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ぼくだけが獣耳先輩の弱みを知っている〜気になるあの子は義姉でVTuberで探索者〜  作者: 田仲らんが


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【Day.1】憧れの先輩が義姉になった件【Part.2】


 ────『先輩』視点────









 「あっ。……すみません、落としましたよ」


 明らかに私に向けられた言葉に振り向くと、そこには一人の少年が居た。


 見覚えのある制服と収納バングルと、見覚えのない顔。


 彼の手にあるハンカチは見覚えしかない。


 以前、母から貰った物だ。


 そこから導き出される答えは、彼が同じ学校に通う者であり、学年は恐らく違う。


 そして、彼が私の落としたハンカチを拾ってくれたということだ。


 感謝を示すように、できるだけにこやかに笑う。


 「あ、ありがとうございます」

 「……どういたしまして」


 ……ちょっとイイと思ってしまった。


 私に弟がいれば、こんな感じだろうか。


 恐らく年下であろう初対面の彼のぎこちない笑みにトキメキに近い感情を抱いてしまう。


 私は表情に出さないように努めてハンカチを収納バングルに入れると、誤魔化すように一礼をして、そそくさと後を去る。


 彼に追いつかれて気まずい思いをしたくない、という一心で早歩きをして、いつもより早めに学校に到着。


 屋上の下、教室がある階では最上階に行くと見覚えのある張り紙があった。


 「えーっと…………あった! 二人も……よしっ!! 教室は、っと。いたっ! ミク、サラ!!」


 自身のクラスと親友である二人の名前を確認し、私は嬉しさのあまり拳を握り込むようにガッツポーズをする。


 今にもスキップしそうな勢いで教室に入ると、窓際に二人の親友──麻夏(あさか)美玖留(みくる)白木(しらき)桜楽(さら)が居た。


 サラは一言でいえば、〈妖人(エルフ)〉のギャルだ。


 制服はいつも着崩しており、気怠げでいつも飴を舐めている。


 三人の中で一番身長が高く、黒髪ロングヘアーに前髪の一部が白メッシュ、黒と白のオッドアイという厨二病チックな見た目をしている。


 ミクルは少し珍しい〈小人(ドワーフ)〉だ。


 ひきこもりで毒舌だが、そんなところも可愛い。


 小さくて可愛らしいが、三人の中で一番力持ちなのがギャップ萌えと周りでは評判だ。


 ゆるふわで癖のある桃色の髪をツインテールにしていて、透き通るような水色の目が特徴的だ。


 他の友人との挨拶も程々に駆け足で近づいていき、二人を目いっぱい抱き締める。


 「ちょっと、苦しい……けど、ぼくも嬉しい」

 「あたしもぎゅ〜♪ また三人で過ごせるの嬉しいね♪」

 「うんっ! 今年も一年……卒業までよろしくね!」


 されるがままのサラと、抱き返してくれるミクを堪能していると、無情にも始業のチャイムが鳴った。


 「じゃ、またあとでね、二人とも」

 「うん」

 「今日も一緒に帰ろーねー♪」


 サラに無言で棒付きキャンディ(ロリポップ)を手渡される。


 ミクルにはがっつりお尻を掴まれたので、こちょこちょの反撃をしてから、黒板の張り紙を見て自席に座る。


 暫くすると、見覚えのある教師が入って来た。


 始業時間を過ぎているにも関わらず、緩慢な動きで教壇に立った彼──骨塚(こつつか)怜里(さとり)は、わたしの父がリーダーをしていた伝説のパーティー〈ムーンサイド〉の元メンバーだ。


 中肉中背で闇のように深い黒髪黒目をしており、髪型はマッシュヘアー。


 色白で幼げな顔立ちをしていることから、実年齢よりも遥かに若く見える。


 サトリさんは、12年前のあの日から個人的に私を気にかけてくれており、主に探索者の面でとてもお世話になっている。


 彼は果たしてこれでいいのか、というクオリティの自己紹介をした後、雑にプリントを配った。


 ……これ、明らかに配るべきじゃないプリントも混ざってるんだけど……。


 更には説明中に間違えてタバコを吸おうとして生徒に止められる、というハプニングがありながらも、無事(?)オリエンテーションを終えた。


 私はサラとミクルを伴って意気揚々と帰り道を歩いてゆく。


 二人とも授業がないことが嬉しすぎてスキップしそうだ。


 「今日は寄り道してくー?」

 「ぼくはどっちでも」

 「ごめん! 私、色々準備とかあるからパスで」

 「あー、確か再婚するんだっけ? 前に引越しするとか言ってたよね♪」

 「おめで……とう?」

 「私じゃないからね!? 拍手しないでサラ! っていうか私、結婚すらしてないんだけど!! ……私の母がね」

 「あ、まだ引越ししてないんだ♪ 苗字はもう変わったんだっけ?」

 「そうそう、ホントはもっと早めに終わってるはずだったんだけどねー。あれ、言ってなかったっけ? 苗字は『神藤(しんどう)』になったよ。一文字変わっただけだね」

 「神藤……イイじゃん。似合ってる」

 「ふふっ、ありがと」


 それから暫く雑談をした後、引越しの準備がある私と違って時間の余っている二人と分かれて帰路に着く。


 引越しの準備があるという不変の事実と二人と遊べないことを恨めしげに思いつつ、これまでは当然だった帰り道を目に焼き付ける。


 見慣れたマンションに帰り、番号を打ち込んでセキュリティロックを解除する。


 エレベーターを使って数階を登り、目的地(自宅)に辿り着く。


 もうすぐ使用することが無くなる鍵で扉を開けて、自室まで一直線に早足で歩く。


 物が見当たらない部屋で上着を脱ぎ、まるでトランポリンに体重をかけるようにベッドに腰掛けた。


 「ママはまだ帰ってこないし、少し横になろうかな」


 引越しは恐らく明後日か、遅くても1週間以内の筈だ。


 私用な荷物は(ほとん)どダンボールに詰め込み済み。


 母の方も順調と言っていたから、準備もいよいよ大詰めだ。


 後はまだ解体していない家具などを処分するなりして、再婚相手と挨拶を済ませればいい。


 (ひたい)に手を置き、毎朝見ている天井を見上げる。


 「再婚……上手くいくといいのだけれど」


 私はゆっくりとベッドから起き上がり、「んー」と声を挙げながら伸びをする。


 「さ、やろう!」












 【登場人物&用語集(※微ネタバレ有り)】


 ・白木桜楽サラ:ヒロインの親友 ♀︎

 ・麻夏美玖留ミクル:ヒロインの親友 ♀︎

 ・骨塚怜里サトリ:教師 ♂︎


 ・〈妖人〉(エルフ)

  〈神秘の光〉によって生まれた新種族。

  尖った長い耳や美麗な姿といった特徴を持つ。


 ・〈小人〉(ドワーフ)

  〈神秘の光〉によって生まれた新種族。

  手先が器用で身体が小さいという特徴を持つ。

  エルフほどではないが少し耳が尖っている。


 ・〈ムーンサイド〉

  黄金の塔で現最高到達点を記録したパーティー。

  12年前のとある事件で解散したとされる。


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