腐乱崇高
《フラスコ》は、常になにかに納得いかないような、ふて腐れている顔をして研究室に閉じこもっている。顔のない彼がそう語る《フラスコ》とは、僕以外のなにものでもないのだ。まるで他人のマンガや小説を悪気なく又貸しするかのように僕を《フラスコ》に貸与した彼が残していった卒業論文。そこに《フラスコ》に対する謝辞を発見した僕は、なんとも言い難い想いに襲われ、その行き場を求めるようにして、空っぽのフラスコ片手にキャンパスを歩き出すのであった。
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