秘密箱
行かないで。どうして行ってしまうの。私は、あなたのために綺麗になったわ。失いたくない。
お願い。私を一人にしないであなたのために変わったのよ。
『まただわ。こんなに泣いてたの。最近酷く嫌な夢ばかり。朝から美しくない。目が腫れてる。』ため息をつきながらピンクのパジャマを脱ぎ捨て彼女は自分のお気に入りの部屋へ向かった。
『おはよう。私の大好きなもの。今日も美しく綺麗にしてね。』その部屋には、服、靴、バック、アクセサリー、化粧品、ドール人形、鏡、ドレッサーなどがいっぱい置いてあった。まるでお姫様気分を味わえる部屋だった。
彼女の名前は、フィナ。別名で通している。本名は、三木 玲(みき
れい)。彼女は、美しくしいもの綺麗なもの可愛いいものが好きで愛して止まない人であった。
『さぁ、今日も美しくいくのよ。誰よりも綺麗になるの。私はフィナよ。美しい以外考えられない。』彼女は、自分自信を綺麗だと呪文のように言う。そこまで美しくいたいのは理由があった。
『うーん、ばっちり完璧ね。化粧しなくても美しくいたい。いえ、美しくなるのよ。』彼女は、近所では有名で知らない人はいなかった。
美しくいようとする彼女に、興味を持つ人もいれば気に入らない人もいるようだった。
彼女は、そんなことはどうでも良かったのだ。見てるものは美しく綺麗で可愛いいものだけだ。
『ネイル予約してたんだわ。急がないといけない。デザインも決めて無かった。』慌てながら、玄関を出た。駅まで歩いていると、前からいかにも怪しい男がよたよたと歩いていた。真っ黒なスーツで、マスクをし髪は少し長く真っ黒。男のオーラが闇にみえた。彼女とは違うオーラを放っている。光と影のようであった。
すれ違うという時にも 、男は足がもつれたのか彼女の方に倒れこんだ。
『いたっ』彼女は倒れこんできた男に巻き込まれた。
『すいません。申し訳ないです。』すごく小さな声で言う男に少しイライラしたが、彼女は大人の対応をした。
『いえ、大丈夫です。大丈夫でしたか?』男が手を差しのべてきたので彼女は遠慮なく手を掴んだ。男の手に触れたとき何かが彼女の頭の中でうつった。彼女がまだ中学生で、暗い教室の中で男の子と話している様子だった。
『頭痛い…。何なの今の。』彼女は、我に返った。なぜ、昔のことを思い出してしまったのか混乱していた。男は、いなくっなっていて彼女は頭の痛みが止まらなかった。
『嫌な夢となんだか似てる。頭痛いの治らないわ。でもネイル予約して行かないのもだめ。』彼女の頭の中は、美しいたいそれだけで自分の嫌なことはしまいこみ誰にも言わない。彼女の悪い癖だった。
頭が重いまま、予約したネイルの店に辿り着いた。
彼女の到着に一人の店員が立ち上がり挨拶をした。
『いつもありがとうございます。お座りください。』彼女は、店員の言うとおりに席に着き自分がしたい柄やイメージを話した。
店員は、彼女の言うことを無理とは言えなかった。彼女は、お店の中では一番のお客様であって失礼なことはできない。
丁寧に丁寧に彼女の爪を綺麗にしストーンなど彼女のイメージが爪に出来上がって行った。
彼女にとっては、店員さんは自分を綺麗にしてくれる魔法使いなのだった。
『どうでしょうか?イメージと違いましたか?』店員が恐る恐る聞いてみると、彼女は笑顔で喜んでいた。
『すてき。ありがとうございます。とても気に入ったわ。』彼女が喜んでくれたことで店員にも笑顔が戻った。
『ありがとうございます。またお待ちしてます。』出来上がったネイルに満足の彼女はまた来ると告げて店を出た。
新しいネイルに喜びながら、今日はお気に入りの部屋でファッションチェックをしようと考えている彼女に激しい頭痛に襲われる。
家まであと少し、目の前にある一歩道が終わればすぐ彼女の家だ。
『痛い。早く家に行かなきゃ。』酷い頭痛にたえながらなんとか家に辿り着いた。
ドアを開け、靴を脱ぎ捨て玄関で力尽き倒れこんだ。
上着やスカート、ストッキングを脱ぎ捨てベッドまで壁に手をつきながら歩く。
『はあ。やっと休めるのね。』彼女は、ベッドにダイブし深い眠りについた。
『私、家にいなかった?どこなの?』夢の中で彼女は、見たことないものや壁にぶち当たろうとしている。目の前には、一本道があるがとても不思議な道だった。
『すごいわ。綺麗。なんでこんなところにこんな綺麗なものがあるのかしら。』不思議な一本道には、宝石でうめられた地面。道を照らすシャンデリア。洋服やバッグ、靴やアクセサリーが並んでいた。