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それでは恋を始めましょう。  作者: 紫野 月
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 1 西園寺貴文

新連載を始めます。宜しくお願いします。

さて、このお話しは「この恋、終わらせます」の出会い編です。今回は、彼氏、彼女、そして周辺の人達の視点で書いていこうと思ってます。

タグにも付けましたが彼氏様は外面王子です。多分二重人格とか腹黒まではいっていないと思いますが… きっと前作の彼氏様の人物像が壊れます。許せない方は回れ右でお願いします。

彼氏様の視点から始まります。ちょっと暗いです。

 僕が初めて彼女を見つけたのは大学の実験棟にある大きな水槽の前だった。

 普段ならそんな場所へ足を運ぶ事はないのだが、その日は雨が降っていて息抜きをしたい時に行く中庭に出られなかったのだ。

 これは子供の頃からなのだが、僕は周囲の注目を集めてしまう。皆の視線を浴びることに慣れてはいるが、だからといって気持ちのいいものではないし、誰の目も気にせず寛ぎたい時だってある。あの日はなんだか疲れていて大勢の人と一緒にいるのが苦痛だった。だから次の講義までの空き時間を静かに過ごそうと人気の無い場所を求めて歩き回っていたのだ。


 彼女は水槽で泳いでいる魚をただジッと見ていた。

 その顔はとても幸せそうで、魚を見る目は優しく温かで、まるで聖母のようだと思った。

 ただ水槽内の魚は実験用なのだろうか、観賞魚と違って地味で動きも少なくて見ていて何が楽しいのだろうかと不思議に思ったが…

 彼女は魚に夢中で僕が見ている事に気付かない。そんな彼女の姿を僕はずっと眺めていた。



 次に彼女を見かけたのも雨の日だった。

 やはり一人になりたくて構内を歩いている時に、あの水槽の事を思い出したので行ってみたのだ。

 彼女はあの大きな水槽を一人で掃除していた。あんなに大きいのに一人で大丈夫なのか? そんな事を考えながら見ているとなかなか大変そうだ。

『一人で大変そうだね。何か手伝おうか?』 そう声をかけてみようか。そうすれば彼女の傍に近づける。声が聞ける。会話することも…

 何を考えている。顔も名前も知らない男にいきなり声をかけられたって困惑するだけだ。ヘタすると不審者扱いだ。それに“声を聞きたい”って、なんだそれは。何故そんな事を思った。

 そんな自問自答をしていると、作業をしている彼女に近づく者がいた。


「あれ、佐藤さん一人なの? 他の子達はどうしたの」

「あっ部長。お疲れ様です。なんか用事があって今日はみんな来れないそうです」

「用事? 3人とも? 本当かな。洗うのが面倒だからってサボってるんじゃないの?」

 二人の話し声がところどころ聞こえてくる。

 あの水槽は彼女の所属するサークルのもので、今日は清掃の日なのに他の当番の者達は適当な用事を作って来なかったらしい。部長と呼ばれる女性が今日来ていない者達を批判し始めると、彼女は絶妙に話をあわせながらもその者達のフォローをしている。いつの間にか部長の機嫌も直ったようで楽しそうに喋りながら作業をし始めた。

 僕がそれで分かったことは、彼女は川や湖に行って水棲生物を捕まえそれを実際に育てて観察するという、何が楽しいのか理解できないサークル活動していること。そして名前が佐藤だということだった。

 彼女とは一般教養で一緒になることもなく、構内ですれ違うこともない。あの水槽の前に必ずいるわけでもなく、暫らく見かけない日が続いた。

 



 どうしてだろうか。無性に彼女に会いたくて仕方が無い。

 会えたからといって話しかけるわけじゃない。おそらく遠くから見ているだけだと思う。

 彼女の笑顔を見るだけで、それだけでいいのだから。

 それから一週間。僕は暇を見つけてはあの場所へ行ってみた。もちろん彼女がいた同じ曜日の同じ時間にも足を運んだが会うことはできなかった。

 

 日が経つにつれて心に余裕がなくなってくる。

 もう二度と会えないかもしれない、そんな気がしてきた。

 彼女を捜そうにも学年も学部も知らない。学内にいる“佐藤さん”をしらみつぶしに捜せば見つかるだろうが、いったい“佐藤さん”は何人いるのだろうか? もしくはあの意味不明なサークルを見つけて体験入部をさせてもらうかだ。

 ……ちょっと待て。これではまるでストーカーではないか。

 少し冷静になれ。どうしてそんなに彼女に会いたいと思うんだ?

 僕はその疑問の答えをもとめようと考えた。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

読者様に楽しんでもらえるよう頑張りたいと思います。

応援のほど宜しくお願いします。

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