絶対絶滅星 プハラ
物理が嫌い過ぎて作った小説です
それは、突然現れた。
発見したのは千葉のハドロン宇宙研究センターの
『前田氏』である。
発見は2025年4月25日午後23時12分
南斗六星とM20の間に、
不自然な星がある事に気づいた。
最初それはM8か、望遠鏡の汚れと思われていた。
だが2時間経って確認すると、
その不自然な星は他の星と違い、
一度も動かず、2時間前と同じ位置いた。
前田氏はこの星を白球星『プハラ』と名付けた。
プハラは神話の『ブラフマー』を文字ったものであり、概念の混乱を意味してこの名前が付けられたものである。
プハラの細かな位置を確認すると、
それは日本の中心、
岐阜県から約500光年離れた位置に存在していた。
これは有名な『ペテルギウス』と同位置である。
さらに分かった事は、
プハラは常にその場所を追っているという事。
通常の星であれば、一時間に約15度動く。
そしてこれは地球が自転し、
動いてる様に見えるだけで、
実際星は動いてはいないのだ。
つまり、動かないプハラは地球の日本、
岐阜県を常に追っているという事だ。
2025年5月4日午後21時12分現在
プハラは南斗六星とアンタレスの東北に、
位置している。
この星の出現から導き出された答え、
それは『地動説』が、
実は間違っていたのでは、という結論だ。
地動説はニコラウス・コペルニクスや、
ガリレオ・ガリレイが唱え、
ニュートンの万有引力で確率されていき、
今現在信じられている説だ。
1961年4月12日に旧ソ連の宇宙飛行士、
ユーリ・ガガーリンが宇宙船ボストーク1号で、
地球を周回し、完璧に地動説を立証した。
だが、2025年4月25日に発見された。
白球星プハラの存在から、
全ての科学的歴史が崩れさろうとしていた。
今、プハラの存在は、
地動説も天動説も重力も、
あらゆる仮説を確定的に絶滅させる。
2026年4月6日 、
テレビの取材で前田氏は語った。
“プハラの事をどう思いますか?”
“……あの星は悪魔だ、
あれの存在で世界中の学問が実は正しくなかったのではと、皆が半信半疑になっている。
今、地球では新たに地動説とも天動説とも違う。
神様が宇宙を回している『神動説』という
馬鹿げた宗教まで出回り始めてしまった“
“前田さんの理論では、
プハラという星は一体なんなんだと思いますか?”
“うーん……プハラを研究して最初に思ったのは、
ピー(規制音)国の兵器なんじゃないかなと、
常に日本を追い続ける星なんて、
今まで見た事がなかったので“
“今現在、結論は出せていますか?”
“いいや、全く。
プハラを調べようにも、
我々に出来るのは見ることだけですから。
月とか、人類が接触できる位置にあれば、
多少の結論は出せたと思います“
“最後に、以前プハラは地球に近づいてきていると、仰っていましたが、それはどうゆう意味でしょうか?“
“あぁ、それは単なる冗談のようなものです、
前に少し見た時、少しばかりか大きく見えて、
まぁ多分見間違えだと思いますが…”
“隕石かもしれないという事ですか?”
“いえ、それは有り得ません、
前も言った通り、プハラは常に岐阜県の真上に位置しています。
隕石だとしても、
星達と一緒に動いているはずですし、
もしプハラが隕石だとしたら、
地球にペテルギウスが、
降ってくる事になりますからね“
取材はこれで終わった。
前田氏は冗談だ、と言っていたが、
それは何かを否定したいような、
そんな様子が見られた。
プハラ出現から2年が過ぎ、
前田氏の発言が冗談でない事が新たに分かった。
プハラは、確実に近づいていたのだ。
それもすごい速度で…
通常、星が近づいてくる事はないが、
仮に近づいくるとしても、
それは人1人の一生をかけても分かることはない。
それほど遠い位置に星はいるのだ。
だが、プハラはこの二年で、
肉眼でも分かるほどに巨大になった。
現在は、金星とほぼ同じ大きさ、
0.0000069102光年の位置にプハラはいる。
つまりこの原理であれば、
プハラは秒速1億キロkmの速度で、
地球へ接近しているということだ。
だが、それだともう地球にぶつかっても、
可笑しくないだろうし、
例にあげたペテルギウスなら、
もうすでに超新星爆発を起こして、
消滅しているだろう。
つまり、前田氏の見解は見誤っていたという事。
ペテルギウスと同位置と考えていた前田氏は、
もちろん大きさも同じように、
太陽の約1000倍、
1.2341718 × 10^9 km
と考えていた。
だが、現在のプハラの状態を考えるに、
プハラは、元々他の星より小さかったという見解が、
新たにされ、再度計算してみることに、
すると、プハラの大きさは、
なんと10,620 km²程度だった事が分かった。
この新情報はまた、世界を混乱に陥れた。
宇宙人が攻めてきたのだと、
デス・スターの降臨だと、
神が現れたのだ…と。
結果、神動説を唱える宗教が爆発的に力をつけ、
重力や、物理の法則、化学は、
世界から一気に非難を浴びた。
あれだけ、細々の難しい事をやっていた癖に、
全部間違っていたではないかと、
世界中で物理や化学の本を燃やす活動や、
研究所に抗議する活動が盛んとなり、
治安悪化にも繋がった。
研究職に就いていた人間は、
国から正式に職としての権限を奪われ、
大勢の人間が路頭に迷うことにもなった。
プハラを発見した前田氏は、
これら全ての人間の怒りを買い、
度重なる誹謗中傷や嫌がらせを受けた。
さらには、世界中の人間を無職にした責任からか、
2026年8月、前田氏は自宅で母子ともに一家で
薬物自殺を行い死亡した。
そしてプハラ出現から約3年半が経った。
現在プハラの大きさは、
月と同レベルまで大きくなっている。
だが、これを岐阜県で考えると月より、
遥かに近い位置に地球に近づいている事になる。
各国はプハラへ行こうと、
それぞれが個別で用意していた宇宙船で、
プハラへ飛び立った。
遂にプハラの正体が…
神の正体が判明すると…
全国民が期待を胸に、
宇宙からの連絡を待った。
だがしかし、
帰ってきたのは残骸となった宇宙船だけ、
人間の姿はなく、無惨な鉄の塊だけが帰ってきた。
その中で唯一得たのは、
プハラのカケラらしき物質だった。
アメリカの宇宙船『ペダヘッド一号』
の残骸の中に混じっていたそれは、
直径が約400㎜×300㎜の白い物質で、
外見は、白いコンクリートの様な物質だった。
ただ、それはコンクリートなどではないと、
一瞬で理解できた。
この物質に最初に触れた人間
『アルク・ソバラバ』は、
自分の牧場に落ちてきた異物を確認しようと、
その物体に近づいた。
宇宙船の残骸と明らかに違うそれを、
アルクさんは触れてしまった。
その様子を見ていた妻の『アンナ』さんによると、
触った瞬間、アルクさんは服だけ残して、
煙となって消滅してしまったと語っている。
その物体は『王質』と名付けられた。
全てを溶かす『王水』を物質に置き換えた名前だ。
王質は、この地球上のどこにも無い物質で形成されており、もっとも突出した性能は『人』だけを溶かすという性能だった。
ラットで試したところ、ラットは溶けることなく、
王質の一部を食べても、なんの以上も無かった。
そして、今度は人間で試してみる事に、
遺体の腕を切り取り、
それを王質に近づけてみた。
結果、腕は王質に触れた瞬間、
僅か1秒も満たない間に気体へと変化した。
その気体は『水蒸気』であり、
王質は、人間を水蒸気に変えてしまうという事が、
実験で明らかになった。
これで分かった事は、
人間を水蒸気に変化させる巨大な塊が、
今日本に迫っているという事だった。
この情報が世間出された頃、
世界終末論が話題となっていた。
神の鉄槌がくると。
岐阜県の住民は、
皆一斉に別の場所へ移り住もうとした。
だが、熱心な信徒は自らを生贄として、
岐阜県に残る決意をした。
他県の信徒も同じで、
逃げようとする住民を岐阜県に閉じ込め、
人柱を立てようとしたのだ。
逃げられた住民もいたようだが、
ほとんどの住民は信徒に捕まり、
岐阜県に閉じ込められてしまった。
そして、プハラ出現から4年。
プハラは岐阜県から約300kmも離れていない位置に迫ってきていた。
巨大な白い球体が、岐阜県の空上空に現れた。
日本で岐阜県だけが、常に夜となり、
捕まった人々は、空を見上げて涙を流した。
もちろん自衛隊も出動したが、
その巨大さを見て、無理だという事を悟り、
彼らも岐阜県民を生贄にすることを選んだ。
2029年1月1日元旦
岐阜県が消滅した。
プハラは地面に衝突すると同時に粉々に粉砕され、
王質が岐阜県全体に舞い、生贄を食べていった。
プハラは都市などは全く破壊しなかったが、
ひとつの県の全ての人々を水蒸気に変えた。
生き残りは0人、
他県の信徒を含め1.965,839人の犠牲者が、
出た。
正確には行方不明者が…
こうして、プハラによる騒動は幕を閉じた。
岐阜県の消滅を代償に…
2342年1月5日現在。
秋田県
高知県
徳島県
山口県
島根県
高知県
鹿児島県
熊本県
フロリダ州
カリフォルニア州
テキサス州
ニューヨーク州
ペンシルベニア州
リグーリア
フリウリ=ベネチア・ジュリア
ウンブリア
モスクワ
サンクトペテルブルク
遼寧省
吉林省
黒龍江省
上海市
江蘇省
浙江省
四川省
重慶市
全羅南道
慶尚北道
江原道
全北道
などの地域にプハラは出現、衝突しました。
現在は、また新たに東京都に出現したそうです。
〜絶対絶滅星 プハラ ・完〜
ILOVE岐阜