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生きる

作者: 桜海冬月

 生きる。それはわたしにとって救いのない苦しみと向き合い続けることだ。


 生まれ落ちたその瞬間に、たったひとつだけ欲しかったものはどれだけ求めても手に入らないと定められた。

 おそらくほとんどのみんなが持っている、当たり前に与えられたもの。

 でも物心ついた時にはもうとっくに遅すぎて、どれだけ手を伸ばしても届かない。時にやっと手が届いたと喜んでも、つかんだそれは逃げ水だった。

 ひたすらに神々に祈っても、泣きながら願っても、願いが叶うことなんか無くて、むしろ時が過ぎれば過ぎるほど心はぼろぼろと崩れてゆく。

 逃げようにもそれは追いかけてくる。崖の際で踏みとどまっているわたしを無慈悲に追い立てる。


 苦しい。苦しい。もう嫌だ。


 何度そう思ったことだろう。消えてさえしまえば楽になる。もう悩むことなんてない。

 核がむき出しになった心の叫びに、何度も何度でもわたしは崖の下に飛び降りてしまおうとした。

 でもできなかった。崖を見下ろして右足を差し出したとき、決まってわたしの体が叫ぶんだ。


「死にたくない!まだ死にたくない」

「幸せになりたい!幸せにしたい」

「夢を叶えるまでがんばりたい」

「みんなを悲しませたくない」

「逃げたくない」

「怖い」


「生きていたい!」


 本当はわかってる。死にたくなんてない。幸か不幸かわたしを恵んでくれる周りの人たちと離れるのが嫌だった。誰かの燈火になりたいと叫びながらそれを放棄して逃げてしまうのが嫌だった。

 そして何より、生きた証すら残さずに消えてしまうのがどうしようもなくこわくて、左足は動かなかった。


『人はみな、苦しみながら生きていく』


 そんな綺麗事を言いたいわけじゃないし、言われたいわけじゃない。苦しみの形は千差万別で、別に死ぬほどではない苦しみの人もいれば、わたしみたいにどうしようもない、逃げようもなく迫ってくる苦しみを抱えている人もいる。苦しいことを否定する必要はないのでしょう。


 苦しみの代償か、わたしはその分才能には恵まれていると思う。その中にはわたしにしかない独特の才能であったり、苦しみが存在するからこそ得られた才能というのもある。

 神さまは笑っている。苦しんでいるわたしを見て愉しんでいる。『代わりは与えたのだからそれでよかろう?』とか『どうせすぐ倒れるさ』とか思っているに違いない。

 ふざけるなって思います。君らにとってはいたずらとかお茶目の範囲なのかもしれないけど、わたしは苦しんでいるの!

 そのせいで周りの人たちを心配させてしまったし、わたしの愛する友人(ひと)を傷つけたしひどく心配させてしまった。

 

 最悪、わたしのことなんてどうでもいい。なんだかんだ言って苦しみ抜いて生きてゆくのだろうし、砂漠のなかで倒れて消えてゆくならそれもかまわない。

 けれどみんなを悲しませたり、苦しませたりはしたくない。形こそ違えどわたしを愛してくれて、恵んでくれた人だから幸せになってほしい。

 そして何より、わたしのいちばん大切なひとがわたしのせいで不幸になるのは見たくない。


 なので最後の最後まで耐え抜いて生きてやろうって思います。みんなの幸せになることはできなくても、みんなの幸せを見守っていきたい。

 神さまがわたしに試練を与えて楽しむのなら、わたしはそれを乗り越えて驚かせてあげようと思います。

 そしていつか、みんなに心からありがとうって言いたい。今みたいに「大丈夫?」って心配されるありがとうじゃなくて、笑い返してもらえるようなありがとうを言いたい。

 苦しんで苦しんでいっぱい泣いてたくさん笑って、醜く足掻いて藻搔いて、生きていこうと思います。

何とは言いませんがわたしはひとつ大きな欠落を抱えて生きてきました。傍目からは万全な人だから、抱え込んで苦しんできました。秘密を抱えて生きてきて、もういいやって思っていたことは何度でもありますし、正直今でも逃げ出したいです。

でも、支えられてきて何とか生きてきました。

ただこの前、辛くなった時にポロッと零した一言に大事な人をひどく傷つけてしまいました。本当は死にたくなんてないのに言ってしまった。

それはきっともう一生取り消せないし、その前に戻ることはできません。このまま会えないまでもおかしくはありませんでした。それでも、助けてくれました。いつも助けられてばっかりでしたが、おかげで今回は特に手を引いてもらって何とか立ち直りました。

わたしは周りに支えられて生きてきました。たくさん愛してもらって、いっぽいっぽ底なし沼を歩いてきました。

いつかわたしも誰かを助けられる人になりたい。うんん、なりたいんじゃなくてなります。

どれだけ苦しんでも、何を失っても、生きてゆくしかないのです。生きてさえいれば何かができる。そう、生きてさえいれば·······


みなさまもよければ、わたしのことを見守っていただけると幸いです。がんばります。

そしてわたしの秘密に関しては今度何かの作品のなかで描こうと思います。


なんか色々めちゃめちゃですみません。お付き合いいただきありがとうございました。

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