表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

陣の場合 1




「ねえ、ちょっと。お兄さん」



「はい?」


振り返るとそこには、ナイスバディ(死語)のお姉さんがいた。


真っ黒の露出度の高いワンピースは、若干時代遅れな感じもするが、とにかくエロい。


長い髪はダークレッドに染められている。


こ、これはキャッチセールスか?


オレは不審に思い、様子を伺う。



「ここら辺で、鬼、見なかったかしら?」


「鬼??」


「そうよ。鬼よ。ニオイがプンプンするの」


ああ、あれだ。


関わっちゃいけないタイプの人だ。



繁華街が近いだけあって、関わっちゃいけない人達をよく目にする。


この人もきっと、幸せな気分に見せかける薬でも使っているんだろう。



「わかりません。じゃ…」


軽く会釈してその場を離れようとする。


触らぬ神に祟りなし、だ。


「ちょっとー。何勝手に去ろうとしてるわけ? 待ちなさいよ」


お姉さんはオレの腕を掴んだ。


「いや、あの、オレ急いでるんで」


「あんたの知り合いか身近なとこにいる筈よ。あたしの鼻は誤魔化せないわよ」


いやいや、言ってること意味わかんないし。


「すみません、本当に知らないんで」


お姉さんの手を振り解こうとしたけど、細い腕してるわりにガッチリ掴まれていて、思うようにいかない。


なんなんだよ…。



「もう人間は飽きちゃったから、次は鬼にしようと思うのよ。そっちの方が濃くて美味しいし」


「は、はあ…」


もうダメだろ、意味不明すぎる。


それに美味しいとか、卑猥な響きだ。


「最近の人間って不味いのよねー。味気ないし、空気が悪いってのもあるのかしら」


「……」


逃げたい。


「どうしても知らないって言うなら、お兄さんで我慢しようかしら。もうお腹空いて動きたくないかも」


オ、オレっすか?!


何されちゃうわけ?!


「か、勘弁してくださいっ」


「大丈夫。安心して。殺したりしないから」


命関わってくんの?!


だんだん、目の前のお姉さんに恐怖を覚える。


マジでヤバイよ、ねえ。


「ここじゃ人目につくから、こっち来てね」


「や、やめてくださいっ」



抵抗するも、結局そのまま怪力のお姉さんに引き摺られて行く。





「あ、あの、ここは…」


「あたしの住処よ。素敵でしょう?」


連れ込まれたのは町外れの謎のお屋敷だった。


無駄にでかい屋敷で、恐らくここで助けを求めて叫んでも、誰にも聞こえない。


なにこのシチュエーション…。


どうしてオレはこんなところに連れ込まれて、お姉さんとベッドの上で向かい合ってるんだよ。



しかしなぜか逃げたいのに身体が言うことを聞かない。


襲われちゃうの?!ねえ?!


オレの純情、奪われちゃうの?!



「んふふ。そんな怖い顔しないの。痛くしないわ」


カチャカチャと手際良くベルトを外され、ジーンズを脱がされる。


痴女!!この人、痴女だ!!


オレ襲われちゃうっ犯されちゃうっ。



「オ、オレ、好きな女がいて…だから、その……」


初めてはアイツとしたいって、ずっと思ってたんだよっ。


「あー、お兄さんもしかして、童貞さん?」


「わ、悪かったねっ」


ずっとサッカー馬鹿だったし、アイツ以外の女なんか興味なかったし。


それなのに全然オレの気持ちに気付いてくれないし…って、今それは関係ないっ。



「これも脱いじゃおうねー」


最後の砦のパンツも脱がされ、足を大股開きさせられる。


「マジで無理っ!!許してください」


下半身丸出しで半泣きのオレ。


「あらー。でも、小さいお兄さんは素直でいい子よ?」


お姉さんはオレの股間をガン見する。


「うぅ…」


そりゃ、エロいお姉さんにこんなことされたら、元気になるっつーの。


「すぐに大人しくしてあげるね」


おかーさーん!!



お姉さんはアーンと口を開け、オレの小さいお兄さんのほうに近付く。


穢れちゃうっっ。


さよなら、今日までの綺麗なオレ。



ギュッと目を瞑り、覚悟を決める。



カプッ。




「うぅううう…うぇぇ」


成人してるのに涙流すことになるなんて思ってもみなかった。



チュウチュウ。



あ、ダメ、なんか超寒気してきた。


ゾクゾクする。


血の気が引いていくような……って、アレ??


経験ないとは言え、なにか様子がおかしいことに気付き、チラッと半目を開けて見る。




「イヤイヤイヤイヤっ」



お姉さんはオレの小さいお兄さん……ではなく、太ももに口を付けていた。


しかもよく見ると、口の周りは赤く塗れている。



血ぃ?!ねえ、それ血デスカ?!



「な、なにをして……」



お姉さんはチラッとこちらを見て、不服そうに口を離した。


「邪魔しないでよー。まだ平気でしょう?」


そういう問題ではないかと。


「童貞さんって、結構イケるわね。美味しいわ」


ソウデスカ、ソウデスカ。


って、やっぱり血を吸ってるってこと?!


「お、お姉さん…血…」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ