#3
蓮が事務所の外へ出て行くとそこに目的地の最寄り駅の事務所だと分かった。駅の改札を出て少し待っているとさっきの女の子が駆け寄ってきて、
「迎えの車が来るので少し待って下さい。あと、ロータリーまで行って、車を待っている間にお互いに自己紹介しませんか?」
と言った。蓮はこれから同僚か上司になる人だし時間が無駄にならないと思い、
「西野蓮です。よろしくお願いします。」
と言った。
「山ノ井陽菜です。こちらこそよろしくお願いします。敬語やめません?私多分年下ですよ。あと、うちの会社基本的に年上相手でも敬語は無しですよ。」
「分かりま・・・分かった。そういえば、年いくつ?俺にも敬語無しで良いよ」
「了解。24だよ。そっちは?」
「本当に!?もっと下かと思った。俺は25だよ。」
「本当、本当。一個上だったんだね。あっ、車が来たよ。」
話しているとロータリーの入り口にトヨタ・ランドクルーザーがきて、蓮達の前で止まった。運転席から小柄で黒縁メガネをかけた上下黒いスーツにノーネクタイの明るい茶髪の若い男が降りてきて、
「ワシはパシリか!?新入りは予定していた時間に来んし何しとるんじゃろうか・・・。」
すると、陽菜が
「良いじゃん。フォード・F-150はキーを私しか持ってないし、寺山は他の人にランドクルーザーを運転してほしく無いんでしょ?」
「まぁ、そうじゃけど。・・・その人誰?」
「社長が今日から新入りが来るって言っていたでしょ?この人がその新入りってこと。」
「はぁ!?なんで新入りと一緒なんじゃ!?」
陽菜が寺山にこうなった経緯を説明すると、
「何というか・・・災難じゃったね、皆待っとるじゃろうけぇ、出発するか。」
と寺山が言ったので、蓮が後部座席に、陽菜が助手席に乗り込んで会社に出発した。