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