Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 5 12
突発的な地震にカルテット・マジコが見舞われている、まさにその頃。
とある薄暗い部屋では、1人の少女がキーボードを熱に浮かされたように叩いていた。壁一面に貼られた雑多な新聞の切り抜きと、それらを結ぶ赤い糸。
複数のモニターが放つ青白い光だけが、彼女の恍惚とした横顔を妖しく照らし出している。
彼女こそが、ミス・パラレルワールドこと、カンノアキノ。あるオカルト系巨大掲示板に、
彼女は新たな「預言」を投下していた。
【件名:【速報】やはり来た。HAARP起動。】
【本文:全ての目覚めし民へ。これは天災ではない。人災だ。彼らの計画がついに最終フェーズに入った証拠。備えよ。】
エンターキーが叩かれると同時、スレッドには滝のような賞賛のレスポンスが流れ始める。
『ミスワさん、情報早い!』
『いつもありがとうございます!世界が救われる!』
『また予言が当たったのか……!この人、本物だよ!』
アキノは、その熱狂的な反応に満足げに頷くと、椅子の背に深くもたれかかり、恍惚と恐怖が入り混じった声で、うわごとのように呟いた。
「やっぱり……今回も、私の思っていたことが、正しかった……」
彼女がその掲示板で、預言者にも等しい絶対的な影響力を持つ重鎮ユーザーであることは、その狂信的な反応を見れば明らかだった。
そして、その歪んだ自己陶酔が現実によって裏付けられるまでに、多くの時間は必要なかった。
*
テレビの画面が、アメリカからの緊急中継映像に切り替わる。CNNやBBCといった国際ニュースのテロップが走り、映し出されたのは、ワシントンD.C.にあるアメリカ地質調査所(USGS)の会見場だった。
無数のフラッシュが焚かれる中、1人の白髪の地震学者が、こわばった表情でマイクの前に立った。
彼は震える手で手元の資料をめくり、自身の専門知識の全てを否定するかのような、
信じがたい分析結果を語り始めた。
「……本日未明に発生した、全球的な震動についてご報告します。結論から申し上げますと、今回の震動に、プレートテクトニクスに起因する、いわゆる『震源』は、我々の観測網では一切確認できませんでした」
会場が息を呑むのを感じながら、彼は一度言葉を切り、続ける。
「あるいは、震源が地表に存在しない、と言うべきかもしれません。……その代わり、我々が唯一、この異常な震動と同時刻に観測したのが……アラスカ州にあります、HAARP――高周波活性オーロラ調査プログラムの、原因不明の再稼働です」
彼は顔を上げ、無数のカメラのフラッシュを真正面から受け止めた。
「この再稼働が極めて高出力の電磁波を生成し、電離層に作用した結果、今回の広域震動――すなわち『人工地震』が引き起こされた……我々の現在の分析では、そう結論付けざるを得ません」
最後に、彼はほとんど絞り出すように、公式見解を付け加えた。
「……合衆国政府は、同盟国及び関係各所と連携し、この異常事態の全容解明に、現在、全力をあげております」
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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