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思い出にならないように  作者: 遠藤 敦子
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 時が過ぎ、小春は幼稚園を卒園して小学校に入学する。最初は慣れるのに時間がかかってしまい、友達に自分から声をかけることが難しかった。遊びに誘うことよりも、相手側から

「小春ちゃんも来る?」

 と誘われることの方が多かったのだ。時間はかかったものの、徐々に小学校の友達にも慣れてきて自分から「仲間に入れて」と言えるようになった。断られたらどうしようという気持ちがあったけれど、誰もが「いいよ」と小春を受け入れてくれる。幼稚園の時はあまり話さなかった霜崎(しもざき)もえや他の友達とも仲良くなり、みんなで鬼ごっこやかくれんぼやドッヂボールなどをして遊んでいた。


 小春は幼稚園時代にピアノ教室を辞めてしまったけれど、やはりピアノ自体は続けていきたいと強く思っていた。圭子といくつかのピアノ教室に体験に行き、中でも小春が気に入ったのは「川本ピアノ教室」の川本(かわもと)莉子(りこ)先生だ。

 川本先生は親しみやすく気さくなひとだった。小春がミスしても強く叱るようなことは絶対になかったし、優しくて良い先生だと評判の先生だ。川本先生は小春をたくさん褒めてくれ、それが小春への自信と繋がっていった。小春は川本ピアノ教室でピアノの技術を身につけていき、小学校3年生の時に6年生を送る会で初めて伴奏をすることになる。それを機に小春は音楽会や上級生の卒業式などで伴奏を任される機会が増えた。これからもピアノを続けていきたいと小春は考えていたのだ。

 小春が小学校5年生になった際、川本先生から結婚して海外に行くことや3月末で川本ピアノ教室を閉業することを聞かされる。もちろん母親の圭子もこのことは把握していた。慕っていた川本先生ともお別れだと思うと、小春は寂しい気持ちになる。それでもピアノを続けたい気持ちに変わりはなかったので、川本ピアノ教室を卒業した後も中学生になってからも趣味で細々とピアノを続けていた。


 時が過ぎ、小春は中学校を卒業して京都市内の私立高校に進学する。高校生になっても小春は趣味でピアノを弾いていた。その頃、風の噂で早希が長岡京市内の公立高校に進学したことを耳にする。苗字が加藤から早希の母親の旧姓である桐原(きりはら)に変わっていたことも。

 早希と同じ高校に進学したもえから小春宛にLINEが来ていた。

「幼稚園で一緒だった加藤早希ちゃん覚えてる? いまは桐原早希ちゃんになってるけど。私いま早希ちゃんと同じクラスなんだけど、早希ちゃんが小春のLINE知りたいって言ってて。小春のLINEを早希ちゃんに教えてもいい?」

 小春はもえに「OK!」と書かれたうさぎのLINEスタンプを送り、もえから早希の連絡先が送られてくる。また早希と連絡を取れるのが小春は楽しみだった。

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