#7
「・・・98・・・99・・・100・・・ふぅーっ、やっぱり暇なときは筋トレに限るわ~。」
と大男はメビウス・プレミアムメンソール・オプション・イエロー・8のカートンの包装を破り、タバコを取り出して火をともした。その間、蓮は唖然としながら社長であろう大男を眺め、陽菜はいつも通りの光景という風にスルーしていた。
「社長、いつも通りなのはいいですけど話が進まないので取りあえず、座りましょう。」
「了解。あ、新人君はタバコ要る?あと、俺吸うけど良い?」
「はい、自分は吸わない派なので・・・、あと、吸うのはどうぞ。」
「今の社会って喫煙者には肩身がせまいんだよね。一々確認取らないとああだこうだ言ってくる人とか多いし。どうぞ座って座って。」
社長とよばれる大男はアハハハと笑いながら窓を開け、換気扇をつけて、暖房を切った。そして、大男と蓮がソファに腰掛けた。外から入ってくる空気はさっきまで暑いと感じていた真夏のものとは思えないほど清々しく、それまでこの部屋がどれだけ暑く、空気が悪いものだったかがうかがいしれた。
「早速本題に入るけど、新人君の書類見たけど元自衛隊だっけ?前の仕事のスキル生かせるとは思うよ。但し、一つ質問させてもらってもいい?」
「はい、何でしょうか?」
「じゃあ、遠慮なく。この質問で君が明日海に浮いているか決まるから。」
「はい・・・。はい!?」
「アハハ、大丈夫大丈夫。気軽に答えてね。君は金の為なら人を殺せるかい?」
「それ大丈夫じゃないですよね!?」
「大丈夫。浮くのは君だけだから。」
「それなら大丈・・・夫じゃないですよね。」
「良いから、答えて。」
蓮には正直この仕事しかないと思っていた。なぜなら、色々な事が起こり、戸籍上蓮は死んだ事にされているからで、もうあとがない。そしてその時、紹介されたのがここで選択肢がもうながった。なので、ハイと答えた。
「良かった。それなら、正式にウチの社員だ。俺はウェス・テイラー。一応この警備会社の社長をやっている。これからよろしく」
「西野蓮です。これから、宜しくお願いします。」