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ブラックリスト  作者: 一宮 沙耶
第3章 アンドロイド(西暦3518年)

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6話 澪の復活

地球では、もう1体のアンドロイドが活動を継続している。

2回の地球の危機を救った澪の脳を移植したアンドロイドが。

澪は加齢により体調を壊し、脳だけが保存されていた。


当時の人類が、再度、地球外生命体から地球が攻撃された時のために澪の脳は温存する。

戦争は理論よりも経験が重要だと考えて。


それを偶然、この時代にアンドロイドに移植される。

そのことが結果として、地球を再度、救うことになった。

今は、男性の体なので、澪ではなく、ミロと名乗ることにした。


ミロは、強靭な精神のもと、アンドロイドに支配されることはなかった。

しかも、他の脳と違い、強い信念によって、1000年以上、脳は損傷することなかった。

この地球と人類を必ず守るという信念。


ミロのアンドロイドが機能した段階で発信機能は作動した。

ただ、この機能には、まだこの時期の研究者は気づいていない。

海底に沈んだ日本の科学者は、これに気づいて製造を止めたにもかかわらず。


ただ、その後の解体調査で、ある仕組みが組み込まれていることは判明していた。

一定の割合で、地球外生命体からアンドロイドが操縦されてしまうという仕組み。

ただ、幸いなことに、ミロは、地球外生命体から操縦される対象ではなかった。


なお、アンドロイド自体の機能には風華のような欠陥はない。

風華についていえば、医者の仮説のように、性不一致で機能不全になったのではない。

あの事件は、単なるアンドロイド自体の欠陥による不幸だった。

地球外生命体が、自らアンドロイドへの不安を煽るような操縦をするはずもない。


ミロは、最初、過去の記憶を失い、兵士としての訓練に明け暮れる日々を過ごす。

そして、地球を守るという強い信念が過去の記憶を取り戻した。

むしろ若い男性として蘇ったことを喜んでいた。


「この体は、昔の女性の体より強靭で、しなやかに、しかもスピード感をもって動かせるのは、素晴らしい。しかも、生理とかもなくて、常に最大限の力を発揮できる。以前、余命3カ月宣言を受けて、脳を保存していたが、あれから1000年以上も経ってこの体を得た。」


特に、設定された目標に向けて最も効率的に進める体を私は重視している。

もう、過去の経験があるので、今更、個人的な感情等は持つ気持ちはない。

ただ、地球と人類を守ることだけで生きていく。


地球防衛軍は、前回の戦争から、敵は複数いることを学んだ。

それから常に軍事力を強化し、次の攻撃に備えていた。

ただ、実戦経験をした兵士は皆無なのが今の人類の課題。


私は、地球外生命体から攻撃を受ける前に、軍隊教育を進めた。

机上の訓練では、学べることには限りがある。

どのような攻撃があるのか、それにどう対抗するのか。


戦争とは、相手が考えもしないことを仕掛けてくるもの。

だから、こちらも、想定を超える手を講じなければならない。

多くの経験を私は持っている。


多くのケースを洗い出し、防御方法をディベートする。

それを多くの兵士に共有し、それをベースに訓練を重ねる。

そこで出てきたアイディアを実現する武器の開発を専門部隊にフィードバックする。


また、2回の闘いでこちらが使ったウィルスを逆に仕掛けられるかもしれない。

そこで、堅固なセキュリティシステムを作り、決して情報が外に漏れないようにする。


また、過去の内部からの裏切りも見据え、不正検知システムも充実する。

軍部からは内部を信用すべきとの意見も強かった。

だが、裏切りは必ず出てくるという前提で考えなければ防げない。


そして、軍備も強化する。

その後の技術の進化も取り込み、攻撃があっても地球を守るシールドを開発した。

それがあれば、当面の間は攻撃を阻止できるはず。

もちろん、この時代にも引き継がれていた物質瞬間移動装置も配備する。


そして、なによりも敵の母星を破壊する武器。

過去2回成功したウィルスによる母星破壊は通用しないかもしれない。

それで滅んだという噂は広がっているに違いないから。


そこで、物質瞬間移動を重ねて遥か先の惑星を粉々にする弾道弾ミサイルを開発した。

これは平和のためにしか使わないが、私たちを攻撃する敵は容赦しない。


もし、そんな敵が現れ、使えば、他の敵への抑止力にもなる。

この地球に手をだしたらどうなるか、怯えさせる必要がある。

簡単には手を出せない星だと知らしめるためなら、私は非情になり、何でもする。


万が一のために万全の準備をしようとする焦りが私を突き動かす。

毎晩、戦勝記念日のことを思い出す。

私はホログラムで助かったが、大量の市民が焼き尽くされた。


今夜も、額には汗が吹き出し、叫びながら目覚めてしまった。

目の前にいた人々が、恐れ、悲鳴を上げ、逃げ惑う。

そんな人々を、容赦ない熱風が吹き飛ばす。


子供たちも、あっという間に骨だけになり、その骨も砕け散る姿は悲惨だ。

そして、あれだけの人がいた空間が、焼け野原になった映像が瞼に焼き付いた。

それ以来、ぐっすり眠れたことはない。

あんなことは決してあってはならない。


そんな時、地球に宇宙からの攻撃がなされた。

オーストラリアで暮らす人々は一瞬にて蒸発したという。

どうも、地球外生命体の目的は私達の絶滅なのだと思う。


そうであれば、交渉の余地はない。

私達が、地球外生命体を殲滅するまで戦うしかない。


私がこの時代に蘇ったのは、再度、地球を守るためなんだと思う。

そして、この強靭な体があれば、何でもできる。


すぐに地球にシールドを張った。

そして、敵の宇宙船のネットワークに入り込み、母星との通信を傍受する。

母星の位置を特定した。


すぐさま弾道ミサイルを瞬間移動装置で母星に送り込み、母星を叩き壊す。

そのスピード、力に恐れをなし、宇宙船は太陽系から逃げ始める。

でも、蟻一匹も逃げさせてはだめ。非情にならないと。


大型爆弾を宇宙船の中に瞬間移動させ、爆破する。

宇宙船は抵抗できずに爆破することで錯乱し、相互にぶつかり合い、自滅していった。

そう、地球を攻めれば、こうなる。


こうして、あっけなく地球征服は失敗に終わった。

これから、地球を攻める敵を早期に発見する監視システムを構築しなければならない。

監視衛星も、銀河系の各所に配備しよう。

もし、怪しい動きがあれば、警告し、それでも無視するなら先制攻撃をする。


まだまだやるべきことは多い。

この地球を守るために蘇ったのだから。


私の力不足で亡くなった大勢の人達のことを思うと、昔の無力だった自分が悔しい。

再び、そのようなことはあってはならない。

私は、地平線から昇っていく朝日を見ながら、決意を固めた。

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