第零章『2』 後継者
2回目ですがよろしくお願いします。
楽しく見てください。
「来ましたね。早く座りなさい」
部屋に付いた俺は母の前に腰を降ろす。
大体、呼ばれた理由は分かっている。
妹が亡くなり、後継者がいなくなった今任せるのは選択肢は、養子を取り跡を継がせるか、俺に後を継がせるかの2つになった。
養子を取りたいのは山々だが、今この時期に養子を取ってしまうと会社が内側から潰されかねないので養子の選択肢は消えるだろう。もう一つは俺が継ぐことだ。だが、月と鼈と言われている通り、俺には何にも知識がない。 その状態で俺に継がせると会社はモロ潰れるが、俺を人形として操るなら簡単な事だ。
その相談を多分するのだろう。後継者を誰にするかを。
もう一度母が姿勢を直す、規律正しい人だ。多分、頭は仕事のことしか頭に無いだろう。
妹が死んだと言うのに少し心に揺さぶりを掛けられたくらいのダメージだろう。
相変わら凄い人だな。
「後継者の話なんですが、私達はあなたに継いでもらおうと思います」
「そうですか、それで?」
動揺を見せない様に素気無い返事をするが母の表情は変わらない。
ホント止めて欲しいよなこういうの。
妹の葬儀も終わったし。早く部屋に籠りたい気分である。
「後継者の役割は会社の運営、そして外部へのあいさつなど色々ありますがそれは継いだ時にします」
「その後継者ってのは、絶対なんですか?」
「いえ、強制ではありません」
「なら、なぜ? 俺を指名なってのですが?」
「あなたが息子ですからです」
冷静にやり取りを交わしているが、はっきり言って怖いよ。
あまり外に出たことが無いせいか葬式の時に人混み酔いで吐きそうになったからね。
本当にこういう空気も止めて欲しい次第である。
「息子ですが、俺は『鼈』って呼ばれてるほど馬鹿なんですよ?」
「知ってます」
——カチン。
なんか頭にきたな、事実だけどもそこは上手い切り替えしというやつを望んでいたのにな。
少し顔が引き攣ったかもしれないが、立て直し笑顔で喋る事にする。
「なら、俺じゃなくても養子とか雇えばいいじゃないですか」
「それは無理です」
「なぜです?」
「美也瀬賀が、そう命じたからです」
美也瀬賀は俺の父親だ。
現在の社長である。妹と同じで優秀なので妹の血は父親という事になるだろう。現在父は各国に出回っているらしいが現在いる場所までは特定ができないでいる。
「父がどうして、そんなことを?」
「わかりません。ですが、意志さえあれば後継者の立候補ができます」
「そうですか」
ここで後継者の立候補に立てば操り人形として人生を操られるままに過ごしていくだろう。
どう考えても嫌だ。
「優秀な養子を見つけて来れば、俺が後継者にならなくてすか?」
「それは、どうなんですか?」
母が秘書に確認するとすぐさま秘書が喋る。
「それは大丈夫ですね。養子、婚約者などの責任感が強い人を連れて来れば立候補の代理として認められます」
「ですって」
「じゃあ、見つけてきますよ」
と、張り切って言うがどうやって見つけようか考えるところである。その辺の召使いを仕立てるのも無理だろうし。
引き籠りの俺にそんな人脈があるとでも?
自信持って言えるまったくないな。
「では、学校に行ってもらいます」
「学校?」
そう言うと、目の前にパンフレットを置かれる。
それは高校のパンフレットだ。お嬢様お坊ちゃま学校のパンフレットみたいだ。
「そこに行って、養子を見つけてもらいます」
「ほんとですか?」
「こちらが編入届は出しとくので四月から学校に行ってください」
「はぁ」
何やら最後の方は流れに任してしまったが、一応これで養子わ見つける準備はできた訳だが、コミュニケーション力がほぼ皆無な俺がどうやって見つけるかは頭を悩ませるところであった。