7話 再攻撃
13個の惑星に広がる地球外生命体に、母星が破壊されたという情報がもたらされる。
我々のような優れた文明を持つ星を破壊したのは地球という惑星だという。
そんなに強い軍事力を持つ惑星があったとはこれまで気づかなかった。
映像を見ると、青い美しい惑星。
とても、あの母星を破壊するような攻撃性は、その映像からは感じられない。
むしろ、清楚で、素朴な平和主義の惑星のようにも見える。
でも、あれだけ文明を誇っていた母星の人々が、気づく間もなく炎に包まれていた。
攻撃されたことさえ気付かない間に、母星は粉々にされてしまった。
母星に暮らす生命体の、驚きと、苦しみに歪む顔の映像が13の惑星に届けられる。
逃げ惑う生命体。
子供を守ろうと、覆いかぶさる母親。
それを無残に炎で包み込み、母星は粉々となった。
その数分後、母星があった所は、ただ宇宙空間でしかなくなっていた。
生命体は、高熱で焼かれ、そのあと空気がない空間に飛ばされる。
宇宙の極寒の世界へと。
なにが起きたかもわからずに、大量の命が奪われていった。
これは、母星が地球に攻撃をかけた結果だと聞いている。
ただ、こんな結果になるとは誰もが想像もしていなかった。
人類が自らの命を守るための攻撃にしては、残虐性は想定をはるかに超えている。
地球外生命体の口元からは、あまりの残虐な映像に悲鳴がこぼれる。
自分たちが、他の惑星の生命体にしてきたことと同じであるにもかかわらず。
自分たちに攻撃の魔の手が伸びてきて、初めて殺戮は酷いものだと気づく。
さらに、母星だけでなく、太陽系の外輪にいた宇宙船も瞬時に爆破される。
宇宙船内にいた仲間達が極寒の宇宙空間に放り出され、永遠にその中を漂う。
どういう武器かは不明だが、その攻撃力とスピードに圧倒される。
これでは、自分たちが勝てるはずがないとの恐怖感に包まれた。
自分たちに自信があったからこそ、それが否定されると、いとも簡単に精神が壊れる。
もう、帰るべき母星はない。
これまで気づかなったのは、地球が他の惑星を征服する意思がなかったからだろう。
これまで、太陽系でしか暮らしていないので、知られることがなかった。
でも、今後も、勢力範囲を広げようと外に攻撃しないとは言い切れない。
むしろ、他の惑星を攻撃し、勢力圏を広げようと考える方が自然だ。
これだけの軍事力を持っているのだから。
これまでの宇宙での歴史が、それを物語っている。
今回の母星への攻撃で味をしめたかもしれない。
これなら、外に攻撃に出ても、勝てるに違いないと。
地球外生命体の間で、いつ攻撃されるか、その時は負けるだろうと緊張感が走る。
体はそれぞれ違うものの、顔は青ざめ、思考は停止しているように見えた。
家族が火の海に包まれる姿を想像し、涙する者まで現れた。
13個の惑星での話し合いが始まった。地球をどうするか。
攻撃されるリスクを考えると、当面、静観がいいのではという意見も出た。
自分たちは、母星とは違う形の生命体だから、あの攻撃は知らないと言い張れる。
それで、交易という平和的関係を提案すれば、攻撃されないかもしれない。
ただ、こちらの防御力が弱いと知れば、攻撃に出てくるリスクは拭い去れない。
地球のリーダーは、どういうわけか軍事に経験豊富で、手強いらしい。
地球を放置しておくと、将来の禍根になりかねない。
ただ、今なら、先手を打てる。
今のうちに滅ぼしておこうという論調が主流となっていく。
ただ、正面から攻撃しても、勝てる可能性は低い。
母星でさえ、あっという間に破壊されたのだから。
そこで、まず地球人の視力を奪うのがいいという案がでた。
視力を奪う武器を我々は持っている。
地球人の網膜にも効果があるというデータも揃っている。
視力がなくなった地球人は、状況もわからず攻撃力を失うだろう。
敵も認識できないし、武器も操作できない。
その時に、一気に攻撃すれば、自分たちは優位に立てる。
ただ、後追いはしてはいけない。
我々の位置が特定されれば、あの容赦ない武器で攻められてしまう。
攻撃は、あくまでも視力を奪った直後だけ。
その期を逃してはならない。
13個の惑星は、視力を奪う彗星という武器を地球に送ることにした。
その彗星を見ると、翌日には網膜の細胞が死滅するという武器を。
徐々に目が見えなくなる人が増えていけば、原因が彗星だとわかってしまう。
だから、地球のネットワークに入り込み、ある日に彗星の一大ショーを打ち上げる。
誰もが、夜空で素晴らしい彗星の姿を見上げ、それを祝うだろう。
その時を狙って、目の細胞を死滅する光線を放つ。
これで、大部分の地球人は視力を失うはず。
その直後に地上に攻撃を仕掛ける。
もちろん、彗星を見ない地球人もわずかだがいるだろう。
賭けの要素はあるが、自分たちが勝てるのはこの作戦しかない。
これで勝てるに違いない。
13個の惑星で暮らす生命体は、勝てることを祈り、家族を腕の中に囲う。
人類を滅ぼすのは、自分たちの家族を守るためだと言い聞かせて。
このような強力な軍事力を持つ地球を野放しにしておくわけにはいかない。
そして、彗星は地球に放たれた。




