Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 5 13
HAARP――。
画面の中の学者が口にしたその単語が、まるで引き金のように、
シノの脳裏に数日前の記憶を嫌な汗と共に蘇らせる。それは、SMSを通じて送られてきた、
親戚アキノからの唐突な警告だった。
『シノ、近いうちに世界が大きく揺れるわ。でも、それは自然の怒りじゃない』
あまりに突拍子もないその1文に、シノは呆れて返信したのを覚えている。
地底の滞在経験を持つ彼女にとって、「人工地震」という言葉が真っ先に連想させたのは、
あの覇王の姿だった。
『え、人工地震?アキちゃん、また変なサイト見てるの?もしテラリアの事を言ってるなら、
考えすぎだよ。たしかにあの王様はすごかったらしいけど、今はヨルシカさんたちがいるし、
あの人たちはもうそんなことしないよ!』
だが、アキノからの返信は、どこか達観したような、そして揺るぎない確信に満ちていた。
『違う、地底人じゃない。もっと古くて、もっと根深い、地上の“彼ら”の仕業。
シノちゃんはまだ知らないだけ』
『“彼ら”って誰よ……。もう、アキちゃん、一体何の話をしてるの?』
『HAARPよ。調べてみて。すべての答えは、そこに繋がってるから』
あの時は、いつもの陰謀論だと一笑に付したはずだった。
しかし今、国家の中枢が、あの日のアキノと全く同じ単語を、全世界に向けて発信している。妄想と現実の境界線が、音を立てて溶けていく。
その瞬間、ブブッ、と枕元のスマートフォンが再び震えた。
画面には、予言を的中させた張本人からの、追い打ちをかけるようなメッセージ。
『ほらね?言ったでしょ?』
シノの手から、スマートフォンが滑り落ちた。カタン、と軽い音を立ててフローリングの床に落ちる。
直後、彼女は血の気の引いた顔でそれを拾い上げ、世界がぐにゃりと歪むような、不快なめまい――その、まさに頂点で、震える指を必死に動かし、おせちへのメッセージを懸命に打ち込んだ。
『おせちちゃん、たいへん!さっきのじしん、ニュースで、アキノちやんの、アキノちゃんの言ってたはーぷがげんいんんん、だって!!ほんとになっちゃった、どうしよう!』
そしてタワーの屋上で、機材の後片付けをしていたおせちの端末が、悲鳴のような通知音を立てた。
ドローンのコントローラーをさっさと箱に仕舞い、取り出したスマホに目を落とす。
そこに映し出されたシノからのメッセージを読んだ瞬間、彼女の顔から、
急に一切の表情が消えていった。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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