表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでは恋を始めましょう。  作者: 紫野 月
3/22

 3 佐藤結花

 私の通う大学には王子様がいる。

 初めて聞いた時『何、それ?』と思った。王子様って御伽噺じゃあるまいしおかしいでしょ。

 そりゃ確かに英国とかモナコとかには王室があって本物の王子様がいるけど、日本の大学にいるわけないじゃないと思ってた。

「本当に王子様なんだって。もう、それしか例えようがないのよ!」

「「はいはい、分かった分かった。真美」」

「信じてないわね結花、小春。だったら一度見てみたらいいのよ。そうしたら納得するから!」

 竹下真美、橋本小春、佐藤結花。私達は高校の時からの仲良し。

 この春憧れのK大に三人とも無事合格した。入学して二ヶ月、大学生活にも慣れ毎日がとっても楽しい。三人とも学部が違うけど、時間をみつけてはこうして会っている。

 

 女の子が集まってする話題は美味しいスイーツや可愛い雑貨。そして素敵な男性のこと。特に真美は講義でよく一緒になる男の人に夢中なのだ。この二ヶ月、会うたびにその人の話をする。

 その人の名は西園寺貴文。

 真美は彼を西園寺様と呼び、凄いハイテンションで彼のことを事細かく私達に話して聞かせる。正直いってウザイです。




 私と小春があまりに無関心なので、6月のとある日、真美は強行手段に出た。西園寺様が来るという理由で全く関係の無いセミナーに私と小春を強制参加させたのだ。そこで初めて私達はK大で一番有名な彼に出会った(というか一方的に見た)

 そこには乙女の夢と理想がいらっしゃった。

 甘い顔立ち、高い身長、均整のとれた身体。そして内からあふれる品のよさとでもいうのだろうか、真美が王子様に例えたのも頷ける… というか、王子様にしか見えない! 西園寺様を見た瞬間、彼の虜になった。

 そして私達三人は非公認西園寺様ファンクラブを立ち上げた。といっても会員は三人、活動は西園寺様の噂話をするだけの会だ。真美は西園寺様といくつか講義が同じなのでその時の様子を話し、小春は同じ学部に西園寺様の高校時代の同級生がいるので、その人からいろんな情報を聞きだしては教えてくれた。私はそんな二人の話を聞くだけの、まったく役に立たない会員だった。

 

 7月に入り、みんな前期試験のことや夏期休暇の予定を口にするようになった。

 夏期休暇。二ヶ月も大学が休みになる。つまり西園寺様の姿を目にする機会がなくなるということで、本来ならとっても楽しみなはずなのに私達ファンクラブはテンションが降下ぎみだ。

 二ヶ月も会えない。なら今のうちに少しでも見ていたい… そう思った私達は西園寺様のおっかけを始めた。(ストーカーじゃないですおっかけです。そこんとこ間違えないように!)

 今日は会えた! 会えなかった… と言って、はしゃいだり落ち込んだり。私達は毎日のように西園寺様トークで盛り上がる日々を過ごしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ