#2
「うっ、・・・う・・ん」
と蓮がうめきながら目を開けるとそこは事務所らしき部屋でそこのソファーに寝かされていた。目の前にはさっきの女の子が心配した顔で覗きこんでおり、蓮は
「うわーーーーーーっ」
と驚きながら後ずさろうとするが、ソファーの上だったのであまり後ずされずにソファーがバランスを崩してそれ自体が蓮ごと倒れてしまった。恥ずかしかったがほかには人がおらず静かだった。
「さっきは助けようとしてくれてありがとうございます。そして、オッサンのかかと落としを食らわせてすみませんでした。」
と女の子が土下座してきた。そして、そのまま
「どこかへ用事があるのであれば、その場所まで付き添って釈明のお手伝いと何か体に異常があれば治療代はこちらで負担するので、許していただけないでしょうか?」
「頭をあげて下さい。大丈夫なんでいいですよ。」
蓮がそう言うと女の子は頭を上げた。
「でも・・・。」
「いいです。」
「でも・・・。」
「じゃあ、お言葉に甘えて釈明の手伝いだけお願いしても良いですか?」
「それだけで良いですか?」
「いいですよ。」
と蓮は笑いながら答えた。そして、自分の腕時計を見ると予定の朝の10時はとうに過ぎており、昼の12時過ぎになっていた。
「これ、時間的にアウトだ・・・。クビかな・・・。」
「それなら、車を近くまで呼んでくるので目的地はどこですか。あと、立てますか?」
と言いながら女の子は立ち上がった。
「大丈夫です。立てます。」
といいながら蓮は立ちあがりながら目的地を答えると
「そこってうちの会社なんですが、もしかして、依頼をしにきた方ですか?」
「俺はどちらかという 入社させて頂く側なんですが・・・」
「・・・は?・・・今、何て・・・?」
「だから、俺が新入りです。」
「冗談ですよね!?私、これから同僚になるひとに『人でかかと落とし』を決めちゃったんですか!?」
「みたいですね。」
といいながら蓮は苦笑した。
「やらかしたーーーー!とりあえず、会社に連絡して車の手配とワケを話してきます。」
と言って女の子は勢いよく事務所の外へ出て行った。
「えっ・・・そういえばここどこ・・・?」