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ブラックリスト  作者: 一宮 沙耶
第3章 アンドロイド(西暦3518年)

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5話 罠

「このアンドロイドの技術は封印する必要がある。」


病院で風華が錯乱した事件から1300年以上昔の日本で、佐藤という研究者が叫ぶ。


「これは地球外生命体の罠です。」


当時は、澪というリーダーが地球外生命体から地球を守ってから約100年が経過している。

人類は、滅ぼした地球外生命体のテクノロジーも使い、豊かな生活を送っていた。

そんな中、人類に、1つの画期的な技術の情報が地球外から届けられる。


そこには、当時の人類から見ても、想像を超える高い技術が含まれていた。

調査を進めると、その技術は、生命体の身体を複製した機械を製造するためのものだった。


その技術では、手の動きとかだけでなく、皮膚、目は生命体と全く同じものを生成できる。臓器を精密に、その機械に移植する技術も含まれている。

しかも、生殖器もコピーし、機械どうしで人類の子孫を生み出すこともできる技術だった。


当時の人達は、そこに人間の脳を移植すれば、人間は永遠に生き続けられることに気づく。

人類は、永遠の生命を得られると狂喜し、アンドロイドの製造に着手し始めた。


ただ、佐藤という研究者は、ある日、とんでもないことに気づく。

脳をアンドロイドに移植すると、宇宙の彼方に多様な情報を送信していることに。


そして、その情報を調べるうちに、にわかに信じがたい仮説に辿り着く。

地球外生命体が、地球を支配するためにこの技術情報を送ったという仮説に。

そもそも、それまで、何の目的で他の惑星に送信したのか考えたことがなかった。

その技術の中身を調査することだけに多くの力が注がれていた。


他の惑星を征服し、移住する時に避けて通れない課題がある。

生存可能な惑星は少なく、無限の宇宙の中を探すには時間がかかるという課題が。

そこで、ランダムにアンドロイド技術の情報を送信することにしたに違いない。

永遠の命という欲望を餌としてばらまけば、勝手に相手から餌に食いついてくると。


永遠に生きたいという欲は普遍的なもので、生命体の種類や生存圏によって変わらない。

だから、その惑星の生命体は、必死でアンドロイドを製造し続ける。

そして、多くの重要な情報を自ら漏洩してしまう。今、人類がしているように。


アンドロイドを製造するには文明レベルが一定レベル以上であることが前提。

そんな文明を築くには、気候はそれなりに安定し、生存に適する条件が揃っているはず。

暴風の荒れ狂う環境では文明も育たないし、地球外生命体が支配した後、生存は困難。


しかも、アンドロイドは製造した生き物と体が同じなので、その星での生存に適している。

海底生物であれば、その惑星は水に覆われていて、海底での生活が適している。

針のような山々が聳え立つ惑星では、蜘蛛のように細い足の構造が適している。


その惑星で生活するには、そこに生息する生命の体の構造と同じなのが最も合理的。

そのような体の構造にアンドロイドを勝手に組み立ててくれる。


惑星の状態によって、脳に運ばれる酸素濃度等は異なる可能性もある。

技術水準が低く、未完成のアンドロイドが製造されているかもしれない。

でも、そんなことは一定のデバイスを組み込めば済むことで、大きな問題ではない。


餌にひっかかり、どこに支配に適する惑星があるのかという情報が発信される。

位置情報だけではなく、その惑星の様子、生命体の生活様式、様々な情報を送信させる。

そんな段階で、無数のアンドロイドが製造されているはず。


地球外生命体が、地球に飛来し、人類を滅ぼす。

その後、クローン技術で作り上げた自分たちの脳をアンドロイドに移植する。

そして、アンドロイドどうしで子孫を作り、自分たちの遺伝子を持つ生命体が増殖する。


一番重要なのは脳で、体は、それを支えるものでしかない。

だから、地球外生命体は、体の形に執着するのを捨てて支配権を拡大してきたに違いない。

体にこだわれば、生存できる惑星も限られてしまうから。

少なくとも、アンドロイドを製造できるということは手先は器用だという前提のもとに。


すでに地上にある5体のアンドロイドに脳が移植されている。

その情報は宇宙に解き放たれた。

ただ、宇宙は広く、地球外生命体が傍受していないかもしれない。


研究者の佐藤は、すぐに、この事実を公表し、アンドロイドの製造を止めるように動いた。

ただ、佐藤の発言は、すぐには受け止められなかった。

あまりに、アンドロイドの技術が魅力的だったから。


まず、その発信機能を外すことでアンドロイド技術を使おうとした。

でも、その機能がどこにあるかは隠されており、簡単に外すことはできない。


永遠の命に取り憑かれた富裕層をバックに、推進派は、問題提起した佐藤を攻撃する。

地球外生命体が地球を狙うことは、1研究者の妄想に過ぎないと。

情報が発信されても、交易先を探しているかもしれない。


地球を侵略するためとする根拠はどこにもないと主張し続け、有力者の賛同も得る。

今は無理でも、発信機能はいずれ、外すことができると安易に結論づける。

むしろ、そんな慎重では技術革新ができない、メリットの方が多い技術だと主張した。

推進派は、この技術の浸透を進め続ける。


これに対して、リスクを重視する否定派との攻防が始まった。

結果として、あまりのリスクの高さに、推進派は、否定派に駆逐されていく。

結果、政府は製造工場とアンドロイドを破壊し、この技術の利用を禁止して、封印する。


ただ、推進派は、この技術を密かに守り続けた。

堅固な建物に、高齢化して余命少ない有力者の脳とともに保存する。

永遠の命の魅力の前に、有力者は、建造費として、大金を拠出することを厭わなかった。


それが1000年以上後の人類に発見される。リスクについて何も知らない人によって。

そして、脳移植が行われ、前回届かなかった多くの情報が地球外生命体に届いてしまう。


この技術を送信した地球外生命体は、この方法で、すでに13個の惑星を支配してきた。

13個の惑星では、それぞれ姿が違うがこの地球外生命体の種族が暮らしている。

姿が違っても、言葉や文字は同じで、相互にコミュニケーションを取れる。

地球外生命体は、地球を14番目のターゲットとして定める。


慎重に地球の情報を調査する。

人間の寿命は約100年。500年の自分達と比較すると少し短いが、問題はない。

次のアンドロイドに脳を移植しなおせば、永遠に生きられるのだから。


種を入れる性、それを受け卵を育てる性、この2種類があるのも同じ。

家畜や穀物を育て、食料にしていて、食文化は多様だということも伝わる。

文明レベルは中クラス。アンドロイドが完璧に作られているかには不安もある。


自然環境は、穏やかで暮らしやすいとデータが示している。

この星は、移住に適している可能性は非常に高い。


何回か、惑星外から攻撃を受けたようだが、相手を滅ぼしたという歴史の記録がある。

ただ、ここ1000年程、戦争らしい戦争はしていない。

これは良い情報。戦争は、理屈よりも経験が物をいう。

しかも、2回も惑星外から攻撃を受けたということは、それだけ魅力的な星なのだろう。


惑星外からの攻撃には勝っているものの、性格は温厚だとある。

外敵を破りつつも、太陽系の外にまで影響力を広げようという意志はないと考えられる。

生命体は地球各地に広がっていて、約20億個体が生存している。


地球環境を害さずに、その生命体を絶滅させるには多少の手間はかかる。

でも、短期間、酸素を無くすことなどによって簡単に攻略できるはず。


ただ、問題も判明した。

アンドロイドが100体のみで、それ以降、アンドロイドは製造されていない。

研究者の一人が、この支配の仕組みに気づいたことが原因だとされている。


ただ、地球上の生命体を絶滅した後に、製造していけばいい。

まずは100体からスタートするだけ。


風華が病院を襲った1年後、地球外生命体は、太陽系の外縁に多数の宇宙船を集結させる。

地球に向けた一斉攻撃が開始される。

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