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それでは恋を始めましょう。  作者: 紫野 月
19/22

19 橋本小春

今回の話の都合で、18話の終わりの部分を加筆修正しました。

すみません。お手数をおかけします。

 疲れた…

 今日最後の講義がやっと終わった。

 お昼からの2コマは眠気との戦いだった。課題を仕上げるためほとんど寝てなかったしね。今、布団に入ったら3秒で眠れる気がする。

 重い体を引き摺って講義室から出ると、知らない人に声をかけられた。

「あ、やっぱり橋本さんだ。よかった、やっと会えた。探していたんだよ」

 はて、あなたはどなた?

 彼は私を知っているようだ。そして彼の態度からすると私と彼は面識があるみたいだ。 

 うーん、思い出せない。『貴方は誰?』って聞いたら失礼だよね。でも、誰だか分かんないし。困った…

 そんな私の様子に気がついたのか、彼は苦笑いを浮かべた。

「橋本さん俺のこと覚えてないの? ほら、一年位前に一緒に鉄板焼きを食べたんだけどな。西園寺と安倍とそれから君の友達とさ」

 一年前に西園寺様と安倍君とてっぱん__

 おお! あったね、そんな事。

 ええと、あと一人は、この人は…

「宮沢君?」

「そうそう、思い出してくれた? っつか忘れるなんて酷いね」

 宮沢君の言葉を私は笑って誤魔化した。

 すみません。あの時は西園寺様しか見てませんでした。それに一年も前の、それもほんの数時間一緒だった人の顔なんて憶えてないです。だってそれきり接点なんて全然無かったし。それなのに今頃私にどんな用事があるというのでしょうか?


「あのね橋本さん。俺、今、竹下さんを口説いてる最中なんだけど__」

 ああ、はいはい真美ね。真美は美人だからね。で、それで私に何の用?

「彼女なかなか手強くてさ、それで考えたんだ__」

 ふーん、相手にされてないんだ。真美は恋愛に関して結構硬派だからね。宮沢君は見るからにチャラ男だし、まあ無理なんじゃない。

「みんなで海に遊びに行くってのはどうかな」

「みんな?」

「そう。みんなで」

「みんなって?」

 宮沢君は満面の笑顔を浮かべ明るく答えた。

「決まってるじゃん。俺と貴文と祐一でしょ。橋本さん佐藤さん、そして竹下さん。ぴったり3対3の6人!」


 …成る程、ダブルデートならぬトリプルデートをしようってコトか。

 西園寺様と結花は目下ラブラブの恋人同士。

 宮沢君は真美が目当て。

 ということは、私は安倍君とペアってこと? ちょっと待て、どうしてそんな発想になるのよ?

「__に貴文が別荘を持ってるんだけど、そこに泊りがけでさ「宮沢君!! なんか勘違いしているみたいだけど、私と安倍君は付き合ってないし。そもそも友達っていう程仲がいい訳でもないんだけど!」」

「えっ、そうなの? よく一緒にいるからてっきり」

それは安倍君から西園寺様の情報を得ていたんです。学食おごったりジュースやお菓子を差し入れたりして、高校時代の西園寺様の様子なんかを教えてもらっていたのだ。それに…


「なにくだらんこと言ってんだ佳樹」

 背後からいきなり安倍君に話しかけられ(それもちょっと低い声で)宮沢君は笑顔のまま凍りついた。

「なんで祐一がここにいるわけ?」

「それは俺もさっきの講義を受けていたからだ」

「…あっ、そうか。二人は同じ学部だっけ」

 そう。安倍君と一緒にいるようにみえるのは、受ける講義が大体同じだからだ。


「その旅行の話し、貴文も乗り気じゃなかっただろうが」

「二人きりで行くよりも大勢で行く方が楽しいって。海ではしゃぐのも、バーベキューするのも、花火をするのもさ」

「だからって、俺や橋本さんを巻き込むな」

「だって、橋本さんが来なけりゃ竹下さんを誘えないし」

「人の迷惑を考えろよ」

「親友の頼みを聞けよ」

「親友になった憶えはない!」

「なにそれ、酷い!」

 なんか私のコトそっちのけですね。

 もう帰っていいかな。眠いんだよ、とっても。一刻でも早くお布団に行きたいんだけど… 

 私への用事はもう済んだってことでいいよね。

 そう結論付けて歩き出そうとしたところでスマホが鳴った。

 真美からだった。





「はっ!?  西園寺様がロリコンで婚約者!?」

 あまりの衝撃に思わず大声で問い返してしまった。

 なんだかよく分からないが、結花がぶっ飛んだお嬢様に絡まれて、そのお詫びってことでお食事券を貰ったので一緒に行こう。ということらしい。

『詳しいことは後でゆっくり話すから楽しみにしておいてね』

 そして一方的に真美からの電話は終わった。

 真美のテンションから想像すると非日常的な体験をしたみたいだ。うん、楽しみにしておこう。

 スマホをしまい歩き出そうとした私の前を安倍君が遮った。

「橋本さん。とても面白そうな話をしていたけど、詳しく教えてくれないかな」

 これは安倍君の声ですか? いつもと違って威圧感が半端ないんですが。

「俺も凄く興味があるな」

 宮沢君、さっきまでのチャラさは何処へ行った?

 その笑顔、笑顔なのになんだかとても恐いです。


「えーと、ゴメン。さっきのナイショの話で… だから忘れてもらえると嬉しいんだけど」

「そう。それじゃ他の人に聞かれたらマズイね」

「俺、今日車で来てるからドライブでもしながら話そっか」

「おっ、名案だね佳樹」

「「さあ行こうか」」

 君たちさっきまで言い合いしてましたよね。

 なのに今、どうしてそんなに息がピッタリなんですか。


 こうして私は良い男二人に連行されました。

 あーあ。内緒ねって言われたんだけどなぁ。

 ごめん。真美、結花。

 でも、これって、私悪くないよね。

 ちょっと不運が重なっただけだよね。

 ねっ、ねっ!!

結花は今年も海に行けないようです。

西園寺様が旅行に反対したのは、結花の水着姿を他の男に見せたくないからデス。

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