Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 5 11
空縁州で最も高い超高層ビル「ジョルバスクル・タワー」の屋上。ヘリポートには、
カルテット・マジコが持ち込んだ高性能な観測機器が慌ただしく設置されていた。
彼女たちの頭上には、今日も、空を覆い続ける格子状の雲が、
不気味なほど正確な幾何学模様を描いている。
やがて、予報通りの時刻が訪れると、その雲はゆっくりと鉛色に染まり、
世界を蝕む毒の雨を降らせ始めた。
「……分析開始」
おせちの合図で、はちるが観測機器のコンソールを操作する。アームが伸び、飛来する雨粒を採取。即座に質量分析計がその組成を解析していく。
「……うん。各国のデータ通り。やっぱり未知の化合物。でも、組成は世界中どこも完全に一致してる。だから、この雨そのものを解析して、逆作用するカウンター薬を作ってみた。
理論上は、これで中和できるはずなんだけど……」
はちるが自信なさげに付け加えたその言葉を、アシュリーの怒鳴り声が遮った。
「理屈はもういいって!薬ができたんなら話は早いだろ!ケチケチ試してないで、
ありったけブチまけて、あの雲、全部まとめて消毒してやろう!」
「待って、アシュリー。まずは限定的な範囲で効果を試す」
おせちは冷静に制止すると、散布用の大型ドローンへ視線を移した。
「もし予期せぬ化学反応が起きたら、被害が拡大するだけだよ。……はちる、準備はいい?」
「いつでもいけるよ!散布パターン、デルタで開始!」
はちるの威勢のいい声と共に、大型ドローンが力強く浮上し、鉛色の雲の中へと突入していく。機体下部から、霧状の中和剤が噴射され、周囲の雨雲に吸収されていった。
散布された領域の雲が、ほんのわずかにその色を薄れさせる。
「……!少し、効果あるかも!」
さなが、希望の声を上げた、まさにその瞬間だった。
何の前触れもなく、凄まじい揺れが超高層ビルを襲った。足元が大きく波打ち、設置したばかりの観測機器がけたたましい音を立てて倒れる。立っていることすらままならない、
明らかに異常な震動。それは、プレートの歪みなどという生易しいものではなく、
まるで都市の土台そのものが、見えざる巨大な手に無理やり揺さぶられているかのようだった。
「なっ……地震!?」
「こんな揺れ方、ありえない!」
姉妹たちが体勢を立て直そうと叫ぶ中、制御を失ったドローンが火花を散らしながらヘリポートに墜落する……。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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